トウモロコシとエタノール燃料 その二

トウモロコシとエタノール燃料 その二

確か今年の一月、この話題に触れたことがある、今までトウモロコシが人間の食料と家畜の飼料用に生産されていたものが、自動車燃料用エタノールの原料として使用されトウモロコシをめぐって食糧と燃料が競合しているということであった。
その影響が私どもの鶏卵生産現場にも現れた、というよりも日本だけではなく世界中の食糧事情に変化をもたらしている。

トウモロコシをめぐる現実に眼を向けてみよう、日本は現在年間1665万トン(2005年)のトウモロコシを輸入している、その73%は家畜の飼料用で残りは食品用である、ちなみに同年の日本の米(もみ)の生産量が1098万トン。
世界中でトウモロコシを輸出出来る国は、アメリカ、アルゼンチン、中国、その他、でそのうちアメリカが70%を占める(2006年)、中国は5年ほど前はその20%を占めていたが昨年は5%に落ちた、まもなくその輸出国から輸入国になる、現実問題として今後頼りになるのはアメリカ、アルゼンチンしかない。

そのアメリカで3年ほど前からエタノールブームが起きた、その理由は既に色々と解説されているのでここでは触れない、過去5年間アメリカはトウモロコシ生産量の17−19%を輸出に回し、残りは国内の家畜用飼料食用にあてていた、エタノールの原料としてのトウモロコシはまったく新しい需要で、2006年度その比率がその輸出量に匹敵する19%になった、予測では3年後さらに29%に上昇しその輸出量を上回るとされている、トウモロコシの価格はこの一年の間に倍となり、利にさといアメリカの農家は大豆からトウモロコシに作付けを変更し、さらに従来
作付けされなかった農地を使って増産体制に入ったが、当分世界の穀物価格全体は高値状態が続くものと考えられる。

トウモロコシ価格の上昇をきっかけにして、玉突き現象が起き畜産物さらに食料品全体の値上がりが起きている、国よっては食糧が手に入らない所が出てくるであろう、それがきびしい世界の現実である、飽食に浮かれ大事な食料を無駄にしている日本人には良いお灸となる。
穀物畜産物が高くなれば、否応なしに米食を中心とした日本型の食生活に戻らざるを得ず、行過ぎたアメリカ型の食生活を修正するには良い機会かもしれない。