地図好き

若い時から地図を見ることが好きだった、なんの地図でもよいのだが一番良く見たのは国土地理院の五万分の一の地図であったろう。
今、身の回りのものを片付け始めているのだが、溜まったこれらの大量の地図類を処分するのはとても辛かった。
これは長年にわたって買い続けた蔵書を処分した時と同じ気分で、大げさに言うと自分の人生のある部分をもぎ取って捨てたような気がした。

地図作成の技術革新は傍で見ていても物凄いものだ、また従来の印刷物としての地図やインターネット上で提供される地図は日を追って革新されている。
一時代前の地図は既にその役目を終えているのだが、捨てるとなると未練が残った。

近くの埼玉工業大学で一般市民向けの公開講座で井門俊治教授による「デジタル地球儀世界旅行」というのがあり、早速参加した。
最近の学生は贅沢なもので、教室には二人に三台のPCが用意されていて、一台は教授の教材が写し出され、あとの二台は各人用になっている。
受講者は30代から70代と年齢幅が大きく、20数名が参加した、内容はGoogle Earthの地図ソフトを使用したもので、最新のそれは更に進化していた。
始めてこのGoogle Earthを見た人が受講者の半分近くおり、残りの人たちは既に経験ずみであった、私が4-5年前始めてこれを見た時の衝撃を忘れない、究極の地図と言うか、まるでアラビアンナイトの魔法の絨毯に乗ったようなものでクリック一つで世界中の好きな所へ即座に飛んで行ける、受講者それぞれが自宅の住所を入れたら、たちまち自宅の明細な航空写真が現れた、この講座で初めてこれを実演した人たちは残らず驚嘆していた。

ほんのわずかな時間のうちに、地図の世界ではこのような大変革が起きた、次になにがこの世界に起きるのか知らないが、どんな形であるにせよこれからも地図を見続けるに違いない。