たまご屋おやじの独り言 2001年3月

たまご屋おやじの独り言 2001年3月



19/March/01

鶏卵の国際競争力(3)日本の競争相手

「鶏卵の国際競争力」の件につきまして桜井先生、奥村先生にアドバイスをいただきました。大変感謝しております。

「日本貿易月報」によれば、過去5年間日本の国別鶏卵輸入量(殻付換算)ランキングは変わっていない。

1:アメリカ 2:オランダ 3:カナダ 4:フランス 5:ブラジル 6:中国  7:タイ

この7ヶ国で輸入量全体の60−65%を占める。アメリカを筆頭にヨーロッパ勢ではオランダ、フランスがこれに続く。カナダは国が今でも需給調整をしているので政策的な価格の面があるが、飼料価格の点で競争力がある。

アジアでは中国とタイであるが、この2−3年の傾向として中国卵の増加がみられる。 特に中国からの定期的な殻付卵の輸入には注目する必要がある。

中国からの野菜輸入に見られるごとく、品質が良くて安い価格であれば日本の消費者 は受け入れる。

政治的に輸入阻止を図っても、それは一時的な時間稼ぎにはなっても根本的な解決にはならない。

鶏卵についても同じことが言える。どの部分が国内で生き残り、どの部分を輸入に任せるかを見極めてそれぞれ戦略を立てるしかない。

オランダが自国に飼料原料を持たぬにもかかわらず、飼料自給国のフランスに負けずにやっていることは日本の養鶏にとってとても参考になる。

日本の野菜農家にとってもオランダにはその生き残りのヒントがあると農家の人が言っていた。

13/March/01

2000年 たまごによる食中毒激減

3月5日、厚生労働省から食中毒事件発生状況(平成12年)が発表された。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/h12jokyo/index.htm l         

日本の食中毒、サルモネラによる食中毒、卵による 食中毒データについては厚生労働省のHPにある食中毒情報はとても役にたつ。1998 年夏、マスコミによる「タマゴによるサルモネラ食中毒」騒ぎで、私どもの業界は大きなダメージを受けた。しかし冷静にデータを読み取るかぎり近年「タマゴによるサルモネラ食中毒」の件数、患者数は増加していない。それどころか1999年、2000年のそれは激減している。好意的に解釈すれば、マスコミが大騒ぎしたためにみんなが気をつけるようになった為であろうか。有難いことだ。

The Present Situation of Food Poisoning in Japan.
(日本の食中毒)

1) Total Food Poisoning.
  (食中毒 件数 患者数 死亡数)

         No, of Occur No, of Pacients Mortality

1996 1,217 46,327 15
1997 1,960 39,989 8
1998 2,613 44,053 7
1999 2,635 34,070 6
2000 2,198 42,658 4

2) Food Poisoning due to Salmonella.
  (サルモネラによる食中毒 件数 患者数 死亡数)
 
        No, of Occur No, of Pacients Mortality

1996 350 16,576 3
1997 521 10,926 2
1998 630 11,035 1
1999 805 11,675 2
2000 512 6,908 1

3) Food Poisoning due to Eggs
  (卵原因の食中毒 件数 患者数 死亡数) 
 
      No of Occur No of Pacients Mortality

1996 35 3,049 0
1997 37 2,012 2
1998 46 1,902 1
1999 36 735 0
2000 41 1,012 0

12/March/01

鶏卵の国際競争力(2)

世界46ヶ国の中で主な10ヶ国を選び2000年7月時期の鶏卵販売価格(Kg)、飼料価格 (Kg)、初生雛価格、大雛価格(16週令)、を比較してみた。

各国通貨を同時期、の為替レートにてすべてUS(セント)に統一してある。

鶏卵の売値は各国その年ごとに変動するが、注目したいのはその飼料価格、雛価格で ある。

     Currency Exchange  Egg/Kg  Feed/Kg  Chick   female/16 
Japan   Yen    106.7   131.8   31.1   136.5    706.0
China   Yuan      8.3    48.3   16.9     24.1    205.4
U.S.A     $       1.0    61.1   16.3     49.5     250.0
Holland  N.FL       2.3     59.6    16.0     47.5    242.0
U,K     Pound     0.66   56.8   18.9     71.1    364.9
France   F.F.      6.88   68.2   16.2     56.6     258.0
Brazil    Real      1.8    34.8    10.8     21.3    116.6
Argentina Peso      1.0     80.6    14.0    75.0    260.0  
Thai    Baht     39.1    76.6   17.9     23.0    165.9
India     Rup    44.7    56.2   18.4     38.1    172.5

如何に日本が高コスト体質かがわかる。
世界一高くたまごが売れる国日本を目指して世界中が狙っていると考えたほうがいい。

7/March/01

鶏卵の国際競争力

日本国内では「たまごは物価の優等生」といわれているが、その国際競争力はどうであろう。

最近驚くべきレポートを見た。World Poultry誌http://www.agriworld.nl/の最近号 によれば世界46ヶ国の2000年7月時点での鶏卵価格、飼料価格、初生雛価格、16週令大雛価格、成鶏1羽粗利益が一覧表になっている。比較のために7月時点の各国為替レートをUS$にすべて換算してある。

このレポートの著者はカナダのDr.Peter HuntonとフランスのGoeff Fairhurstである。

Peterについては知らないが、Goeffとは何度か会ったことがある。彼はShaver社の副社長を勤めたのちもう確か引退したはずだが、現役のころから雛を売る為世界中を飛び回りながらこのテーマを追いかけていた。

彼の使用するデータはかなり実践的なもので、役所の発表する平均的なデータではな く、ある一定レベル以上の現実に近いデータである。現実に商売しながら作ったネットワークを世界中にもち、そこから集めたデータなので役に立つ。

結論は、「日本の鶏卵は世界46ヶ国中で一番生産コストが高く、売値も世界で一番 高いので成り立っている」であり、「世界中が日本へ鶏卵を売りたがっている」である。

以下、46ヶ国のうち主要国について分析してみよう。