野菜炒め

野菜炒め

田舎の街道筋に一軒のラーメン屋がある。
カウンターに5人、中央の椅子席が2つで8人、あと座敷の席が3っで12人、満席で25人ほど入れる。
ほとんどのお客は車でやってくるので、混雑時はいつも駐車場の確保に苦労している。
どういうわけだかこの店が気に入り、この4-5年通っている。

お気に入りの席はカウンターの隅のところで、ここからは調理場が丸見えで腕の良い調理人の動きが手に取るようにわかる。
いつも超大型のズンドウに自慢のラーメンスープを煮込んでいる。
席に座ると、オヤジが出てきて「いつものやつで?」と聞く「うん」と答えるとそれですんでしまう。
この店で色々食べてみたが、餃子と野菜炒めが傑作である、最近ここではこれしか食べない。

美味い野菜炒めを食べると幸せな気分になってくる。
たかが野菜炒めと侮るなかれ、調理人の真骨頂はここに現れるとさえ私は思い込んでいる。
材料の選定に始まり、火加減、調理のスピード、お客にそれを出す間合い、等などが組み合わされて一皿の野菜炒めが出来上がる。
カウンターの後ろから、その出来具合をじっと眺められていては、調理人としても張り切らざるをえない。

このラーメン屋は家族労働中心の堅実経営と見受けたが、チェーン店にない味とサービスで立派に繁盛、生き残っている。
次回餃子編。