たまご屋おやじの独り言 2001年4月

たまご屋おやじの独り言 2001年4月


25/April/01

アメリカ採卵養鶏と動物福祉(3)ケージ飼育の禁止問題

今回はケージ飼育の問題を取り上げてみよう。

カリフォルニア、イリノイ州にて鶏のケージ飼育禁止の議会提案がなされたがいずれも否決された。

ケージ飼育を問題にする人達は見た目によって放し飼いの鶏に比べて不自由であり、鶏の福祉に反していると言う。

歴史的に見れば、放し飼いの欠点を補ってケージ飼育が始まった訳だが、最大の理由は地面に飼育する放し飼いの最大の欠点である寄生虫(コクシジュ−ム、その他)による鶏の斃死であろう。またケージ飼育は汚卵の発生を防ぎ清潔な鶏卵の生産がケージでは可能であり、人間の作業の機動性も高いので急速にケージ飼育が増え現在アメリカの98%の鶏はケージ飼育されている。

当初ケージは一羽飼いであったが、1961年Bell等により2羽、3羽のケージ飼いのテストが行われ、その経済性が立証されて以後面積あたりの収容密度は増加した。現在アメリカにおいて白色鶏1羽当たり310−340平方センチとなっている。ヨーロッパにおいては450平方センチが一般的である。

ケージ飼育のほうが放し飼いに比べて鶏の斃死率が低いことが分っている。

結論としてケージ飼育のほうが健康的な鶏群の維持で鶏の福祉に貢献していると考える。

24/April/01

アメリカ採卵養鶏と動物福祉(2)換羽誘導とビークトリミング

Bell氏は言葉にとても注意していた。従来の強制換羽(forced molting)をやめて、換羽誘導(induced molting)と変えていた。「強制」から受ける印象は確かに悪い。

更に、断嘴(debeaking)をビークトリミング(beak triming)としていた。「断ち切る」より「手入れする」のほうが優しい印象を与える。

単に言葉の問題だけでなく換羽は自然の現象であり、それが例え誘導によるものでも生理的には何ら変わるものでなく、経済的には消費者と生産者に多大な貢献をしていることは間違いない。

「飼料を与えない期間が長すぎて残酷だ」という指摘には、自然界の鳥類ではそのようなことは常に起きることで、自然の状態のほうがもっと残酷なことになる。

ビークトリミングについては、トリミングしたほうが鶏の斃死率がずっと少ないことは養鶏家であれば誰でも知っている。どちらが動物福祉に役立っているか数字をもって誰にも判るようにしていた。

結論として換羽誘導、ビークトリミングいずれも鶏自身の福祉に役立っているとしている。

23/April/01

アメリカ採卵養鶏と動物福祉(1)Don Bell

4月19日、?ジェイ.アール.シー(社長齋藤大洋)の招待でカリフォルニア大のDon Bell氏が東京でセミナーを行った。 「アメリカ採卵養鶏と動物福祉」がテーマでありとても興味深かった。

Bell氏はご存知のごとく40年間カリフォルニア州にて採卵養鶏の専門官として働いてきた。今年の一月に退官はしたが名誉教授として大学に部屋を構えている。

地区の採卵養鶏の合理化にとりくみ、ケージ飼育密度の経済性、強制換羽の研究など現場に密着した業績をあげてきた。

アメリカも変わったものだ。その経済合理性を追求した飼育方式が動物愛護運動家の攻撃を受けることになった。全米最大のマクドナルド社が鶏にやさしい飼育方式で生産された鶏卵のみを購入するとしたのはつい先日のことである。

アメリカは業界をあげて科学的にケージ飼育、デビーク、強制換羽が動物福祉に反するのかを検討してその結論を出している。中心になってこれをまとめたのがBell氏である。

次回、その要点をとりあげてみよう。

10/April/01

採卵鶏に対するスターリンクとうもろこし給与試験結果 農水省

4月6日に農水省は6週間成鶏にスターリンクとうもろこしを与えつづけた区と対象区との比較データを発表した。

これによればスターリンクとうもろこしに含まれる蛋白Cry9Cは鶏卵から検出されなかった。
詳しくは 、
http://www.maff.go.jp/work/press010409-2.PDF