たまご屋おやじの独り言 毛丹青さん

 私はこの夏とても面白い本を読んだ。
2001年発行の「にっぽん虫の眼紀行」毛丹青(マオタンチン)著 文春文庫で、副題は「中国人青年が見た日本の心」とある。毛さんは1962年北京うまれ、北京大学を卒業して1987年日本の三重大学に留学。
その後、商社勤務のかたわら「歎異抄」などを中国語に訳し北京で出版している、なお現在は三重国際大学の教授。
彼は青年の豊かな感性で、実際に自分が日本で見聞きし、体験したことだけを素直に書いている。材料のほとんどは、私たちのまわりにあるなんでもない風景、または出来事なのだが、彼の手にかかるとたちまち光りだす、不思議だ。
唯一、彼が巻き込まれた大きな事件として、1995年の神戸大震災のことに触れている。その時、眼の前で自分の娘を失った父親を彼は目撃し、その人がとった態度を感動的に記録に留めている。
彼のように日本人以上に「日本の心」を理解している中国の人がいることはとても心強い。
彼の最近の活躍ぶりはhttp://www.nippon.com/ja/people/e00042/にある。