たまご屋おやじの独り言 2004年1月

たまご屋おやじの独り言 2004年1月

31/January/04

ぶらりぶらり通信 あったま(熱卵)うどん

鳥インフルエンザのことで、タマゴ屋にとっては一日も気が抜けない日が続きますが今日は一服。

以前に讃岐の"たまごかけうどん"にふれたことがあるが、この頃気がついてみれば私はすっかり讃岐うどん党になっていた。  先日も上野駅構内、例の店に飛び込んだ。この店は旅行客であわただしく、時間帯によっては店の外まで行列が出来る。 待つ間、何げなしに見ていると、当店のうどん注文ランキング表が出ていた。 ?あったま(熱卵)うどん?肉うどん?かけうどん?ぶっかけうどん?釜あげうどんとあった。

"あったま(熱卵)うどん"とはご存知"たまごかけうどん"のことである。店によっては"釜たまうどん"とも呼ばれているらしい。  これはたまごの一番おいしい食べ方の一つであり、そんなことも知らんで良くタマゴ屋が勤まるものだと讃岐の人に笑われてしまった。

イタリア料理のスパゲッティにカルボナーラがあるが、これも原理は同じである。茹で上がったスパゲッティを熱いうちに生の卵黄、チーズその他の具とかき混ぜ、黄身が半熟状態の時に食べると旨い。

ランキング断トツ一番の"あつたま(熱卵)うどん"にすっかり気分を良くした私は、トッピングにかき揚げと薩摩揚げを張り込んだ。

25/January/04

ぶらりぶらり通信 わが名をよびてたまはれ

歳を重ねるとどうも睡眠を続ける力が衰えてしまうものらしい。ご多分にもれず朝4時ごろ眼が覚めてしまう。 外は暗くそのうえ寒いので散歩するわけにもいかず、布団のなかでごろごろしている。その時間、NHKのラジオに「深夜宅急便」というのがあるが、いつもそれを聞くとはなしに聞いている。面白い話であれば聞き耳をたてるが、そうでない場合又うつらうつらしてしまう。

 先日例のごとくごろごろしていると、誰かが「わが名をよびてたまはれ」を繰り返す詩を紹介していた。それを聞いていると不思議になんとも優しく穏やかな気分になったのだが、つい誰の詩であるのか聞き漏らしてしまった。今まで詩の話しなど気にも留めなかったが、あまり気になったので後で調べてみると、どうやら三好達治のものらしい。さらに調べると彼は1900年生まれで私の親父と同い年であることにびっくりした。道理で昔の言葉を使うわけだ。

歳を重ねることは失うものも多いけれど、その歳になってみなければ判らない事に気付き、なにか儲けものをした気分になる。例えば私の場合、今まで詩などの類にはとんと無縁できてしまったが、最近どうしたことかそれ等にとても惹かれる。これも老人力のなせる技かもしれない。なんとも遅まきな話だ。

わが名をよびてたまはれ
いとけなき日のよび名もてわが名をよびてたまはれ
あはれいまひとたびわがいとけなき日の名をよびてたまはれ
風のふく日のとほくよりわが名をよびてたまはれ
庭のかたへに茶の花のさきのこる日の
ちらちらと雪のふる日のとほくよりわが名をよびてたまはれ
よびてたまはれ
わが名をよびてたまはれ
三好達治

24/January/04

タイ、鳥インフルエンザ(HPAI) 確認

既にテレビはこのニュースでもちきりであるが、テレビ画面に現れるそれらはタイ養鶏の実態を伝えていない。特にブロイラーはタイにとって輸出のエース産業である。世界に通用する大企業がそれを経営している。採卵養鶏にしても最近急速に大規模化、企業化している。これらは飼育管理技術、設備、衛生管理などいずれをとっても先進国のレベルに遅れをとっていない、むしろブロイラー処理工場など世界最先端のものがある。

一方、テレビに出てくる、生鳥市場や庭先養鶏も健在である。この春節旧正月)の時期は東南アジア全体に中国系の人たちは先祖に鶏肉を供える習慣があるので生鳥市場は大繁盛となる。この鶏の大移動と市場集中が伝染病の引き金となる。1997年香港で起きた鳥インフルエンザは生鳥市場から始まった。

タイ養鶏の問題点はこのように近代的養鶏と従来の庭先養鶏との混在である。これが伝染病のコントロールを難しくしている。又あえて言えばタイ養鶏を牛耳る中国系の人たちの秘密主義があるかも知れない。今回の場合も以前から鶏の大量死があったにもかかわらず、頑強にそれは家禽コレラであると言い張っていた。

中国、アメリカ、イタリアなどで鳥インフルエンザ発生の際問題となった放し飼い養鶏、アヒル七面鳥農場も少ないので日本では感染農場の拡大が防がれている一面もある。しかし鴨類など渡り鳥はどこの農場の近くの河、湖にも来ている。鴨類は直接鶏舎にこそ入らないが、雀、鳩等を介して病原菌を持ちこまないとは限らない。

21/January/04

鳥インフルエンザ・ワクチン使用及び許可の要請書、埼玉県

予断は許されないが関係機関の懸命な働きによって、1月21日現在、山口県の養鶏場に発生した鳥インフルエンザ(HPAI)は他農場への感染拡大はない。既にHPAIを経験した国々の例をみると、いったん発生があると例外なく感染は野火のごとく拡がっている。

現在のところ感染ルートが確定してないが、日本全国どの養鶏場に発生してもおかしくない。想像するのも嫌だが、これが高密度の養鶏県に発生したら、その県の採卵養鶏であろうがブロイラーであろうが機能は完全に止まる。山口県の場合は約35000羽埋設するのに25Mプールほどの穴を掘って行なったといわれるが、その土地が近くにあったのは幸運であったと言うしかない。

関東地方の各県にはまずその土地がない。よしんばあったとしても近隣の同意は取れないであろう。殺処分の数が数万羽でも大変な作業量と土地面積が必要なのに、諸外国の例に見られるごとく数百万羽から、数千万羽の埋設作業は日本では不可能と言わざるを得ない。農林省の「HPAI防疫マニュアル」は殺処分土地埋設、絶滅作戦を中心に成り立っているが、HPAI大発生の場合を想定してない。

諸外国の先例をみるまでもなく、HPAI大発生の場合は結局ワクチンで対応せざるを得なかった。農林省の「HPAI防疫マニュアル」のなかに、ワクチンを検討すると書いてあるが、その具体化が急がれる。

埼玉県養鶏協会の境野徳夫会長は会員の総意のもとに、いち早く上田知事あてに鳥インフルエンザ・ワクチン使用及び許可の要請書を出した。各県の養鶏組織が要請書を出されることを希望する。自分たちの業界は自分たちで守るしかない。もし興味がありましたら要請書のコピーを送ります。

17/January/04

山口県鳥インフルエンザ(HPAI) 感染拡大せず 情報源

まだ予断は許されないが幸いなことに今日現在(1/17)山口県に発生した鳥インフルエンザ(HPAI)は他農場へ感染拡大していない。その農場に異変がおき家畜保健所に報告されたのが昨年末であり、病因確定またその対策に正月休み返上で働かれた関係機関があったに違いない。対応は早かった。農場での異変がいち早く関係機関に報告されたことも、不幸中の幸いである。農場側にすれば鶏病発生は不名誉なことであるから、どうしても隠したくなる。そしてどうにもならなくなって報告されるケースが多い。その間感染は他農場へ急速に拡大する。

 イタリア、メキシコ、オランダ、韓国、ベトナム、の例をみても、それぞれ事情が異なるがいったんHPAIが一農場に発生し、対応が遅れ病因が確定する頃には手遅れになって感染が拡大した例が多い。特にHPAIの場合、防疫の初動体制がすべてを決めるようだ。オランダからの感染を見事に食い止めたベルギー、ドイツの例をみればわかる。

今回、インターネット上の 鳥インフルエンザ(HPAI) に関する情報量は目を見張るばかりだ。特にYAHOO JAPAN  http://www.yahoo.co.jp/ が優れている。 検索窓口に鳥インフルエンザ と入れれば、国内新聞、官庁関係などこれに関する情報が分刻みで更新されている。

12/January/04

山口県 鳥インフルエンザ(HPAI) 農林省プレスリリース

成人式の休みにもかかわらず、農林省プレスリリースが今日あった。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20040112press_1.htm

千々岩さんがこれまた休みにもかかわらず知らせてくれた。従来の国、県、市町村という情報伝達ルートでは休日にはとてもこうはいかない。ネット時代の凄さを実感している。

12/January/04

鳥インフルエンザ感染、山口で確認 国内では79年ぶり

既にNHK TVで放送があったようにHPAIが日本の山口県に上陸した。

Asahi com
http://www.asahi.com/science/update/0112/002.html

鳥インフルエンザ感染、山口で確認 国内では79年ぶり
農水省などによると、鳥インフルエンザの感染例が、山口県内で見つかった。ニワトリの死亡率が高い「高病原性」とされるタイプで、国内での発生確認は79年ぶり。同県や同省が午後に発表する。見つかったのは、約3万5千羽を飼育している同県阿東町の養鶏場。同じ養鶏場のニワトリは処分され、周辺の半径30キロの地域からの鶏肉出荷は停止される見込み。鳥インフルエンザは韓国や、ベトナム、香港などで問題になっている。鶏肉を食べても、人間には感染しないとされる。(01/12 14:06)

NHK
http://search.jword.jp/cns.dll?type=lk&fm=101&agent=1&partner=Excite&name=NH

山口で"鳥インフルエンザ"
山口県阿東町の養鶏場で、6000羽のニワトリが相次いで死に、毒性の強い鳥インフルエンザのウイルスが79年ぶりに見つかりました。感染ルートの確認を急ぐとともに、養鶏場の消毒や出荷された卵の回収作業を進めています。(01/12 13:58 )

今後のHPAIの動きを注意深く知り、各自の農場で一刻も早く自衛の対策を実行するしかない。

10/January/04

ぶらりぶらり通信 "横浜物語"

年始まわりのついでに横浜大桟橋を訪ねた。桜木町駅より歩き出したわけだがすっかり道に迷ってしまった。横浜生まれの横浜育ちで自称ハマっ子である筈の私だがまるで駄目。"みなと未来"の新しいビル群、それらにつながる道路網など、まるで街の様相が変わっていた。日本郵船ビル、神奈川県庁、大桟橋のあたりにくるとさすがに落ち着いて以前の雰囲気を保っている。

丁度運良くそこには日本最大のクルーズ船"飛鳥"が泊っていた。なにやら正月早々南極への旅立ちとのことで、あたりは騒がしかった。大桟橋から桜木町駅のほうをみると景色はまるで違っていた。背景にランドマークタワーを中心とした新しいビル群、手前には海を隔てて洒落た赤レンガの倉庫群・・・。 ひるがえって見ればニューグランドホテルの前に繋がれた"氷川丸"が見える。

先日、弟の太洋が「兄貴、これ面白いから読んで見ろよ」と一冊の本をくれた。"横浜物語" 松葉好市語り、小田豊二著だ。珍しいことに一気呵成に読んでしまった。会ったことはないが松葉好市は私と同い年で少年から青年にかけて同じ横浜の街で生きてきた。彼は少々危ない世界を生き抜いてきて、いまBARのマスターにおさまっているようだが、それだけに話は面白い。

当時横浜で育ったものなら誰でも知っていたマッカサー劇場、オデオン座、有燐堂・・・男の子ならホンチ遊び(蜘蛛の喧嘩)等など、この本を読んでいると少年の日々にタイムスリップしたみたいだ。ふらっと大桟橋に足が向いたのも松葉好市のなせる技かもしれない。

9/January/04

ベトナム 鳥インフルエンザ(HPAI)発生

OIEはベトナムで初めて鳥インフルエンザ(HPAI)発生の報告を受けた。発生した農場はベトナム南部の二つの県にまたがり、ブロイラーの種鶏農場3箇所計70,000羽、うち40,000羽が死亡、残る30,000羽が処分された。
http://www.oie.int/eng/info/hebdo/a_current.htm#Sec1

1週間ほど前からベトナムで鶏大量死のニュースが流れていたが、1月8日ベトナム政府は正式にOIEに鳥インフルエンザ(HPAI)の発生を報告した。現在のところH5タイプとされているが詳しいことはわからない。

5/January/04

韓国、鳥インフルエンザ(HPAI)、拡大とまる

波乱の幕開けとなった日本の採卵養鶏業界です。隣の韓国はもっと大変です。昨年の12月に発生した鳥インフルエンザ(HPAI)はほぼ全道に拡がったが、幸いなことに点の拡大で面の感染拡大にはなっていないようだ。

1月3日のAgence France Presseによれば新年になって新しい感染農場は出ていない。12月15日鳥インフルエンザ(HPAI)が表面化して以来既に1,6百万羽の鶏およびアヒルが殺処分されている。恐れられていたH5N1は今のところ人間には影響ないとしている。

20年以上付き合いのある韓国養鶏家によれば、連日韓国では新聞、TVが大騒ぎしたため鶏肉、鶏卵の消費がガタ減りした。このため政府がこの問題に介入して報道を控えさせえたと言うが、時既に遅しであり、またこのHPAIの拡大には、アヒルの雛販売業者の全国配布が関係していると言っている。今のところ軍隊まで駆り出したHPAIの防疫体制はその拡大を抑えているようだ。

2/January/04

ぶらりぶらり通信 鶏卵、牛卵、羊卵、猪卵・・・

謹賀新年 今年もよろしくお願いいたします。
2004年元旦 

正月早々"キンタマ(睾丸)"の話でもないが、民族学者周達生先生の本を読んで驚いた。鶏卵、牛卵、羊卵、猪卵・・・いずれも中国語ではそれぞれのキンタマ(睾丸)を意味するのだという。ちなみに中国のブタは"豚"とは書かないで"猪"と書くのだそうだ。知らないとは恐ろしいことで、中国人に「俺は鶏卵の生産販売をしている」と言えば「俺は鶏のキンタマをつくり売っている」ことになってしまう。

周達生先生は世界中の"キンタマ料理"を食べつくして、それがいかに旨いか薀蓄を語っていられる。特に台湾ではそれが盛んで、屋台では猪卵、鶏卵(鶏のキンタマ)が所狭しとおかれ、注文によってその場ですぐ料理してくれる。刻んだ土ショウガとさっと炒め熱いうちにその場で食べるのだと言う。

「鶏のキンタマ」にあんまり驚いたので、めったにひかない広辞苑の"鶏卵"を調べた。そこにはあっさり一行「ニワトリのたまご」とあったので安心した。今年はぜひ台湾の屋台で正真正銘の鶏卵のショウガ炒めを食べたいものだ。