「血のしたたるビフテキを食べながら動物愛護を説く」

二冊の「日本人とユダヤ人」、著者はイザヤ ペンダサンとエリ コーヘン、出版は前者が1970年、後者は最近のものである。
両方とも読んでいて実に面白い、イザヤ ペンダサンのそれは当時読んだことがあるが、読み返してみると若い時には気がつかなかった事があり更に面白かった、普通の本であれば出版されて40年も経つと、たいてい内容が時代とずれてしまいがちだが、この本は違った。

エリ コーヘンのそれは40年後に読み返してみたいものだ、その時私は112歳?
とにかく書いてある事が旧約聖書にあるユダヤ人とその神との契約を現在でも頑なに守っていることで、ユダヤの国家は成り立っているとし、日本人との意外な共通点、と相違点を浮き彫りにしてくれる。

これらの本で今回特に興味を持ったのは、遊牧民族であるユダヤ人広くはヨーロッパ人と、農耕民族である日本人の動物あるいは家畜に対する接し方の違いである、例えば一般の日本人にはヨーロッパ人が見せる動物愛護運動の異常さを理解できない、ごく最近では日本の試験捕鯨船に対する違法な攻撃などがある、明らかに法に触れる行動を承知でやり、それを拍手喝采し多額の資金を援助する人たちのことを私は理解できなかった。

ペンダサンいわく、ユダヤでは家畜を屠る(屠殺)のは古来祭司の仕事であり尊い仕事であった、日本ではそれをするのは昔非人の仕事であり汚らわしい仕事であったこと、ユダヤ人にとって家畜(特に羊)は日本人に取ってお米のようなものである。
彼らは、「血のしたたるビフテキを食べながら動物愛護を説く」のでなく、「血のしたたるビフテキを食べるから動物愛護を説く」のである、このビフテキのという言葉をお米におきかえてみたら、、、。
私にとってはまさに「目から鱗」であった。