たまご屋おやじの独り言 2000年5月

たまご屋おやじの独り言 2000年5月


30/May/00

NDの逆襲4

NDのことをOIEのホームページで見てましたら今メキシコでとんでもないことが起きていることに気づきました。5月2日付けOIEレポートhttp://www.oie.int/info/AIS_46.HTM#Sec2にはこの春メキシコでNDにより汚染養鶏農家 70戸 10,360,000羽が死亡あるいは殺処分されたとあります。

私自身昭和40年代、NDによりかなりの鶏を殺した経験があります。それ以来日本中がNDのコントロールに力をいれ、現在ではもう過去の病気と考えられがちです。しかし世界的にみればNDはいぜんとして養鶏家にとって最も危険な病気であることに違いはありません。今、茨城千葉での発生をみると日本で「NDの逆襲」が始まったととらえています。

30/May/00

NDの逆襲3

残念ながら昨日千葉県でのND発生が報告されました。「にわとりML]の山田さん、OIEの紹介有難う。この組織は凄いものですね。毎週世界中で発生する家畜,家禽類の法定伝染病がインターネット上で報告されています。

下記英文ですが5月26日茨城のNDについてのものです。
http://www.oie.int/info/AIS_43.HTM#Sec2

農水省のプレスリリースより詳細が出ています。千葉のNDについてはおそらく6月2日にOIEが発表するでしょう。なぜ同じものを日本語で農水省は発表してくれないのだろうか?あるいはどこかにあるのかな?知ってる人教えてください。

28/May/00

NDの逆襲2

「家畜衛生ML」メンバーの中西さんから茨城のNDにつき次の情報がよせられています。

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OIEのDISEASE INFORMATION 26 May 2000
http://www.oie.int/info/AIS_43.HTM#Sec2
全羽数NDワクチン接種済み
発生場所は Makabe City, Ibaraki Prefecture
飼養羽数 6,000 患畜 5,054 死亡羽数 280 殺処分羽数 5,720
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このOIE DESEASE INF には農水省のプレスリリースより詳しい茨城のNDについての情報があります。

26/May/00

ND(ニューカッスル病)の逆襲

日本の養鶏業界にとって恐れていたことが起きました。
http://www.maff.go.jp/www/press/press.html

5月25日農水省はNDが茨城で発生し、6000羽殺処分したことを正式発表しました。ブロイラー農家ですが、まさかいまどきワクチンを手抜きしていることなど考えられませんから通常のワクチンプログラムでは防御出来ない強毒なものか、あるいは何らかの理由でワクチンをしても抵抗力がつかないのかまだ良く解かりません。

過去4−5年愛玩用家禽類からのND発生が報告されていました。海外からこれらの家禽類を通じて強毒株が国内に持ち込まれる可能性は大きいと考えられます。全国どこでこれが発生してもおかしくありません。しばらくNDの大発生はなかったので全国レベルでNDに対して鶏の免疫力が落ちていると予測されます。とにかく手持ちのNDワクチンを総動員して再接種することと考えますが、専門家の意見お願いします。

21/May/00

「強制換羽禁止法案」その後

先日アメリカのワシントンポスト紙がこのことを大々的に取り上げたことを書きました。http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/health/A41147-2000Apr29.html

そのポイントになる点は、

1) 健康と動物愛護の点で鶏のFM〈強制換羽)が問題になってきた。健康とは人間とサルモネラに関したもの。FMによるストレスが鶏の免疫能力を低下させサルモネラの問題を大きくする。

2) 今週カリフォルニア州議会でアメリカで初めて「FM禁止法案」に対して公聴会が開催される。この法案はLempert議員により提案されている。その提案理由として「FMは鶏にたいして恐ろしく残酷であり、人間の健康にとっても有害である」

3) これに対して生産者は 「これはとんでもない誤解であり中傷である。換羽は自然現象であり、それを人為的に行ってもなんら問題ない。消費者の好むLサイズ卵を多く生産可能」「サルモネラについても98年は96年対比で33%発生が全国程に減少しており、種々の対策は成功をおさめつつある」「FMを禁止することで鶏卵の生産コストは4セント(ダース当たり)上昇し消費者の利益にならない」
4) Don Bell によれば、
 「消費者は家畜に対し基本的な誤解がある。動物の家畜化にはたしかに問題点はあるが、それでは動物愛護の観点のみで家畜産業全部をやめることが出来るのであろうか?それで世界の食料を賄えるのであろうか?」

5) 反FM活動家はさらに連邦議会に請願をだしている。
 FMを止めさせるべく、大手ファーストフード店に呼びかけを始めた。

6) アメリカでの反FM活動家の根拠は1987年ヨーロッパでFMが禁止されたことにある。

7) Peter Holt は「FM鶏は飼料を切ることで鶏はその免疫力を低下させ、サルモネラの問題を大きくする」「サルモネラはFMでその症状が重くなる例が実験室では多い」USDAはこの研究を更に継続するようにした。

8) UEPはストレスの少ないFMの方法につき近くレポートを出す予定。UEPのAl Pope は「最終的にはこの問題は科学が解明してくれる。我々は沢山の利益があるFMは止めたくない。しかし選択の余地はあまりない」 

この文中にある Don Bell 他に早速連絡をとってみました。 Don Bell からの返事では 「カリフォルニアでは公聴会でこの"強制換羽禁止法案"は7−0で否決」されたとのことです。アメリカでの法案の成立否決がどのようなプロセスでなされるのか良く解りませんが、この問題はまだ始まったばかりとしています。

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21/May/00

中国たまご事情(その4)

「麦当労」「肯徳基」「因徳網」、、、これらの意味がスラスラと解かればあなたは相当の中国通だ。大げさに言えばこれは「中国現代ことば事情」のキーワードなのだ。

答え:「マクドナルド」「ケンタッキー」(フライドチキン)「インターネット」

日本でファーストフード「マクドナルド」1号店が東京銀座三越前で開店したのはもう何年前になるのであろう。銀座でハンバーガーの立ち食いとはなんとお行儀が悪いといわれた時代である。「あんな不味いものが日本で売れるわけがない」とたかをくくっていた日本食料理店連合軍を尻目に、あれよあれよという間に天下をとってしまった。

玉子屋の私どもにとっては秋に「お月見バーガー」でたくさん玉子を買っていただき、時の卵価を押し上げてくださる大事なお得意さんである。

今、北京でも上海でもその街の一番のところにデンと店を構えている。いよいよこれから商売開始、中国中にそのネットワークを広げようとしている。 値段はけっして安くはない。マックのセット料金(ハンバーガー、ポテトチップス、飲み物)で14−18元(日本円で180−240円)、これだけのお金があれば立派な美味しい中華定食が食べられる。しかし中国の若者達は嬉々としてハンバーガーにパクついている。

これはまさにアメリカの文化そのものを食べ、飲んでいるように感じた。一国の食文化すら変えかねないことが日本で起き、そして中国で起きようとしている。

6/May/00

「鶏の強制換羽禁止法案」

ネット仲間はまったく有難い。今週のはじめカルフォルニアのRalf Ernst,千々岩 壬両氏からほぼ同時に、4月29日 Washington Post紙に大々的に掲載されたカ州の「鶏の強制換羽禁止法案」についてMailをいただいた。

動物愛護活動家たちが州議員を動かして法案を提出し、その公聴会が今週中に開催されるというもの。ヨーロッパの過激なまでの動物愛護活動に比べておとなしいとされてきたアメリカでもいよいよ始まったかの思いがする。

たしかに先日ワシントン州で行われたWTO会議に向けての激しいデモ抗議活動には、アメリカの新しい動きを感じる。経済合理主義だけで割りきれない大事なものがあるとの主張が、グローバル化の先頭を引っ張るアメリカで起きていることに興味をおぼえる。

Washington Post紙記事に興味の有る人は連絡ください。

6/May/00

中国たまご事情(その3)

今回は"たまご事情"ならぬ"インターネット事情"を少々。「VIV CHINA」の会場では予想以上の"インターネット騒ぎ"にぶつかり戸惑う。この世界は若者達の天下であることは日本と変わらない、中年以降は怖そうにコンピュータを遠巻きに見ている。ブースでは外資系を問わず中国系の企業もこれみよがしにPCでインターネットのデモをやっている。

会場でアメリカ人のMR.Brillに会う。彼は「配合飼料設計ソフト」を世界中に売っている男で旧知の仲、彼いわく「中国は仕事になる」、そして北京に事務所までつくってしまった。美人の中国人秘書と一緒に英語のソフトを中国語版に作り変えて、いい商売をしている。

たしかにインターネットは中国にとって「もろ刃の剣」だ。国を治める者たちにとって、都合の良いことも悪いことも同時にネットを通して怒涛のごとくに流れ込んでくる。間違えれば「ベルリンの壁」になる。しかし中国は「これなしでは今後やっていけない」と決断し開放した。情報制限されていた若者たちにとって、こんな刺激的なことはない。この会場で中国の若者たちがやけに元気が良いのはそのせいかも知れない。

3/May/00

中国たまご事情(その2)

短い時間だが出来る限り北京と上海のスーパーマケットを覗いて見る。いずれもまだ出来たてのピカピカ。フランス系、ドイツ系、タイ系、日系、合弁なのか独立経営なのか外からはわからない。いずれも街の一等地にでんと構えている。周辺の一般庶民の市場または食料品店との較差の大きさに驚く。

庶民の市場は長靴をはいて行ったほうがよいほど乱雑で、お世辞にもきれいとは言えない。しかし生きた魚が通路に飛びだしたり、リヤカーに山と積んだ豚の枝肉が買い物客にぶつかったり、やたらに活気がある。圧倒的庶民は、この市場で買い物をしている。まだ北京のスーパーはちょっとおしゃれをして遊びに行くところで、あまり買い物をする所ではないらしい。日本でいえばデパートに行く感覚か。

市場や小売店では玉子はバラ売りだ。丁度日本で原卵をいれるプラコンに山とつんでバラ売りしている。価格は前にも言ったが赤玉Lで一個3円前後。お客が傷のない大きそうなのを選んでバラで袋に入れている。キズ玉をどうしているか見ていたら、プラスチックの袋に割って中身だけを売っていた。サルモネラ?関係ない、関係ないの世界。これほんのチョット前の日本であり、やたらに懐かしい。

スーパーの玉子はなぜかどこでも8個入りのp−パックだ。12個入りもあった。一個あたり4円前後でやはり市場に比べて3割は高い。ほとんど売れてない。「健康卵」と名づけて、さらに2倍の値段をつけて売っていたがほとんど相手にされてない。中国人は賢い。

1/May/00

中国たまご事情(その1)

この4月に「VIV CHINA]が北京で開催されたので6年ぶりに訪ねてみた。中国語で書けば「国際集約化畜牧展覧会」となる。ここを見ていても中国の改革、開放路線が間違いなく前へ進んでいることがわかる。もう後戻りできないようだ。

それどころか食料自給を国の柱としていた国がWTOに参加して世界から穀物を買おうとすらしている。安くて質の良い労力を武器として、かって日本がとった加工貿易と同じ手法で稼ごうとしている。自国のものを輸出するためには相手の得意とするものを買わねばならない。例えそれが食料であったとしてもと言うことなのであろうか。なんだか日本のとった手法そのものだ。穀物の買い手として巨大な競争相手が出てきたと考えたほうが良い。

朝早くから街を歩き回ってみた。市場を出来る限り覗いてみた。今、一般の北京市民が買える食品の値段をあちこちでメモしてみた。
現在の為替(中国一元=日本十三円)で換算

タマゴ (赤玉Lサイズ)         3−4円/ヶ   50円/kg
米〈精米)               19−21円/kg
もち米                 40−45円/kg
大豆                  50−53円/kg
豚肉                130−180円/kg
牛肉                300−350円
鶏肉                150−200円
牛乳(紙パック1L)         60−70円

中国農業大学の張教授に大卒の初任給を聞いてみたところ、10,000円から15,000円くらいの月給とのこと(これは40年前の日本の大卒の給料)。さてこの物価は安いのか高いのか、いちがいには言えない。

単純な比較は出来ないが、日本の15〜20分の一の給料で少しでも豊かになろうと懸命に働く人達がすぐ隣に十数億人いることを忘れてはいけない。現に昨日の日経新聞は中国からの輸入額は1999年EUを追い抜き第二位になったと報じている。 

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