ぶらりぶらり通信Chicago編 夕日

摩天楼街のJohn Hancock Centerにたどり着いたのはもう午後7時をまわっていたであろうが、まだあたりは明るい。平日の夕方ということもあり、最上階の展望室に向かう観光客は少なかった。展望室専用のエレベータに乗るとわずか40秒で地上100階のそこへ引き上げてくれる。耳がおかしくなった。

この展望室の観覧料が一人10ドルという事であったが、どうゆうわけか二人で10ドルであった。訳を聞いてみるとどうやら老人割引があるらしい。嬉しいような嬉しくないような複雑な気持ちがした。アメリカまで来て「お前らは老人なのだ」と念を押されなくてもよい。

展望室にはかなりの人たちがいた。やはりここからの夕日がお目当てらしい。太陽の位置からするとそれが沈むのは午後8時を過ぎるようだ。その間夕日に映えて刻々と色彩を変える摩天楼の姿に思わず息を呑んだ。

若いカップルは同じく夕日を見に来たのであろうが、激しく抱き合っていてそれどころではなかった。夕日の見えるところで床に座り込み、遥かかなたの大平原にそれが沈むのをぼんやり見ていたら、すぐ近くにやはり同じ歳格好のアメリカ人夫婦が同じく床に座って静かにそれを見ていた。おそらく二人のたどってきた人生を思い起こしているのであろう。顔を見あわせたらニッコリした。