「神さま仏さま展」

いろいろな晩年の過ごしかたがあるもんだ。
私の住む所から車で5分もかからない所にTさんは住んでいられる、お歳はもう75歳を越えているだろう。
学校の先生を勤め上げ、あとは自分で「よろず屋義一の手仕事」と名乗るほど、木彫、陶芸、写真、、、と守備範囲は広く、いづれの世界でも凄腕をもっている。

そのTさんに「神さま仏さま展」の招待状をもらったので早速出かけた、それは東秩父村「和紙の里」にある草葺屋根の古い農家に展示されていた、これは読売新聞に紹介されていたが、かなりユニークな展示会なのである。
Tさん本人にお会いすると、赤いジャケットに赤いハンチング帽、どう見ても60代半ば、しゃくに障るが私よりづっと若くみえる。

彼によれば今年になって思い立ち、「千体仏」を粘土で成形し焼成することを始めたという、驚くなかれ夏までに千体を完成し、勢いがついて今度は古事記に登場する神々まで造りあげ、毎日8時間以上製作に没頭したようだ、会場にはそのうち500体ほどが展示されていた。

自分が夢中になれることを自分で探しあて、それに一年間没頭する、それに飽きたらまた新しいことを始める、その道中でコロリと死ねれば本望とあっさり言われる。
誰でも真似できる事ではないが、この人の嬉しそうな顔をみていると本当にそうなるような気がする。

なおTさんの精力的な作品はいつも更新されているホームページで覗くことができる。
http://www.asahi-net.or.jp/~qd5h-tnk/20071120-o.htm