2008年暮

変わった一年であった。

100年に一度の経済変動と人は騒ぎ立てる、それはその道の専門家に任せるが私どものたまご屋稼業でも動きは激しかった。

まず世界的な穀物相場の極端な変動があり一喜一憂させられた、私どもに関係のあるトウモロコシについて言えば、それが人間家畜の食糧からバイオエタノール原料として燃料に使われるようになった、その背景には原油価格の暴騰がある。

その原油価格が昨今暴落して元に戻るつれ、トウモロコシ価格も暴落するなどまったく目まぐるしい。

鶏卵相場について言えば、私がこの仕事に関わって50年近くなるが、こんな年は初めてである。

通常、夏場は鶏卵の生産も順調に行われるが、人間の食欲のほうが落ちこみ需給関係から鶏卵価格は安くなる、他方冬場は正月用の加工品需要などがあるとともに、従来の生産システムでは防寒設備も十分でなく生産も減少したので価格は高くなった。

現在は設備的にも改善され冬場でも生産は順調に行われようになったので、単純に需給関係だけで鶏卵価格は決まることが多く、今までは夏場に価格が一番安くなり、年末の頃それが最高となっていた。

それが今年は夏ごろ飼料価格の高騰などで鶏卵生産が減少し、年末の鶏卵価格の暴騰を見込んでキュウピータマゴなど大手バイヤーが鶏卵価格の安いうちに買い込んで暮に備えた。

このため夏場の鶏卵相場が下がらず、逆に年末は上がらず夏冬あまり変わらないという我々の業界では初めての珍事となった。

このように未経験のことが恐らくあらゆる業界で起きているし又近い時期に起きるのであろう。

過去のデータを積み重ねて立てた事業計画が何の役にも立たず、計画は作るそばから修正させられるが、こういう時にはどっしり構え、直感だけは研ぎ澄まし、生き残る道を探るしかない。