たまご屋おやじの独り言 2004年3月

たまご屋おやじの独り言 2004年3月

28/March/04

鳥インフルエンザ シンポジウム

3月27日、東京農工大学にて市民対象に「鳥インフルエンザ シンポジウム」が行なわれた。 続いてここで開催される日本家禽学界、日本畜産学界のプログラムのひとつとして企画されたものである。 大学でやっていることを少しでも市民の方々に理解してもらうのが主旨とのことであった。 大学もサービス精神旺盛になったものだ。

演者は
東京農工大獣医学 本多英一教授 
 「鳥インフルエンザについて」
国際農林業研究センター 山崎正史氏
 「ベトナムにおける発生概略と現地生活者としての雑感」
愛鶏園 齋藤富士雄
 「鶏卵生産の現場から」
それぞれが約30分、鳥インフルエンザの問題を中心に話をし、後で質疑応答があった。

先のお二人は専門的な分野の話をかみ砕いて誰にでもわかるように話された。さすがプロである。 私は話だけでは間が持たないので、スライドを使用しなんとか役目を終えた。専門用語または業界用語を使えば簡単に説明できることでも、これを一般の人たちに理解してもらうことは意外と難しい。

話題が話題だけに予想以上に市民の参加があったので主催者は驚いていた。 参加者の関心はまず「鳥インフルエンザと人間の安全」であり、「鶏の安全、農場の安全」ではなかった。私ども農場サイドにいる者は、どうしてもこの順序が逆になりがちだ。このシンポジウムであらためて思い知らされた。

21/March/04

ぶらりぶらり通信 櫛挽ヶ原 春 彼岸

今年の鶯はとても元気が良い。四日ほど前から裏の防風林で鳴き始めたのであるが、最初から正確にホーホケキョと鳴いている。 いつもであれば、鳴き始めはたどたどしいものだ。

寒い間はさぼっていた早朝散歩を再開し、櫛挽ヶ原をぐるっと一回りしてみると、いま白モクレンの花が八分咲きで丁度見ごろである。 未だ防風林は冬の名残りの色のままで、それを背景に白モクレンの花のみが目立っている。

近くの植木試験場のヒカン桜が咲き始めた。この樹は年輪を重ねた見事なものだ。 この花にメジロの群れが来ていた。さかんに花から蜜をとる仕草を繰り返していたが、この花に蜜はあるのだろうか。ここにある多くの梅の花も大部分はその盛りを過ぎた。今年は何度もここに通ってその品種ごとの開花記録をデジカメに撮る楽しみを見つけた。

試験場にある池の鯉も動き出していた。たしかこの前きた時には寒くて深みに沈んでいたのだが。 もう間もなくこの池にもオタマジャクシがやって来るだろう。

21/March/04

鳥インフルエンザ 日本はイタリアの二の舞を踏むまい

3月19日、内閣府食品安全委員会の主催で「鳥インフルエンザワクチンに関する意見 交換会」があった。 消費者、生産者、学識経験者、厚生労働省農水省の代表がそれぞれ意見交換した。

鳥インフルエンザの発生があれば殺処分、埋設しウィルスを根絶することを継続する、そしで感染拡大を防止できない場合のみ防火壁的に地域限定でワクチンを使用する」と農水省はいい、ワクチン使用の問題点を数々あげた。 これに学識経験者はワクチンの使用は良くないと同調し、消費者は専門的な分野なので理解したとは思えず、生産者代表はそれぞれ強くワクチン使用許可を主張した。

専門家にワクチンの問題点を説明されると、生産者側はたじろぐ。それに反論する十分な材料がないからだ。 しかし生産者は今まで困難な鶏の病気の数々をワクチンの開発で解決してきたことを知っている。現在手に入るワクチンに問題ありとすれば、それを官民一体となってそれを改善解決するすることが先決である。 イタリアには既に問題点のひとつである野外株とワクチン株を識別できるワクチンがあると農水省も認めている。あとは感染防御機能の高いワクチンの開発となる。

人間用のインフルエンザワクチンは問題があっても、世界中で毎年数多くのの生命を救っているから使用されているのであろう。 人間では感染防御できるインフルエンザワクチンが開発されているのであろうか?ワクチンをしても感染によって人間の体内で生き続け問題を起こしているのだろうか?養鶏の生産現場では、症状を抑えるワクチンがあればこれをを使用し続けることでその病原菌を農場から追い出せることを経験している。 感染病を大爆発させると後々これの制御に苦しむことも知っている。現在の鳥インフルエンザワクチンが「症状は軽くするが、感染は防げずウィルスの保菌鶏を増やしてしまう」と言う農水省の説明がどうしてもわからない。まずワクチンによってその大爆発を止めるのが先決と思うが。

どうもこのままいくと、日本で鳥インフルエンザの大発生があって莫大な犠牲がないかぎり農水省はその方針を変えようとしない。「早期発見」「淘汰」でこの事態を乗り切れるとしている。野鳥がその原因と推測されつつある現在、それは無理な話である。 運良く今年が乗り切れても、来年、再来年と同じ苦しみを繰り返すに違いない。 2000年早春イタリア家禽産業を壊滅に追い込み、最後はワクチンで解決したイタリアの二の舞を踏むまい。

13/March/04

ぶらりぶらり通信 Dosado

毎日曜日の夕方は忙しい。止せばいいのにスクウェアーダンスの初心者コースに近くの公民館に出かけている。 脳卒中のリハビリにいいとカミさんに騙されてせっせと通っているからだ。

ダンスとはまるで縁のない生活を送ってきた者にとってこれは大事件だ。 ここでもオバサン軍団が圧倒的に優勢で、哀れな男どもは全体の一割にも満たない。 初めて参加したときには、元気のいいオバサンたちに引きずりまわされ、小突きまわされ、一時間も経たないうちにふらふらになってしまった。 正直なところ、初日の講習を終えたとき、もう止めたくなっていた。

最初、スクウェアーダンスはただ歩くだけのダンスで運動にもなりはせんと馬鹿にしていたのが、とんでもない話である。 たしかに他のスポーツのように運動量はないが、激しく頭を使うからだ。これが私にはこたえる。コーラー(かけ声をかける人)の即興のかけ声を聞き取り、それを教えられたとおりのダンスの形に踊るのは思ったより難しい。 ご存知のごとく、スクウェアーダンスは8人のチームダンスで、一人がずっこけるとチーム全体が駄目になる。皆口にこそ出さないがそこで「あなたは駄目ねー」となってしまう。

コーラーに「Dosado」とかけ声をかけられたとたん、反射的にパートナーを右旋回してこなければならぬ、、、こんな約束事が何百とあるらしい、これでは疲れる筈だ。ふらふらになり、恥をかき、いじめにも耐え、なんとか初期段階をやり過ごした。いまのところ続いているところをみると満更でもないらしい。

7/March/04

ぶらりぶらり通信 長嶋が倒れた

いつも長嶋がテレビに現れるとついニコニコしてしまう。 特別プロ野球が好きというわけではないけれど、長嶋だけは違う。

確か彼は私と同い年であると思う。 同年代者にとって彼は希望の星であり、スーパースターである。 若くして既にその座に登りつめたが、巨人の監督時代苦労し、今またオリンピック、ナショナルチーム監督として活躍している。まさに野球の鉄人である。

その長嶋が倒れた。 脳梗塞で右半身に軽い麻痺があるという。言葉はなんとか大丈夫らしい。 1−2週間、様子を見てみないと今後のことはまだ分からないと医者が話していた。これでは二年半前、私が倒れた時とそっくりだ。変なところが似てしまったものだ。

真面目な彼は、世間の要求するスーパースターの座を演じ続けようとした。普通の人ならとっくに参ってしまうのに、彼は頑張った。しかし人間には限界がある。不謹慎な話だが「長嶋が倒れた」と聞いたとき、何故か私はほっとした。 ゆっくり休んで欲しい。

7/March/04

鳥インフルエンザ ワクチン

3月4日、埼玉県で高病原性インフルエンザ(HPAI)防疫対策会議があった。 県の安全食品局長をはじめ重要な役職者、業界代表者等が全員集合した。県が如何にこの問題を重要視しているかその意気込みをみせてくれた。いろいろと議論のあるなかで、問題となったのはHPAIワクチンのことであった。

同日、発表された農林水産省の「鳥インフルエンザワクチンの接種について」によれば、現在の段階ではウィルス根絶をすることが大事で、ワクチンを使用する段階ではないとしている。「早期発見」と「淘汰」で対応できない場合には、限定的あるいは全国的に(予防的)に使用出来るとなっている。 それには鳥インフルエンザワクチンを接種するデメリットがいろいろと書いてあるが、専門外の私どもにはどうも解りにくい。とにかくワクチン使用は最後の手段でそれまでは鶏に感染があれば皆殺し作戦しかないといい、実際にそれを京都で実践している。

埼玉県の場合も埋設場所に問題があるが、国の方針に従うとした。 その場合、埼玉県の中心地東松山市にHPAIの発生があれば、半径30Km内に県の鶏の90%以上が含まれ、これらが機能麻痺となる。事情は関東のどの県でも同じである。

HPAIの世界的な大流行時代に、これから日本だけが清浄国であり続けることはあり得ない。 渡り鳥を皆殺しにし、鎖国をしなければそれは無理だ。 今後発生のたびごとに鶏の皆殺しと移動制限をしていたのでは、日本で養鶏業は成り立たない。 現在のワクチンに問題点があるのなら、なぜそれを技術的に解決する方向にもって行かないのであろう。 最終的にこの問題を解決するにはワクチンしかないと思うが・・・。

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