たまご屋おやじの独り言 2003年7月〜12月

たまご屋おやじの独り言 2003年7月〜12月





22/November/03

「いわれなき鶏卵のQ熱汚染キャンペーンに反論する」

是非とも11月21日の日本養鶏協会ホームページを見ていただきたい。
http://www.jpa.or.jp/news/q_netu/i_tamago16.html

11月19日、日本養鶏協会をはじめとする鶏卵に関した業界団体が一致協力して「いわれなき鶏卵のQ熱汚染キャンペーンに反論する」の記者会見を厚生労働省で行った。その詳しい報告がされている。

このことについては既に東京新聞(11/20)日本農業新聞(11/20)で報道されているが、いつも鶏卵関係業者は一方的にマスコミに「鶏卵の悪口」を云われっぱなしで悔しい思いをさせられている。

現在の低卵価の一因でもある「鶏卵の悪口」報道を一つ一つ潰していく根気のいる活動は極めて大切である。今回鶏卵のQ熱問題に対してとられた日本養鶏協会の迅速な対応及びその広報に感謝したい。

15/November/03

勝ち組と負け組

鶏卵業界が大きく変わろうとしている。その行き着いた先は多くの関係者にとってハッピィではないだろう。好きな言葉ではないが、ごく少数の勝ち組と多数の負け組に分れざるをえない。

一番大きな変化は鶏卵の末端流通を担ってくれる部分から起こった。それはスーパーマーケット、生協、外食産業、、、を問わず、鶏卵納入者の厳しい選別である。単に値段の安いことを要求するだけではなく、流通業者にとって利益の上がる商材の提案力、納入力が問われている。それに加えて食品の安全性を追求する世論におされて、生産段階から一貫して生産履歴がわかる農場が要求される。これらの市場の要求に対応できるのは、鶏卵生産、GP段階、販売力を統合的にもつ経営体にならざるをえない。

鶏卵市場の取り合いは熾烈である。行き場を失った鶏卵には値段がつかない。一方、市場に対応できた企業体は鶏卵市況に関係なく独自のブランド価格で流通企業ともども利益を確保できる。

鶏卵業界は当分辛い日々が続くが、これはなにも我が業界に限ったことではない。政府の構造改革ではないが、今まで長年機能していたシステムが行き詰まり、新しい仕組みが出来上がるまで、抵抗と痛みがともなうが大きな流れは変えることができない。
8/November/03

「行政指導による鶏卵の生産調整」撤廃

先日埼玉県の「鶏卵需給調整協議会」が開催された。これは県レベルで鶏卵生産者の代表と行政が鶏卵需給調整について話し合う場所である。ここでの議題は、平成16年3月をもって、「行政による鶏卵の生産調整」は撤廃されることであった。思えば長い年月だった。業界はこれをめぐって賛成、反対に分かれ対立が続いた。その間、「行政指導による鶏卵の生産調整」があるないに係わらず、業界は好況不況を繰り返しつつ成長し、ついに世界最高レベルの鶏卵生産国及び消費国になった。

一時はあまりの鶏卵不況にたまりかね、法律による「鶏卵の生産調整」を画策した人達もいた。経済活動を「官」が通達一つでコントロールすることが如何に難しいか、何十年にわたって業界は学習した。世界的にみても鶏卵業界は、「官」による生産調整はそぐわない。過去いくつもの国がボードを作り国による調整を試みたがいずれも失敗に終わっている。日本でも同じだ。農林水産省もさすがに「行政指導による鶏卵の生産調整」と現実とのギャップとに気づき来年の撤廃となった。遅きに失したと言わざるをえない。

現在の極端な低卵価は、鶏卵生産者の自主判断による増羽がもたらしたもので、誰が悪いわけでもない。ツケは業界で払うしかない。業界の不満をいう前に、そのような業界に自分たちは住んでいるのであり、嫌ならこの業界から出て行くしかない。政府頼みはこの業界では機能しないとわかったのだから、あとは自分たちで解決するしかない。経済の問題は「官頼み」ではなく、経済が解決する。

6/November/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?

前回アメリカ人の肥満についてふれたが、私が言うのもおかしいが、これはほとんど病気である。最近の日本人は肥満を気にしているが、問題にならないスケールだ。

クルーズの食事をみていると、やはりなんといってもカロリーオーバーだ。ずばり油と砂糖である。  いずれも美味しさの源であるから始末が悪い。フルコースの料理であるとアントレまでで既にカロリーオーバーなのに、大きなデザートをペロりとかたずける。そしてそれがそっくり身につく。どうしてもその誘惑には勝てないようだ。

日本でも最近プールなどで、いままで見たこともない肥満児を見かける。不用意にアメリカ型のファーストフードなどを受け入れた結果かもしれない。幼児期に過度な油と砂糖に馴れてしまうと、あとで直すことは難しいようだ。豊かなアメリカ型の食事は勿論優れたところがあるが、食欲にまかせているととんでもないことになる。

あいかわらずクルーズの体育ジムは満員だ。ウォーキングマシンで必死になって汗を流している肥ったお年よりを見ていると、滑稽を通り越してなんだか哀れになってくる。そこですっかり自信をつけたカミさんは、水着を買って泳ぐと云う。たまげたのはこちらで、もう30数年カミさんの水着姿など見たことがない。なるほど日本では肥っているほうでもこちらではぜんぜん目立たない。

6/November/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?

クルーズでの楽しみはなんと言ってもその食事である。アメリカ人のお客がほとんどといっても、遡ればそのルーツはさまざまで、食文化も異なる。そのさまざまな要求を満たす為ににシェフは腕をふるう。朝食昼食はビュッフェスタイルなので、それこそ世界中の料理がならぶ。残念ながら中華料理があり日本料理はなかったのだが、あとは大きなお皿を持って自由に取って歩けばいい。

夕食は大きなディナー専用室でちゃんと席につく。英語を喋りながらでは食べた気がしないからMr&Mrs.Nakazawaと4人の指定席にしてもらった。このディナーというのがちょっと厄介で、時にはフォーマルスタイルでという晩もある。半分以上の人々がタキシードを着てくるのには参った。頼みの綱のMr.Nakazawaは、"そんなの持ってないよ"と澄ましたものである。

贅沢な話だが、前菜からデザートにいたるフルコースを毎晩十日間続けるとなると、やわな胃袋では持たない。なにを食べてもそれは料金に含まれているが、酒代は別である。まわりを見渡してみると、お年よりでも"よくまあそんなに食べるなあ"と呆れるほど食べる。そう言えば、乗船したときから気になっていたのだが、アメリカ人のお年よりはどうしてこんなに肥っているのかな?と言う疑問だった。極端にいえば半分以上がすごい肥満体だ。この国で身体をスリムに保つには並大抵の精神力ではない。

出てきたものは残さず食べる美徳?をもっている日本人にはキツイことになった。スリムなMrs.Nakazawaの食べ方をみていると、"無理して食べなくて良いのよ"のスタイルだ。もったいない話だが食べ物を平気で残すことにもタフでなければならぬ。でなければ皆あのようなブロイラーになってしまう。

1/November/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?

当初、クルーズの旅などお金だけかかって退屈なものと馬鹿にしていた。ところが行ってみてがらりと考えが変わった。値段のべラボーに高いのは日本のクルーズだけで、よその国のそれに比べると腹が立つ。値段が安ければこんな楽しい旅はない。

ちなみにハワイ諸島を周遊し、アメリカまでの10日間のクルーズが12万円そこそこである。これで豪華客船の全ての設備利用と食事がついている。特別上等な船室をとった客も普通船室の客も食事内容と使える設備は同じなので、勿論私たちは普通船室をとった。  

現地までの飛行機代を格安運賃と組合せれば驚くほど安くなる。このクルーズに誘ってくれた70歳のMrs.Nakazawaはたくましい。インターネットを駆使して旅行代理店の提供するクルーズの値段をチェックしている。アメリカの9.11テロ事件以降その値段は格段に下がったので、誰にとっても手ごろな値段になった。そしてそれをゲットしてくれた。

クルーズを見直したのは、ホテルそのものが移動していくようなもので、一度チェックインしてしまえば旅行中ずっとそのままだ。ホテルからホテルへと移動していく忙しい旅とは訳が違う。特に障害を持った人達や、お年よりには最適だ。なるほど私達を含めて高年齢の者が多い。80、90歳代はざらで、連れ合いを車椅子に乗せたカップルが眼につく。この年寄りたちがやたらに元気がいい。そして陽気だ。

クルーズの気楽なところは、それぞれが自分に合った楽しみを自分のペースでやることができる。甲板のデッキチェアーでのんびり本を読むも良し、オプションの旅行をとって駈けずり周るも良し、如何なる選択もできる。退屈どころの騒ぎではない。

Mrs.Nakazawaはブリッジの名手である。早速対戦相手を求めて船室を出て行ったし、彼氏のほうはゴルフがなにより好きなので、島に寄るたびにそこのゴルフコースに飛び出していった。

1/November/03

鶏卵 Q熱 人間の病気?その後

日本養鶏協会、日本卵業協会の努力によってこの問題の発端になった、人獣共通感染予防医学研究所(人獣研)の発表につき、それにお墨付きを与えた国立金沢大学の山口和男教授と両協会との主な質疑応答が発表された(10/31)。 それによれば民間の研究所、人獣研のQ熱と鶏卵に関する発表に権威を与えるため山口和男教授が協力した訳だが、両協会のものに問い詰められて教授は明快な返答が出来ないありさまだ。

この問題は当初予測されたように、人獣研の売名行為であり、世界的にみて問題になっていない「鶏卵 Q熱 人間の病気」をことさら危険だ、危険だと騒ぎ立て、あげくのはてその検査は私の研究所でしか出来ないとは恐れ入る。 この結果「タマゴは危険だ」とのマスコミが一人歩きし、未曾有の低卵価に拍車をかけている。 養鶏家は怒り心頭にきている。

この問題について日本養鶏協会、日本卵業協会のとった素早い的確な行動には深く感謝したい。  尚 養鶏、鶏卵業界のQ熱に対する公式見解は日本養鶏協会のホームページに詳しく報告されている。
http://www.jpa.or.jp/news/media/index.html

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25/October/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?

ひょんな事からクルーズに乗ることになった。カ州、サンディエゴに住んでいるカミさんのいとこ(従姉)夫婦Mr&Mrs.Nakazawaから誘いがあった。

彼は約50年まえ、トランクひとつでアメリカに渡り苦学して大学を出て現地の企業に就職した。以来頑張って二人の子供を大学にやり卒業させた。それぞれの子供たちは結婚独立し孫も3人になった。途中、日本に帰るべきか悩んだ時もあったようだが、子供達がアメリカ人として生きていくと決めた以上、その親たちも腹を括った。彼は75歳になる筈だが、どう見ても60歳そこそこである。病み上がりの私のほうが老けて見える。彼は仕事をリタイヤしてから10年間、いわゆるアメリカ人のハッピィリタイヤメントの生活を送っている。  

そのひとつがクルーズである。今回はハワイ諸島をゆっくりまわって後、メキシコまで航行し陸路サンディエゴに戻る10日間の船旅だった。道中、時間があったのでじっくり"二人にとってのアメリカ"を聞くことができた。カミさんは私のおふくろを連れて日本のクルーズ"飛鳥"の経験があると威張ってるが、私には初めての経験である。かくして初体験クルーズの珍道中は始まった。

26/October/03

ハワイのタマゴ

先日ハワイ諸島を訪ねる機会があった。のんびりする予定であったが土地のスーパーマーケットに買い物に行くと、ついついタマゴ売り場が気になった。

ご存知のごとくハワイ諸島の経済はいまや観光でなりたっている。島を巡るうち、以前は盛大に運営されていたであろう廃墟になったサトウキビの製糖工場をいくつも眼にした。以前はサトウキビの製糖は島第一の産業であった。

明治の初期から日本人はここのサトウキビ畑の労働力として数多く移民した。激しい労働と慣れぬ酷暑との戦いに志半ばで病に倒れ多くの若者が生命を落とした。仲間の日本人がそれを不憫に思い日本式の簡単な墓を建てた。ハワイ諸島にはこれらをいたるところで見かけた。それも多くの墓が遠く日本を望む西に向いて建てられていた。

さて話をハワイのタマゴに戻すが、ほとんどの食料品をアメリカ本土から移入するため物価は本土に比べ高いが、それでも日本のそれらに比べれば格段に安い。タマゴ売り場にはアメリカ本土産のものと、ハワイ産のものが区別されて売られていた。勿論、ハワイ産のタマゴの方が高い、約20%ほど高かった。気になったことは、Organic Eggs と称して平飼いのタマゴがかなり大きなスペースで2倍の値段で売られていた。スーパーマーケットの利幅をとる戦略がみえみえであった。

4/October/03

ぶらりぶらり通信 櫛挽ヶ原 玉竜(たまりゅう)

私の住んでいる櫛挽開拓地にはとても面白い人がいる。地区の区長をされた神岡典冶 さんもその一人だ。地元出身の開拓者で私は"植木屋のご隠居"と呼んでいる。食うや食わずの開墾時代を頑張りぬいて、今や仕事を息子さんにわたし引退の身だが、根っから働き者のご隠居はじっとしていない。70歳をとっくに超えたのに庭用の"玉竜"の根分けに忙しい。

この開拓地では植物、植木のことに関してはご隠居の右にでるものはいない。私はわからない事があるとすぐ飛んでゆく。なんとこのご隠居は若いときから開拓地防風林の植生を記録にとっていた。そのノートを見せてもらった。昼間の激しい労働でクタクタになった中でのそれである。身体に余裕のできたときに趣味でやるそれとは訳が違う。ご隠居をみていると、筋金入りの植木職人は仕事と趣味が一緒になっているようだ。

近くの水路に泥が落ち込まないよう、"玉竜"を植えるため仕入れに行ったらご隠居 はやけに機嫌が良かった。

3/October/03

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)防疫マニュアル

10月になって農水省よりようやく「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)防疫マニュアル」が出た。各県の家畜保険所にすでに配布ずみで、希望者にはコピーがもらえると思う。早速読んでみたがこれがなかなか難しい。もっとも専門職の人達むけのものであるから無理も無い。 

埼玉県では既に家畜保険所の鴻巣泰先生にAIの話を二度ほど一般養鶏家むけにしてもらった。今回のマニュアルについても、噛み砕いて話をしてもらうことになりそうだ。鴻巣泰先生はすでに全県下の養鶏場の羽数と位置をPC上の地図にプロットする作業を終えている。いざAI発生となるとたちどころに移動禁止の養鶏場がわかるようになっている。  

あって欲しくはないが、いざAI発生の場合、この防疫マニュアルによって国と県の対策と処置はどうなっているか充分理解しておく必要がある。現在のところこの防疫マニュアルはNet上では見ることはできないが、そう期待したい。

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29/September/03

日本家禽学会 産学交流促進

9/27,28の二日間岐阜大学において日本家禽学会が開催され、後藤孵卵場の後藤悦男社長が委員長をされている産学交流促進委員会に出させてもらった。

ここでの主な議題は「家禽学会研究者、技術者データバンクの構築」であった。この計画は既に進められていてデータ構築の段階にある。 この学会を機会に更にPRにつとめ、登録者が100名を超えた時点で一般公開する予定とのこと。これは家禽の研究者、技術者と家禽産業界のニーズとを「お見合い」させるシステムで、お仲人さんには学会のしかるべき先生になっていただく。

とにかく学会のほうが積極的にこの課題に取り組んでいただけるのは有り難いことだ、産業界もこれに応える必要がある。 資源のない日本が世界のなかでこれまで来れたのも、それに代わる人間という資源があったからに違いない。少なくなったとはいえ、家禽学会には500人を超える会員がいる、大学、県及び民間の研究所がそれを支えている。

50年の歴史をもつ家禽学会の人材と業績はまさに財産である。 研究者、技術者データバンクの構築のみならず、並行して業績のデジタル化も進んでいる、近い将来IT技術を駆使して何処でも誰でもそれ等を埋もれることなく生かして使えるに違いない。

日本家禽学会ホームページ http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpsa/

27/September/03

ぶらりぶらり通信 櫛挽ヶ原 曼珠沙華(ひがんばな)

天候不順の夏とは言っても、秋の彼岸には私の住んでいる櫛挽ヶ原にも鮮やかな季節の変化が現れる。いつのまにか曼珠沙華(ひがんばな)の白い茎がするすると伸びて赤い花をつける、夏の盛りを過ぎてあたりが静かになった時だけにこの花は異様に目に映る。

防風林の中にぽつんと一輪この花が咲いていると、
「地面(じべた)のしたに棲む人が線香花火をしている」
のだと金子みすずが詠ったのを思い出す。

山栗が実ってたくさん地に落ちている、これを拾って帰るのも楽しみだ。ここでも養殖の栗が植えられているが、あまり熱心に手入れがされていない。もう実っているのに誰も収穫に来ない。かわりに少々失敬させてもらう。山栗は小さくて剥きにくいが味はほくほくしていて最高だ。そこへいくと養殖ものは大味でしまりがない。

昨日はカケスがやってきた。ひろげた羽の模様がきれいだ。涼しかった夏に今年は遅くまでウグイスが鳴いていた。それにつられてホトトギスが居座っていたのもほんの少し前の気がする。

シジュウカラの群れが元気よく木々の間を通り過ぎる。たしかに鳥どもも主役は完全に代わっている。まもなく櫛挽ヶ原にほんものの秋がくる。  

20/September/03

鶏卵 Q熱 人間の病気?

誰かが無理やりに「鶏卵 Q熱 病気」を結びつけようとしている。日本、また世界中どこの国でも問題になってないことを、ことさら騒ぐ事によって利益になる連中か、売名行為であろう。昨年にも一部マスコミで取り上げられたが、問題にならなかった。

9月16日、東京都の保健所に勤める医師が、その危険性を訴えてマスコミ相手に緊急記者会見をした。組織の人が個人の立場で会見したのもおかしいが、その基礎となるデータも人さまの借り物とは恐れ入る。

内容は「調査した鶏卵の6%はQ熱病原体に侵されているから危険だ」というもので、前回と変わらない。今回も一部マスコミ、テレビが取り上げた。
http://health.nikkei.co.jp/news/top/topCh.cfm?id=20030916e002y85916

養鶏、鶏卵業界のQ熱に対する公式見解は日本養鶏協会のホームページ
http://www.jpa.or.jp/news/media/index.html
にあるとおりで、「鶏卵 Q熱 病気」は大袈裟に騒ぐほどの関係はない。

20/September/03

ぶらりぶらり通信 「山の郵便配達

深谷の街に映画館(深谷シネマ)が復活してから丁度一年になる。それを記念して「山の郵便配達」が上映されたので出かけた。オープニングの時も同じものが使われたので、この映画館は余程この映画には思い入れがあるのだろう。

私はまだ行ったことがないが、東京神田に岩波ホールがある。知る人ぞ知るで確か30年間近く、世界中から値打ちのある映画を見つけ出し、これを上映してきた。"良い映画"必ずしも興行的に成功するとは限らない。否むしろその逆であろう。その中で頑なにそのポリシーを変えず、それを継続してきたことは驚嘆に値する。

山の郵便配達」はこの岩波ホールが2001年4月に初めて上映したと、記録に残っていた。この岩波ホールの精神が深谷シネマに乗り移ったかのごとく、この一年間頑張ってくれたのはとにかく有り難い。

この映画は1980年代中国、湖南省の郵便配達親子の物語であるが、見ていてなんともすがすがしい。映し出される山村の生活とその風景は、おそらく数百年、或いは千年を超えて維持、継続されてきたものであろう。

ストーリーはちっともドラマチックなものではなく、見せ場という見せ場もない、それでいて見終わった時には充分満たされた想いがした。

映画とは不思議なものである。

16/September/03

ぶらりぶらり通信 「犬も歩けば棒に当たる」 その3

岩松院にある北斎の天井絵「八方睨み鳳凰図」の印象が余程強烈であったせいか、このところ北斎が気なってしょうがない。

急に親父虎松が大事にしていた「富獄三十六景」を思い出した。北斎の版画である。あれは確か横浜の愛鶏園記念館にあるはずだ。

92歳まで生きた親父は横浜の古い農家に次男坊として生まれた。当時どこでもそうであったように長男以外は農家の跡を継げず外へ出された。親父の場合は東京日本橋金物屋の小僧に出された。働きが認められて関東大震災のころには番頭格になっていたという。震災復興の無理がたたり、結核となり、実家に戻った。当時結核に特効薬はなく多くの若者がこれによって命を落とした。

養生がてら自分に栄養をつけるため十羽のニワトリを飼いタマゴを得た。これが私ども愛鶏園の始まりである。ゼロからスタートした親父、おふくろはそれこそ夢中で働いた。

後年、息子どもが養鶏の跡を継ぎ、時間的にも、お金の面でも余裕が出来ても、質素な生活は変わらなかった。八十歳を過ぎたころ、身の回りを整理すると言うので、愛鶏園の記念館を建てた。中に入っている物は、言っては悪いが金目のものはなく、他人様にとってはガラクタ同然のものである。しかし親父たちにとっては、記憶の詰まった本当の宝物であったに違いない。

親父は北斎の「富獄三十六景」が好きで、そのせがれに富士雄と名づけたほどだ。若い時からこれが欲しかったが我慢していたらしい。終戦のドサクサで戦前の貨幣が使えなくなったとき、親父は神田の古本屋に飛んでゆき、欲しかった本をどっさりと、これを手に入れたと聞いている。親父が初めてした贅沢だったとおふくろは話していた。

北斎が江戸から小布施へ行き、あの鳳凰図を描いたのは八十歳を過ぎてからだと言う。その凄さはけた違いだ。これでは当分北斎にとりつかれそうである。

16/September/03

<日本たまご事情>男はタマゴを毎日2ヶ食べると心筋梗梗塞で死なない?

先日、毎日新聞の記事に 、
「女性の死亡率 毎日卵2個以上食べると2倍に」という記事が出ていました。
http://www.mainichi.co.jp/women/news/200309/09-04.html

私どもタマゴ屋には、心臓が止まりそうになる悪い記事です。早速調べてみましたら、この事についていろいろな事がわかってきました。

この記事のもとになった日本心臓学会における滋賀医大島弘嗣先生の、
「鶏卵摂取量と総コレステロール値、総死亡率、心筋梗塞死亡率の関連」の発表要旨及び添付表を見てみますと、その発表主旨は誰が読んでも新聞記事とは異なります。

「女性の死亡率 毎日卵2個以上食べると2倍に」とセンセーショナルなタイトルになっていましたが、これは上島弘嗣先生の発表主旨とは違います。確かに卵2個以上食べる女性は心筋梗塞死亡率が2倍になっているデータが発表されています。ところが同じ欄に卵2個以上食べる男性は心筋梗塞死亡率ゼロとなっています。ただしこれらは、いずれも他のデータ数に比べ極端に少なく、結論を出すには充分でないと思われます。

タマゴのマイナスイメージのみを強調した悪意のある記事としか考えられません。えてして新聞はニュースになりそうな事を面白おかしく書くきらいがあります。その逆も真実です。それによって被害を受ける側はたまったものではありません。

同じ学会発表要旨を見て記事を書いているのですから、
「女性の死亡率 毎日卵2個以上食べると2倍に」なるなら
「男はタマゴを毎日2ヶ食べると心筋梗塞で死なない」も事実です。
近々日本養鶏協会のほうで上島弘嗣先生に会いその発表主旨を確かめてみるとの事です

6/September/03

ぶらりぶらり通信 「犬も歩けば棒に当たる」その2

前回、小布施町にある岩松院に北斎の天井絵に肝をつぶした話をしましたが、この寺は同時に小林一茶にも縁がある。

"やせ蛙 負けるな一茶 これにあり"
の句はこの寺の池の辺で詠まれたと石碑が建っていました。現にその池がありました。今でもヒキガエルの繁殖期、何百となくこの池に集まって雌を争って雄ガエルが取っ組み合いをするそうだ。

"盃に 蚤およぐぞよ およぐぞよ"
同級生のカバさんが、以前イザベラ・バードの蚤談義をやっていた時おくってくれた一茶の句である。もっとも今、蚤がいなくてはこの面白さは判らなくなってしまったが。

一茶といえば天衣無縫で、どこかユーモラスな句で知られているが、
"露の世は 露の世ながら さりながら"
というシリアスなものもあります。この句を知ったのは免疫学者多田博士の「邂逅」を読んでいた時です。

博士は脳梗塞で倒れ死の淵より生還し、重い障害に苦しみながらも生きながらえている心境を一茶のこの句に託している。一茶は52歳で結婚しニ児を得たが次々と幼くして亡くす、そのときに詠んだ句だけに底知れない悲しみが伝わってくる。

支離滅裂に話は北斎から一茶に飛んでしまったが、とにかく小布施は不思議な街だ。私に俳句談義をさせるのだから・・・。

4/September/03

ためしてガッテン

9月3日、NHKの人気番組「ためしてガッテン」にてタマゴ料理が取り上げられた。「たまご料理の裏ワザ」として、シンプルだがつくり方の難しいオムレツ、茶わん蒸し、プリンの作り方をプロとアマチュアの違いを分りやすく紹介していた。

誰でもあの美味しそうなオムレツをみれば自分で試したくなる。テレビの凄くて怖いところだ。

このところ、日本ではタマゴがあまりにも安くて、それに同情してくれるせいか?マスコミのタマゴに対しておおむね好意的だ。これに反してアメリカ、ヨーロッパでは不幸なことに、コレステロールサルモネラ問題で執拗にタマゴをマスコミは叩いた。結果的にはそれが科学的に誤りであることが分っても、一度落としたイメージはいまだに消えない。

このことにアメリカ、ヨーロッパの鶏卵業界はいまだに苦しんでいる。日本はその轍を踏むまい。 早速NHKのこの番組をビデオに撮り、タマゴ直売所ほかで映すことにした。

なおこの番組についてはNHKのHPを参照されたい。
http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2003q3/20030903.html

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31/August/03

ぶらりぶらり通信 「犬も歩けば棒に当たる」

「犬も歩けば棒に当たる」とはよく言ったもので、先日思いがけず面白い物にぶつかった。

私の住んでいる岡部町から高速道路に乗れば2時間で長野市に着いてしまう。冬のオリンピック以来ずいぶん便利になったものだ。お目当ては上林温泉、塵表閣の混浴野天風呂で、近くの松浦さんの家族に同乗させてもらい、お嬢さんの運転で出かけた。

少々時間が有るというので途中小布施町に寄った。カミさんたちは前にも来たことがあるそうだが私は初めてであった。小布施町北斎寺(岩松院)と落雁が旨いと聞いてはいたが、今では「人の集まる街作り」で有名である。
 
なるほど街には若い娘さんたちがいっぱい遊びに来ている。それにつられて若い男どももやってくる。善光寺参りのついでにやってくるジイサン、バアサンだけを当てにしなくてもよい。

この街には余程の知恵者がいるらしい。一つのしっかりしたプランとコンセプトのもとに毎年この街は確実に成長している。確かにこの前来たときより良くなっていると誰でも言う。

私はこの町の岩松院にある北斎の天井絵「八方睨み鳳凰図」を見て正直肝をつぶした。こんなに大きな迫力のある日本画は見たことが無い。画題は中国から貰っているとはいえ、北斎のオリジナルなデザインはまったく凄いものだ。

その夜、混浴野天風呂を楽しんだのは言うまでもない。ただし女性が特製浴衣を身に着けているのがちょっとだけ気に入らなかった。

31/August/03

寒さの夏はおろおろ歩き・・・

日照り(雨不足)の時は涙を流し、寒さの夏(冷夏)はおろおろ歩き・・・。

ご存知、宮沢賢治の歌である。37歳の若さで彼は世を去っているが、残したものはあまりにも多い。
今年、北海道、東北3県は大変な冷害と聞く。私のいる埼玉県熊谷地区は日本でも最高気温を記録するところだが、今年はやはり冷夏である。稲作の人達には申し訳ないが、鶏たちにとっては暑さによる熱死もなく過ごしやすい夏となった。
 
一方、EUからの便りによれば、今年は異常に暑く、養鶏産業にその影響は大きく、特にフランスの北西部では百万羽のブロイラーが熱死している。いまだかって経験した事のない暑さと言われるから、いつもは夏涼しいヨーロッパは暑さに対する備えは出来ていない。ブロイラーのみならず採卵鶏にも影響がでたと容易に想像できる。
 
このため鶏肉の値段が15−35%値上がりし、漁夫の利を得たのはタイ、アメリカでそこからの輸入が急増している。タイから日本へ輸入される鶏肉の値段も急騰した。異常気象は世界中の農畜産物の値段を撹乱する。
泣く人、笑う人、世はさまざまだ。いつなん時この立場は逆転しないともかぎらない。

17/August/03

GOOD NEWS アメリカの鶏卵消費量大幅UP
 
前回、台風と停電について心配事を書いたら、NYにて史上最大の大停電が起きた、クワバラ、クワバラ・・・まったく、なにが起きるかわからない。

GOOD NEWSをひとつ
近年アメリカで、鶏卵の一人当たり年間消費量が大幅に上昇している。6年以前それが235ヶであったものが、昨年(2002年)は254ヶと推定されている。

ヨーロッパなど先進国の鶏卵消費量は依然として横ばいか減少しているなかで、なぜアメリカのみが回復したのだろう?

「タマゴとコレステロールの呪縛」にアメリカはじめヨーロッパ諸国の鶏卵業界は徹底的に苦しめられた。1960年代初期、アメリカは鶏卵消費量年間一人当たり400ヶを超えていた、これが1990年代初期220ヶ代に落ち込んだ。大きな理由は「タマゴとコレステロール」問題であった。

以来アメリカの鶏卵業界はこれが科学的に間違いであることを訴え続けた。幸い最近ハーバート大学の11万人に及ぶ大規模な疫学調査の結果、健常者であればタマゴ一日一ヶ摂取はなんらコレステロールと関係ないとの結論となった。

また日本などタマゴを世界一たくさん食べる国が心臓病が少ないことがはっきりし、タマゴが悪者なのではなく、要は食事のバランスであり、カロりーのコントロールであることがアメリカ人にも判ってきたのがその理由である。

この間、アメリカの鶏卵業界が手をこまねいていた訳ではない。懸命になってPRに努めた。その努力の一端が下記HPに見られる。

24/August/03

ヒヨコは誰がつくるの?

採卵用のヒヨコをつくる種鶏孵卵業界がすっかり変わってしまった。その激動の歴史はそれだけでひとつの物語となる。

私は採卵養鶏家サイドにいて、専門農協による種鶏孵卵事業にかれこれ30年以上携わってきたが、これはとても難しい仕事だ。個人企業でそれこそオヤジがシャカリキになってやっても難しい仕事なのに、まして組合での経営となると尚更だ。
 
そういうわけで、30年まえ全国で実質的に活躍されていた孵卵場は500軒以上あったものが現在ではその一割もない。専門農協では私どもの神奈川養鶏連のみとなってしまった。幸い組合は人を得たことと、これを支えた採卵家の連携プレーで設立いらい50年持ちこたえることができた。

採卵養鶏家にとって困ることは、選択できる孵卵場の数が減ってしまうことと、同時に選択できる鶏種が少なくなってしまうことだ。ところが現実にはこの30年間確実にその方向に向かっているし、近い将来さらにそれは進むであろう。

そのなかで専門農協として孵卵場が生き残る道は一つしかない。それは「さらなる採卵家との連携プレー」につきるであろう。機能分担して、ヒヨコをつくる人、タマゴをつくる人が一体となってことに当たる。幸い食品の安全性が問われる今、本当に安全なタマゴをつくるには、ヒヨコにまでさかのぼる必要がある。
「自分たちのヒヨコは自分たちでつくる」組合設立の原点に立ち戻らざるを得ない。

24/August/03

ぶらりぶらり通信 「邂逅(かいこう)」

世の中には凄い人がいるものです。

自分が脳梗塞で倒れた経験があるものだから、新聞や本を見ていてもその手の記事には自然と眼がゆく。特にその病気に倒れ、障害を持ちながら残された機能を生かし、社会復帰している人たちの話には心を動かされる。

世界的に活躍されていた免疫学者の多田富雄先生は、2年前突如脳梗塞で倒れられ、それもかなり重症であった。言葉を失い、半身麻痺、食べ物を飲み込むことも出来ない状態に追い込まれ、学者としての生命は絶たれた。その時の心境を率直に書かれているが、とても悲しくて読みとおすことが出来なかった。
 
社会学者の鶴見和子先生も5年まえ脳出血で倒れた。現在でも車椅子の生活であるが、病後、頭が冴えて若いときにやっていた短歌が際限なしに湧き出てくると言い、病後短歌集「回生」を出版されたほどである。
 
脳卒中の後遺症は人によって千差万別である。幸いお二人は思考回路と記憶の部分が残った。 この二人が最近対談集「邂逅(かいこう)」(藤原書店)を出された。往復書簡をもって構成されているこの本はかなり専門的で決して読みやすくはないが、読む人を勇気づける。
 
学者としての生命を絶たれても、残された機能を最大限生かし、その人ならではの発言には深く感動する。言ってはなんだが、病院でもらってくる若い先生処方の脳卒中の薬より、この本のほうが効きそうである。

17/August/03

ぶらりぶらり通信 インターネット書店

本を読むのは楽しい。面白いもんで、読めば読むほど次に読みたくなる本が出てくる。さぼっていればそれが出てこない。

現役時代は仕事関連のそれらを無理やり読んだが今はそれも無い。有り難いことに気の向くまま好きなものを選べるから不思議だ。書店の棚をひやかして歩くのはなんともいえない快楽のひとつである。そこには自分の知らない世界が拡がっているからだ。

さらに最近、インターネット書店の面白さにやみつきになってしまった。ご存知、紀伊国屋書店BK1、アマゾン・・・などネット書店が繁盛している。 各社それぞれ独自の書籍データベースを競っているが、これが実に楽しい。著者、書名、出版社、ジャンル・・・等、如何様にも検索、一覧表示、並べ替え可能なのだ、まるで図書館の検索室が自宅に引っ越してきたみたいだ。

ちょっと前ならまるで夢のようなことが自宅のPCで出来る。若い世代にとっては当たり前のことだろうが私等の世代にはまるで魔法に近い。

という訳で、興奮のあまり読みもしない本を買い込み、家中はごみ箱と化してしまった・・・カミさんの機嫌が悪い。

10/August/03

台風一過

台風10号が全国に被害を残して通り過ぎ、そして暑さが戻ってきた。台風で恐ろしいことは色々とあるが、最近の養鶏家にとっては停電が最も恐ろしい。特にこの頃の鶏舎はウィンドウレスで自動化が進んでいる。気温の高いこの時期は一刻も電気無しではいられない。確かに緊急時の発電機は用意してあるが、たいてい最小限のものしか用意されていない。ましてや2−3日以上にわたる停電など未経験なので、無事切り抜けられるか心配の種はつきない。

今年の夏、原子力発電のトラブル隠しで発電がストップし、日本に大停電が心配された。このようなピンチの時、さすが日本人は各人それぞれの立場で良識を発揮して事なきを得た。大停電が起きればその被害ははかり知れない。現にアメリカ、カ州でのそれが現実に起き大問題となった。

悪い悪いと言われた日本の経済もどうやら底を打ったらしい。マスコミは日本の現状を必要以上に悪く言いたがる。良い状況があっても取り上げない。まるで良くなっては困るみたいだ。
 
日本の鶏卵業界も戦後最低の卵価と騒いでいるが、世界の鶏卵業界の状況に比べればこんな恵まれた国はない。世界最大の一人当たり鶏卵消費国にいながら贅沢は言えない。
日本の鶏卵業界は「経済の問題は経済で解決する」、下手政治が絡むとややこしくなる。

10/August/03

ぶらりぶらり通信 「戦場のピアニスト

大分遅まきながら深谷の映画館で「戦場のピアニスト」を観た。

いつもは十人前後の観客も、この晩は大入りで三十人前後入っていた。と言っても満杯で50人なのであるが。上演に先立ち館主が挨拶するのものこの映画館らしい。今日は昼の部二回とも満員であったとのこと、さすがに嬉しそうであった、たとえ観客が2−3人であっても、ここでは真面目に上映してくれる。なんとか長続きして欲しいものだ。
 
みっともない話だが、病気をしてから感動することがあると、ところ構わずまず身体が反応して嗚咽してしまう。とにかくこの映画には泣かされた、周りの人が怪訝そうにこちらを見ていてもお構いなしである。

物語は第二次大戦、ナチの占領下ワルシャワで生き抜いたユダヤ人ピアニスト、シュピルマンの実話である。何故か破壊しつくされたワルシャワの街を泣きながら一人行く主人公に、横浜大空襲の晩を想い重ねていた。

親父が「これが横浜の見納めだ」とばかり、防空壕に隠れていた小さかった家族全員を外に出し、空襲によって赤々と燃える横浜の夜空を見せた。

同時代、シュピルマンはゲットーを逃げ出し、奇跡的に生き延びていたことになる。映画が終わっても立ちあがる人はいなかった。エンディングに使われたショパンピアノ曲があまりにも凄かったから・・・。

6/August/03

<日本たまご事情>どうして卵はこんなに安いの?

今年の卵価は戦後最安値が予測される。理由は需要をこえた生産過剰である。
採卵業界は戦後何度となく低卵価と高卵価を繰り返してきた。これではならじと業界を安定させるべく種々な対策がたてられた。行政指導による生産調整はその最たるものであろう。これも長年試行錯誤したが十分機能したとは言え無い。
 
以前なら、今年のような低卵価に見舞われると、生産者は生産調整の強化の大合唱となった。政治的に問題を解決しようとしたのであり、今年はそれも無い。行政指導による生産調整などで問題が解決しないことを業界は理解したのだ。業界は成熟した。経済の問題は経済で解決していく。今までもそのとおりであったが、今年さらに明らかになるだろう。
 
米、牛乳、の世界ならいざ知らず、タマゴは今までも政治の力の外にいた。結果的にはそれが良かったのであろう。政治に頼らず自分たちで力をつけてきた。そして世界中でも一番タマゴのマーケティングに成功した。5000万人以上の人口を持つ国で、日本は一人当たりダントツの鶏卵消費量である。
 
これは鶏卵業界が戦後、競争を繰り返しコストを下げ、他の食品より「お値打ちなタマゴ」を国民に提供したからである。今年から来年にかけて、経営規模の大小を問わず脱落するものが出てこよう。そしてバランスがとれる。それに耐えることが避けられぬことであり、厳しいが日本の鶏卵業界を強くする道であり、消費者の皆さんに支持される道と確信する。

3/August/03

ぶらりぶらり通信 ホトトギスが鳴く その3

やっと梅雨があけた。今年の夏は低温続きのためか、いつもより遅くまでウグイスが鳴いていた。 それにつられてホトトギスも長逗留していたようだ。
 
以前にホトトギス談義をしていたら、等々力に住む蜜蜂の渡辺さん夫妻から声がかかった。信州眞田の高原にある山小屋に案内したいという。白樺林に包まれたこの地はウグイスほか小鳥たちの天国で、その時期には全山ホトトギス、カッコーが鳴き交わすと言う。
 
こう聞けばじっとしていられない。さっそくカミさんと長野の山小屋に向かった。渡辺さんの大事にしているこの山小屋は、二代目のもので隣に初代のそれも立派に管理されている。渡辺家の山荘生活は親、子、孫と三代にわたり半端ではない。
 
運の良いことにその晩は満天の星に恵まれた。寝転びながら見ていると、大きな一枚ガラスに映る星空と暗い林はまるで絵のなかに自分がいるような錯覚を覚えた。翌朝、小鳥たちの鳴き声で眼がさめた。これからコーヒーを沸かす湧き水を汲みに行くという。長靴をはき夜露に濡れる熊笹の路を急いだ。
 
一杯の朝のコーヒーを飲むお膳立ては出来た。白樺をとおして山荘に差し込む朝の光、小鳥たちの声、ベランダに用意された朝食、仲間との語らい・・・。
「旨い!。」
カミさんが素っ頓狂な声をあげる。忘れられない一杯のコーヒーとなるであろう。
 
どういうわけかこの日はウグイスは鳴けどホトトギスの声はなかったが、充分満たされていた。

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27/July/03

オランダ、ベルギー、ドイツ トリインフルエンザ(AI)の危機去る

今年の2月末にオランダに発生し、一部ベルギー、ドイツに飛び火したトリインフルエンザ(AI)はヨーロッパのみならず、世界中の養鶏家を震撼させた。
 
7月11日、European Commissionによればオランダの一部をのぞいて、AIに関する規制を解除した。ひとまず危機は去ったようである。AIの感染があり、殺処分され、空家となっていた鶏舎にも鶏が順次導入されている。手順としてはまずその鶏舎にテスト鶏を入れ、AIの再感染がないことを確かめて行われるようだ。
 
しかし、AIがオランダ養鶏業界に残した傷跡はあまりにも大きい。AIの発生によって、オランダで一人の獣医さんが感染し死亡するというショッキングなニュースがあったにもかかわらず、これによってパニックになり、タマゴ、鶏肉類を消費者が食べなくなることは起きなかったようなのが不幸中の幸いである。
 
それどころか、最大の鶏卵輸出国のオランダが移動禁止になり、ヨーロッパ全体の卵は逼迫し鶏卵価格は上昇した。
皮肉なことだがスペイン、東欧その他周辺諸国の養鶏家は潤ったという結果になった。

27/July/03

ぶらりぶらり通信 当世写真事情

写真は楽しい。片付けごと等をしていて古い写真などが見つかるとおもわず見入って しまう。今までになんやかやと撮りためた写真をかき集めるとダンボール箱に4−5杯あろうか、生来の整理下手でそのまま箱にぶちこんである。
 
必要な一枚の写真を見つけるとなると大騒ぎになる。私のパソコン師匠、高橋さんは現役引退を機会に、同じくダンボールに溜まっていたそれらを整理しCDにしてしまったと言う。師匠に相談すると、そんなものは簡単でCD 4−5枚に収まってしまうとのたまう。
 
よく聞いて見ると、ちゃんとそのネガが保存されていての話だ、そこで私はまたもや失格。それなら古い写真を一枚一枚スキャナーでとって、CDに収めればよいとのことだが、今のところそんな気力もない。
 
よく行く写真屋写楽」のオヤジさんが智恵をかしてくれた。この店は他店に先駆けて現像のデジタル化に取り組み、早い、安いのプリントで多いに繁盛してきた。ところがデジタルカメラの出現により環境は激変した、繁盛していた写真プリントがこの3年で半分になってしまったと彼は話していた。
 
私はいまだにフィルム派なので、気の毒がって?今後プリントと同時にネガをデジタルにしてそれをとっておいてくれるという。一枚100円のCDに普通の写真なら300枚は入るそうだ。時代が変わってしまったらしい。
 
そろそろデジタルカメラに乗り換えようと、何度もカメラ店に行くのだが、新製品のきらびやかさに気後れして、未だに長年連れ添ったフィルム使用の馬鹿ちょんカメラを手放せないでいる。

20/July/03

ぶらりぶらり通信 ホタルが帰ってきた その2

消えてしまった岡部町のホタルを取り戻そうと、町の有志たちが活動を始めてからもう拾数年になる。 平家ホタルの人工飼育を各人分担して自分の家でそれを繰り返した。これは365日気の抜けない、そして根気のいる仕事である。
 
生えさの用意、水の取り替え、温度管理、タバコの煙・殺虫剤からの分離・・・一つでもミスすれば全滅してしまい、それまでの努力はゼロになる。白状するが、私はたった一日の温度管理の不注意でそれを全滅させてしまった。日なたにホタルの幼虫のいる水槽を置き忘れ高温にしてしまったのである。
 
そういう訳で私にはホタルを語る資格はないのだが、難関を突破してホタル名人たちは毎年数千匹のホタルを見事に発生させ、交尾、産卵、幼虫、そしてこれを里山の小川に帰している。この気が遠くなる作業を10数年間繰り返しても、一度バランスを崩した自然は受けつけてくれず、ホタルの自然発生はならなかった。
 
7月9日夜、歯医者の河田先生の奥さんのあとについて、私は孫ともども小雨の降る暗い田んぼ道を急いだ。永年、休耕田となっていたその草むらには雨に濡れて平家ホタルのかすかな青い光があった。田んぼに戻した幼虫が自力で立派に成虫になったのだ。
 
河田先生も駆けつけた、この時を待っていたのだ。見ている皆の胸に熱いものがこみあげた。

18/July/03

<日本たまご事情>シンガポールたまご事情 その2

シンガポールの養鶏家Kohさんの話を続けます。
 
当地駐在の日本人は現地の卵を衛生上の問題で怖がって生で食べません。私ども愛鶏園が現地の日系デパートに生食用の卵を輸出していたこともKohさんは知っていました。シンガポール国内の養鶏が隣のマレーシアなどから来る安値の卵に対抗するには、徹底した差別化しかないと言うのがKohさんの結論でした。
 
既に述べましたように、周辺諸国に比べてダントツに所得水準の高いシンガポールの消費者の関心は、卵について値段の安さもさることながら、その鮮度、安全性、生産履歴・・・等に移ってきているとKohさんは言います。
 
ちなみに ALICの海外駐在員小林さんの調査によれば、シンガポールの鶏卵価格は日本からの空輸によるものが1個1シンガポールドル(72円)、国内で生食用に生産したものが同75セント(54円)と日本人をターゲットにしたものはきわめて高い価格で販売されています。通常のものは同12〜30セント( 8.6〜21.6円)、マレーシア産のものはさらに安値であるようです。
 
生産履歴がわかり、鮮度が良く、安心なシンガポール国産の卵を増やすチャンスだと、Kohさん親子は意気軒昂でした。このことは、とりもなおさず日本の鶏卵業界が直面するであろう中国卵の安値攻勢に対抗する方策そのものと確信しました。

13/July/03

ぶらりぶらり通信 ホタルが帰ってきた

前回、深谷の街に30年ぶりで映画館が帰ってきた話をしました。今度はホタルがわが岡部町に帰ってきた嬉しい便りをします。
 
私の住んでいる岡部町は豊かな農村地帯です。畑、田んぼ、里山、防風林、神社、鎮守の森、お寺さん、、、これらが伝統的に地域の人たちに守られてとても美しいところです。この土地の私と同年代の人たちは子供のころ、里山や小川は格好の遊び場であり、鮒、なまず、かに、トンボ、かぶと虫、ホタル・・・はその遊び相手であったと話します。
 
この自然の豊かな岡部町でさえ、便利で快適な生活と、一見豊かに見える生活と引き換えに多くの自然の生き物を失ってしまいました。
 
確かに昔は自然が豊かで、その生き物達が豊富であったのです。しかし同時に害虫も多かったことも忘れてはならないことです。自然が豊かでも決して良いことばかりでは無かったのです。
 
芭蕉の「蚤虱馬の尿(バリ)する枕もと」ほどではありませんが、私の子供時代は蚤(のみ)虱(しらみ)は当たり前で、これに食われて痒くて夜中ポリポリとかきむしった記憶があります。今でこそ殺虫剤のDDT,BHCは悪者となっていますが、それが出た当初、家の中から蚤、虱を追い出すまさに魔法の薬であったのです。小学生のころ「虱退治」といって、全員頭からDDT粉剤をかけられたのを覚えています、今ならとんでもない話です。
 
しかしこれら便利な農薬は害虫を殺すと同時に他の生き物も皆殺しにしてしまい、気が付いたら岡部町からホタル他多くの生き物が消えていました。こんな事をしていると、同じ生き物として人間さまも危ないとの危機感があります。快適な生活と豊かな自然の共存はこれからの課題であり、難しい問題です。
 
実は岡部町にはこの問題に真正面から取り組んだ素晴らしい人たちがおります。縫製業の館野さん、歯医者の河田先生、酒屋の松崎さん・・・この人たちの十数年にわたる努力によって、ホタルが岡部町に帰ってきたのです。
 
この話は次回。

8/July/03

<日本たまご事情>シンガポールたまご事情

先日、シンガポールの養鶏家Kohさん親子がやってきた。丁度SARS騒ぎの真っ最中であるし、こちらも警戒した。
 
話しているうちに、どこの国でもその国独特の問題があり、またそれを解決するのに特別な智恵を持っているものだと感じ入った。ご存知のごとくシンガポールは天然資源もなにもなく、東京都ほどの小さな島に300万人少々の人が住んでいる。立地的に言えば他の周辺諸国がそうであるように、貧しい南方の小島であっても不思議はない。
 
ところが周辺諸国に比べてダントツに所得が多く、この国だけが突出している。何故であろうか?  以前、シンガポールチャンギ国際空港を訪ねたことがあるが、それは成田空港を凌ぐものであったし、とても300万人の国のものとは思えなかった。資源、食糧、水さえ自国で賄えないシンガポール国民は徹底的にその「智恵」を国家生存の道具にした。優れたリーダーのもとにそれはかなり強権をもって推し進められた。国家戦略として、貿易、金融、ハブ空港、コンテナ基地、加工貿易、観光、IT・・・に徹底的に力をいれた。いずれも「智恵」の産物だ。
 
この国の鶏卵の自給率は35%で、その消費量も正確な統計はないが国民一人あたり年間300個を超すという。日本に近いハイレベルである。65%の鶏卵はすぐ隣のマレーシア他から半値ちかい価格で自由に入ってくる。シンガポール政府は自国の農産物になんら保護政策をとらない。鶏卵もその例外ではない。このような状況下で鶏卵の自給率を35%から55%に高める計画が民間で進められている。
 
ここにもシンガポール養鶏家の智恵が生かされているのだが、日本が将来予測される安値の中国卵の輸入にただ脅えるのではなく、それに対処するヒントがKohさんの話に含まれていた。その話は次回。

5/July/03

ぶらりぶらり通信 たそがれ清兵衛

深谷の街に映画館が戻ってきた、30年ぶりのことだ。
 
私達が岡部町に引っ越してきた当時、隣町の深谷にはそれがあった。たしか"ムサシの館"とか言ったが定かではない。ご多分にもれず、繁盛していた旧街道沿いの商店街は、この30年間時代の変化についていけず、新興商店街との競争に敗れ寂れてしまった。何時の間にか映画館は消えてしまい、付き合いのあった目抜き通りの銀行支店も合理化にあってクローズしてしまった。
 
30年間ジリ貧で元気のなかった商店街にある変化が起こった。これではならじと街の青年たちが応援してこの銀行の建物をそっくり映画館にしてしまったのだ。大金庫の扉はそのまま残し、そこを通り抜けた上の部屋が映写室といった具合である。椅子席は50席もあろうか、スクリーンがあまりにも近いので、後ろのほうが特等席だ。
 
その晩に上映されたのは「たそがれ清兵衛」であった。他の街ではもうとっくに上映は終わっている。どちらかと言えば一周遅れ二周遅れのそれだが、良いものを安く借りてきて見せてくれるから有り難い。
 
ご存知「たそがれ清兵衛」は原作藤沢周平山田洋次監督初めての時代劇である。最後ほうに出てくるのだが、舞踏家田中ミン演ずる凄みのある剣客ぶりに映画ならではの醍醐味を味わった。嬉しくなって、ENDの出たところで手を叩いたら、他にも2−3人同じ事をする同年配の人がいた。
 
つぎは「壬生義士伝」、「戦場のピアニスト」と続くそうな。これでは今年の夏はぶらりぶらりとしてはいられない。


たまご屋おやじの独り言 2003年12月

26/December/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?最終回

船でのお喋りを書いていると際限がない。ひとまず船を降りることにする。十日間の船旅を終えて早朝メキシコのENSENADAについた。ここは米国カリフォルニア州の国境から車で2時間、太平洋岸のわびしい港町だ。 ここから米国 SAN DIEGO にバスで向かう。のんびりした楽しい船旅からたちまち厳しい現実に引き戻された。赤茶けた大地にへばりつく貧しい家々、緑の植物がまったく見えない乾燥しきった山々。たまに街にさしかかると信号で止まっている車に群がる窓拭きの子供達・・・。

国境の町 TIJUANA は鉄条網で仕切られている。この町のみならず延々とこれは続き二つの国を別けている。鉄条網のあちらとこちらはまるで別世界だ。緑の芝生、瀟洒な家々、巨大なスーパーマーケット・・・、これではどれだけ取り締まっても密入国者が絶えないのもうなずける。いまやヒスパニック系の人口がカリフォルニア州を飲み込もうとしているらしい。

幸か不幸か日本は、鉄条網の国境に晒されていないが、そこには海があるだけで実質的には中国とは同じ関係にある。両国の間に大きな経済格差のあるかぎり、密入国者、またそれらによる犯罪は絶えないと覚悟せねばならない。幸い鉄条網越しに毎日その差を見せ付けられてはいないが…。

船に乗り込む時には、まだ少しふらふらしていたのが、お陰様で降りる時には少し背筋がピンとしたように感じた。

26/December/03

ぶらりぶらり通信 船でぶらりぶらり?

クルーズでの生活は、昼間それぞれが自分に合った楽しみを見つけて過ごすのだが、夕食の時には顔をあわせ、その日にあったことなど話しながら食事を楽しむ。私にはMr&Mrs.Nakazawaが二十歳代まで日本で生活し、その後約五十年間どのようにアメリカの生活にとけこんでいったか、その話がとても面白かった。

特にアメリカ人の住宅についての考え方が面白い。二人は今までに十三回引っ越したという。これは一般のアメリカ人にとって特別多いことではないらしい。家族の構成の変化、職場の移動などによっていとも簡単に住居を変える。国全体がそう言う仕組みで動いているので移動しやすいのはわかるが、それには大変な智恵がいるようだ。

「住宅を買う時に、まずそれを売るときのことを考える」、Mrs.Nakazawaはこともなげに言う。そしてそれを実践してきたらしい。 日頃から家の手入れを怠りなく、買った時より魅力的な内装に調え、庭も趣味良くつくり、いつ買い手が現れた時でも欲しくなる状態にしておく。そのための専門的なレッスンも受けたと言う。引越しする度にその実践的なノウハウも身に付けた。購入時より売却時の資産価値を上げるのか下げるかは主婦の腕らしい。

自宅の芝刈りを怠ると、ご近所からクレームがくるお国柄だ。、なにもそれはむさ苦しいだけではなく、そんな家があるとそのコミュニティ全体の住宅の資産価値が下がるという現実的な意味があるようだ。  たまの休日、眠たい旦那をたたき起こして芝刈りをさせるのも主婦の腕次第・・・。

22/December/03

韓国、鳥インフルエンザ(HPAI)、情報源

12月22日、Reutersによれば先週はじめてのHPAIの感染が確認されて一週間、感染はさらに拡大し、これをくい止めるために政府は約百万羽の鶏及びアヒルの殺処分を命じ、その三分の一が既に実行された。

現在韓国には一億羽の鶏と八百万羽のアヒルがいるが、Goh Kun首相によればオランダのHPAIの前例のごとく国の三分の一の家禽を失う覚悟をせねばならないとしている。

韓国のHPAIについては種々情報があるが、このReutersのものが正確で早い。同時に韓国の三大新聞の日本語版がとても参考になる、毎日更新され日本語で読めるので有難い。

中央日報
http://japanese.joins.com/

東亜日報
http://japan.donga.com/

朝鮮日報
http://japanese.chosun.com/

18/December/03

韓国、鳥インフルエンザ(HPAI)、防疫体制

Agence France Presse によれば韓国首相は緊急閣議を開き、12/18(木)人間に感染の恐れがある鳥インフルエンザ(HPAI)の拡大を食い止めるため軍隊の出動を命じた。その人員は500−600名で、チェックポイントの増設、殺処分、死鶏の埋葬作業にあたる。

17/December/03

韓国、鳥インフルエンザ(HPAI)、感染拡大

韓国農林部は12月17日、ソウル市の南70Km Umsung地区で新たにHPAIの感染があり、周辺の鶏、アヒル137,000羽の殺処分を命じ、すでに30,000羽を処分した。初発のEumsung地区でのHPAIはH5N1タイプと確認されたが、さらに詳しく検査するためサンプルがアメリカCDCに送られた。 
韓国がHPAIに対してとっている防疫体制は感染農場から半径10Km以内の生鳥の移動禁止30日間、さらに半径3Km以内の鳥卵の破棄となっている。Eumsung地区の半径10Km以内には76の農場と1.86百万の家禽がいる。

15/December/03

韓国、鳥インフルエンザH5N1と確定

ソウル市南東80Km、ブロイラー種鶏場で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生を疑われていたが、韓国農林部は12月15日これをHPAI,H5N1と確定した。 

これは1997年香港で6人の人を殺したHPAIと同じタイプである。韓国では1996年以来低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)の発生が報告されているが、公式にHPAIの発生を確認したのは初めてである。今後のなりゆきが注目される。

12/December/03

韓国に鳥インフルエンザ(HPAI)発生?

12月12日、Reutersによればソウル市の南東80Kmの養鶏場で19,000羽の鶏が死亡、HPAIの疑いがあり検査中。 残り5、000羽は殺処分された。
来週中に検査結果がでる、HPAIとすれば韓国でははじめてでありその拡大が心配されている。

12/December/03

コレステロール「高い方がいい」説の衝撃

これは12月19日週刊朝日の表紙に載ったタイトルである。これは医学会の「タブー」徹底検証とのふれこみで4ページのトップ記事になっている。実はこのことについて日本養鶏協会からいち早く連絡があり、同時にこの記事のソースとなった教授の本の紹介があった。内容はそれを読んでもらったほうが早いが、従来言われてきたコレステロール値より高めの人たちのほうが長生き出来ることを日本脂質栄養学会会長の浜崎智仁教授が発表したことが記事の中心になっている。

中年になれば医者にコレステロールのレベルを注意される。従来は220mgを超えると注意されたものが、240mgに訂正され、浜崎智仁教授によれば240−260mgの人たちがもっとも長生きしているとしている。どう考えてもこの危険レベルを低めに設定するすることが製薬会社の利益につながるのでなにか意図的なものを感じる。

240−260mgレベルがもっとも長生き出来るのなら、タマゴの食事制限などほとんどの人が必要でなくなる。この記事で鶏卵関係者は「タマゴとコレステロール問題」の濡れ衣を少しでも晴らせるし、また「年間二千億円のコレステロール低下薬は無駄なのか?」となって関係薬品会社をあわてさせることにもなる。

12/December/03

平成14年度鶏採卵鶏の経済検定試験 神奈川県畜産研究所

先日、平成14年度鶏採卵鶏の経済検定試験がまとまりホームページに掲載したと、神奈川県畜産研究所の岸井先生から連絡があった。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/chikusanken/14keizai/keizai14.htm

テストされた鶏種は6種ジュリア(A)、デカルブ・ホワイト(B)、マリア(C)、ボバンス・ニーナ(D)、コーラル(E)、デカルブ・ブラウン(F)であった。テスト羽数は小規模といえ、このデータは各鶏種の特徴が出ており採卵養鶏の現場で十分使える。

今では県の試験場で採卵鶏の経済試験を行なうところは限られてきているようだが、この情報は全国の養鶏家にとって大切なものだ。所属している県の養鶏家のためだけでなく、情報をネット上に公開していただければ全国の養鶏家が助かる。これは県の財産のみならず国の財産となりうる。そう言う意味で神奈川県畜産研究所がいち早く情報を公開されたことに感謝する。

今後ますます予算面で公立の採卵鶏経済試験は難しくなるに違いない。そこで残された公立試験場の貴重なデータを各県ネット上に公開してもらえればその価値は何倍にも生かされるだろう。金がなければ智恵を出すしかない。