秩父歩き遍路 その五

今日は曇りと小雨のなかを25番札所の久昌寺から29番長泉寺まで歩くことが出来た。
歩く順番はそのとおりには行かなかったが、印象に残ったのは26番園融寺の岩井堂である。
朝、7時半ごろ円融寺に着き境内で相棒と握り飯を食べていると、お坊さんがわざわざお茶を淹れてくれた、早めに納経をすませ岩井堂を訪ねることにした。

小雨で薄暗い山道を30分も登ったのであろうか、最後に300段もある急な石段を息を切らして登りきると、岩の壁にへばりつくように岩井堂はあった。
無人のお堂で、梅雨の時期あまりここを訪ねる遍路者も少ない、あたりは薄暗く山の霊気のようなものが取り巻いていた、二人でいても気味が悪い。
この地がながく修験道の行者たちが修行していた場所と重なるのも肯ける。

今日で札所34ヶ所のうち29ヶ所を訪ねたことになるが、それらの立地がとても気になる。
古くからお寺なり、神社のあるところは言葉に言い表せない独特な雰囲気があることに気がついた、現代文明にスポイルされている私でも山の霊気を感ずることができるのだから、漆黒の闇を恐れた人たち、山の霊気に神や仏そして祖先の霊ををみた昔の人たちはもっと敏感にその土地の発する「気」?を感じとることが出来たのであろう、そのような所に秩父の札所の多くはある気がする。

久昌寺の近く「弁天茶屋」でもり蕎麦を食べ、あてにしていた鉱泉が休業中なので秩父鉄道波久礼駅にもどり寄居簡易保険保養センターの屋上風呂で汗を流した、平日のためか大きな施設のわりには客はいなかった。
歩き遍路もいよいよ残り少なくなった、あと一日がかりで二ヶ所の札所を訪ねるのと、一ヶ所のみの難所に差し掛かる、一体それらはどんな姿を見せてくれるのだろうか。