春爛漫

誰言うとなしに今年は桜が観たいということになった、平日の午前9時頃、山梨県実相寺神代桜の前に三組の老年夫婦が集まった。
私らは深谷市櫛挽を朝6時に出発して、秩父雁坂峠を越えて甲府に出て実相寺のある武川町に向かった。
同じ頃他の2組は都内から中央高速で甲府に向かっていた。

もう深谷市などの平地では桜は散って葉桜になりかけているが、標高の高い雁坂峠に近づくにつれ季節は戻り、峠のそこここに見られた山桜は満開であった。
甲府に下る道筋に見られる染井吉野も見事な花をつけていた。

樹齢2000年と云われる実相寺の神代桜はそこにあった、まさに容貌魁偉、ほかに表現のしようがない。
幹まわり十数メートルを超えるそれは思ったより若若しく、その生命力には正直肝をつぶした。
老年組に特に人気のある銘木と聞くがなるほどと肯ける、見ると元気が出るとは本当だ。
実相寺さんはサービスが良く毎日の開花情報を写真入りでネットで知らせてくれる、訪ねた日はまさに満開のその日であった。

このあたりの地理に明るいW君の案内で、切手にもなった王仁塚古墳の一本桜、さらに慈雲寺の糸桜と見てまわった。
あたりは桃の花も咲いており桃源郷とはこのあたりのことを言うのかとさえ思った。
遅い昼食に食べた「ほうとう」はカボチャがしっかり煮込んであり暖まった。
三組の老年組にとってはとてもハッピーな、そしてまた贅沢な時が過ぎていった。