櫛挽ヶ原晩秋

朝の散歩をしていたら防風林にカケスがやって来ていた、例年よりも遅いような気がする。
その姿は見えなくてもギャアーギャアーと鳴く悪声を聞けばすぐそれとわかる。
声は悪いがその姿は美しい、背中の部分が白く、山鳩をすこしスマートにした感じだ。

飛び方は山鳩のようにスマートではない、すこしモタモタしている。
いつもは防風林の中に居るが、畑を横切って次の防風林に移動するときその姿を見せる。
ヒヨドリは同じく畑を横切るのに波のように飛んで、農家の庭に残る柿をねらっている。

畑のブロッコリーの収穫も順調なようだ、豊作なのでその値段は安くなっている、連日早朝からの作業も心なしか元気がない。
畑にある山芋もその葉の部分がすっかり枯れて茶色になっている、地下にはまるまる太った芋が出荷を待っている。
葱と大根も今年は出来が良いようだ。

これで木枯らしが吹くと残っているナラ、クヌギイチョウの葉がいっぺんに落ちてしまう。
モロワの言葉にこんなのがある、「十一月の朝になって疾風が巻き起こる、金色の木の葉が吹きちぎられた背後に冬の骸骨めいた木立が突如として姿をみせる」これはまぎれもない老年の姿そのものだ。

カケスはその前ぶれのように毎年この櫛挽ヶ原に現れる。