姉弟

姉弟

私は7人姉弟のうち5番目で長男である、つまり姉が4人いて弟が2人いる。親父、お袋の世代の人たちは子沢山が多い、それにしてもよく頑張ってくれたものだ。普通は4人も女の子が続けば、いくら男の子が欲しくてもそこでギブアップしてしまう、つまり私はいま居ないことになる。
5番目に初めて男の子が産まれたので、自宅でのお産に立ち会ったお祖母さんが興奮し「男だ、男だ」と叫び、二階の階段から転げ落ちた話はいまでも語り草になっている。
親父お袋は関東大震災のみならず、第二次世界大戦の時は大空襲のなか横浜で7人の子供をかかえて生き延び、子供たちを育て上げた。
7人のうち次女と末弟はすでにいないので、現在80歳になる長女をかしらに70歳の次男までが、それぞれが道中大病や軽いのやら患っても現在なんとか健在である。
5月12日、新緑の秩父柴原温泉「柳屋」でこの5人が顔をそろえた、温泉といっても宿は2軒しかなく、江戸時代から続く山奥の鄙びた宿である。それぞれが遠路、横浜、相模原、石岡から自力で集まってくれた。
すでに自分たちの年齢が両親の晩年のときに近いので、話はおのずと親父お袋のことになる、二日間秩父に遊んだのであるが私の運転する車のなかでも話の途切れることはなかった。