たまご屋おやじの独り言 2002年12月

たまご屋おやじの独り言 2002年12月

14/December/02

<日本たまご事情>ボルネオの「庭っ鳥」

齋藤 富士雄@愛鶏園です。
「庭っ鳥 かけ(鶏)の垂尾のみだりおの 長き心を思ほえぬかも」万葉集。ニワトリは「庭っ鳥」で「かけ(鶏)」にかかる枕詞です、と私の畏敬するニワトリ博士の得猪外明さんに教えてもらいました。

先日、甥っ子の結婚式でボルネオ島コタキナバルを訪ねた話をしましたが、ついでに東南アジア最高峰のキナバル山の麓をジープで越えサンダカンまで足を伸ばしました。ジャングル超えのその道は「庭っ鳥」の原風景、たぶん万葉時代の日本の風景もかくやと思われる風景にぶつかりました。

森と水田の中にあるまばらな人家には、まだ電気がなく、水は天水かおそらく簡易井戸によるのでしょう、庭とおぼしきところに数多くの子供達が裸で駈けずりまわり、そして必ず一家に5−10羽の「庭っ鳥」がいるのです。

勿論、放し飼いですが森に帰るでなし、それぞれの家に居着いているのです。人間様からその卵と交換になにがしかの餌と安全を得て共生している感じです。雄鶏を中心に雌鶏とヒナたち、それは一家をなしていました。自然交配ですので増えすぎれば食べてしまうか、売ってしまうかしてその数は調整されるのでしよう。

ところが森の中から、ずーと下って街に近づくと悪賢い人間がいて、ニワトリをたくさん飼ってお金を儲けようとするのです。数百羽の屋根つき平飼い鶏舎に始まって、数千羽のケージ鶏舎もありました。同じマレーシアでも、首都クアラルンプールのあるマレー半島には日本への液卵輸出をめざして、百万羽規模の養鶏場を建設中と最近のIECの報告書にでていました。最後はナマナマしい話になってしまいましたが、日本の万葉時代?と現代が共存する不思議な島ボルネオでした。

13/December/02

<日本たまご事情>続コタキナバルの結婚式

国際結婚は口でいうほど簡単なことではない。甥っ子のようにもう日本をはなれて10年ちかく、世界の僻地ばかりを渡り歩いている猛者にとっても同じことである。
 
まず言葉の問題である。「おまえ、ベッドの中は何語でもかまわんが、夫婦喧嘩のときは一体何語でやるのか?」野暮な叔父さんである。彼女はマレー語と英語、甥っ子は日本語と英語、共通するのは今のところ英語だけだ。それはいずれにとっても母国語ではない。
 
ところが良くしたもので、通じなければ通じないでその分、表情は豊かになるし、アクションも大きくなりそれなりに理解しようと努力している。見ていると涙ぐましいかぎりだ。

嬉しい事、悲しい事、嫌な事、して欲しいこと、して欲しくないこと、、、すべて正確な言葉と態度で示さなければならない。日本人どうしの夫婦であるとかなりはしょってしまう部分である。

あまりにも新郎が花嫁に優しくするものだから、母親(つまり私の姉)が焼餅をやいていわく「日本の亭主族も、ちっとは見習っては!」と悔しがった。

13/December/02

<日本たまご事情>コタキナバルの結婚式

今年の9月、甥っ子がボルネオ島のコタキナバルの娘さんと結婚し、その披露宴に出てびっくりしました。集まったお客は約300名、新郎側は日本からやって来た親戚友人の約10名、仕事関係の日本人が20名、あとは全部新婦側の親戚なのです。こんなのは小さい披露宴なのだそうで、通常両者の親戚のまた親戚を呼ぶというから凄まじい。

この席では"たまご"は重要な引き出物である。まず入り口で可愛い陶器に入った"たまご"を一つずつ手渡される。席に着くとそこには更に造花にネット入りの"たまご"が括りつけられたプレゼントが用意されている。子孫繁栄のシンボルなのか、たまご屋の私には嬉しいかぎりだ。

アラビアンナイトの物語に出てくるお姫様と王子様のごとく着飾った二人は正面の金ぴかの席についてその式は始まった。イスラムの牧師さんが短くお祈りをあげ、20人くらいの聖歌隊?が合唱するなか両親を先頭に来賓が一人づつ前に出て新郎新婦に祝福の儀式をしていく。その間終始無言であり、ただコーランの合唱がながれる。式の進行は司会者が進めるが多くを喋らない。何故か日本人の私達にとっては新鮮でさわやかであった。

ここの式では両家の両親は新郎新婦の隣の重要な席を与えられる。ならびに近い親戚もその次となる。一通りの儀式を終えると新郎新婦は席を両親の間に移し会食になる。イスラムの人たちは酒を飲まぬから乾杯の挨拶があるわけではなし、カラオケの馬鹿騒ぎもない。それでいて会場全体がなごやかなのだ。甥っ子は滅法酒が強いほうであったが彼女に惚れてからプツリとそれを断ってしまった。まさにアッラーの神と「女の力は偉大なり」だ。

5/December/02

2006年ドイツでのケージ飼育禁止

昨年の今ごろ、ここでドイツの動物福祉問題でケージ飼育禁止を「他国のことながら困ったものだ」と取り上げたことがあります。

先日、ドイツから帰った若い連中の話によれば、事はますますケージによるドイツの鶏卵生産者に不利になっているようだ。ご存知のとおり最近行われたドイツの選挙では緑の党との連立で旧政権が辛うじて生き残った。

おそらくこの選挙をドイツの鶏卵生産者は固唾を飲む思いで見守っていたに違いない。極端な動物福祉を唱える緑の党の主張が通り、EUに先駆けてドイツはその規制を強め、2006年以降ケージ飼育を禁止すると言う。

既にたくましいドイツ国内の鶏卵生産者はハンガリーポーランドなど東欧地域に生産拠点を移すか提携して母国への鶏卵供給を目論んでいるが、近い将来これらの東欧諸国もおなじEUの仲間になり、同じ規制を受ける筈だが「その時はその時だ」ということらしい。国内に残された大多数の生産者は養鶏を止めざるを得ないので、国に対して補償問題で裁判が起きているとのことだ。日本ではどういう形でこの動物福祉問題が噴き出すのか注意を要する。

5/December/02

卵のコレステロール関連学術文献集

今朝(12/3)社団法人日本卵業協会会長の清澤盛雄様からMailを頂いた。念願の「 卵のコレステロール関連学術文献集」をホームページ(HP)に公開することが出来たとの内容であった。

早速拝見すると、内外のこれら学術論文を54報収集し、抄録をつけ、論文の所在をはっきりさせた大変な労作である。清澤様に感謝申し上げたい。更に付け加えるならば、それは業界にとって不利と思われる論文も含まれている(54報中9報)。このことは公正を期するうえで大切なことだと思う。業界に都合の良いことだけを載せたのでは消費者の皆様は誰も信用してくれない。

早速、私どものHPにリンクをはらせてもらうことにした。関連する業界の皆さんのHPに是非ともこのことを載せて欲しいし、ネットその他をとおしてこの事を出来るだけ多くの人に伝えて欲しい。自分達の業界は自分達で守るしかないし、コレステロール問題で決してアメリカ、ヨーロッパの轍を踏むまい。

尚、現在「卵のコレステロール関連学術文献集」を載せているHPは、
日本卵業協会 http://www.nichirankyo.or.jp/bunken/firist.htm
東洋鶏卵    http://www.toyokeiran.co.jp/bunken/firist.html
です。ご覧あれ。

5/December/02

EU タマゴのトレーサビリテイ

EUで鶏卵関係の動きが激しくなってきたようです。前回の動物福祉の問題もそうですが、鶏卵のトレーサビリテイについても動きは急です。これも先日ドイツの畜産展示会から戻った者からの報告によると「2004年からEU諸国の生産段階で卵の個別印字の義務化」となります。

鶏卵にその生産された農場段階で生産履歴をインクジェットプリンターで直接印字してしまおうというもので、これによってより確実にどこの国の生産者がどんな仕組みで鶏卵を生産したかがより確実に判明できるのだそうです。

生産日付を卵に直接印字しないで、パックに賞味期限一本に括って印字してあるのはさすが現実的です。生産量と販売量にどうしてもズレが起きてしまうのはEUも日本も同じです。それよりその生産履歴を確実にはっきりさせようと言うものです。

はっきりさせなければならない事は、
飼養方法 0:Organic 1:Free range 2:Barn 4:Cage
国番号 DU FR NL IT 等
生産者番号 割り当て番号
自主番号  その農場の特殊性を謳える

既に農場用のファームパッカー用のプリンターも開発され、自主的にこれに取り組む農場も数多いと聞きました。

△上に戻る