ご存知のように、この都市はまるで海上に浮かんでいるようだ。
自動車の乗り入れはほんの一部にかぎられ、移動するには歩くか、縦横に
はりめぐらされた運河を舟で行くしかない。
ヴェネチアは千年にわたって同じ政治体制をまもり、海上貿易を唯一の武器として繁栄した都市国家である。
その間の莫大な蓄積がこの小さな島に詰め込まれている。
そのひとつひとつの宝物が世界中の人々を引きつけて止まない。
私たちはここで十分余裕をみたつもりが、とんでもなかった、時間はいくらあっても足りない。
ここを訪ねるにあたって読んでおいた塩野七生の「海の都の物語」はとても役に立った。