「神と仏、自然への祈り」

「神と仏、自然への祈り」

先日、世田谷美術館で白州正子の「神と仏、自然への祈り」を観ることが出来た。私は正子のことについては、今まで別世界の人と思っていたのであまり興味がなかった。
彼女の生誕100年を記念し企画されたこの展示会は、正子自体が何者であるかを知らぬものにとっても大きな驚きであった。
彼女は日本人の心と、その美意識を求めて日本中を訪ね歩いた。それは日本の自然であり、ある時は古い神社仏閣であり、そこに大事に守られている神像仏像、あるいは能面などであった。また彼女自身がその分野での有名なコレクターであったともいう。
会場には正子お気に入りの品々が全国から集められていた、国宝のものも数多くある。何気なく見過ごしてしまいそうな神像でも彼女の美意識は逃さない、それのみならず裏づけとなる造詣の深さには驚かざるをえない。
会場にあった「西国巡礼」は正子のエッセイ集であるが、初期のものであるらしい。読んでみるとたちまち引き込まれてしまった、なみなみならぬ書き手であることが分かる。
今では文庫本になっているこの「西国巡礼」をもって旅に出たくなった。