ぶらりトルコ 4 バザール

私にとって旅の楽しみの半分以上はその国の料理と飲み物にある。
戦後の食糧不足の時に育っているので幸い何でも美味しく食べられる、酒は不幸にして下戸なのであまり多くを語ることは出来ない。
日頃、晩酌は無くてもすむが旅行中はそれを欠かさないようにしている、その国の酒でその国自慢の料理を食べたいからだ。

トルコの人たちが何を食べているかを知るにはその食品市場(バザール)を覗くに限る、それはどこの町でも見られる、今風のスーパーマーケットも見てみたが面白くない。
バザールでは豊富な野菜や果物は野積みにされ、売り子は客との駆け引きで忙しく活気がある、スーパーのように形が整って綺麗に包装されてないが、大小あり形は不揃い、新鮮で、食べごろかどうか一目でわかる、それに値段も安い、地中海沿岸の町では新鮮な魚がここで手に入る。
一見して新鮮な食材は豊富で、これに自国産のいろいろなナッツ類やドライフルーツが加わる。

これらの豊富な食材をもとに作られるトルコの料理はどれも美味しい、味は特別というわけではないが家庭料理に似て飽きがこない、豆類のスープ、肉と野菜の煮込み、ケバブ(肉料理)、蜂蜜ヨーグルトを使ったケーキなどが気に入った。
トルコはイスラムの国であるが酒はどこでも手に入る、心配していた飲兵衛たちも安心する。
地酒Rakiは水で割ると白く濁る、癖があるのでもっぱらトルコ産のワインを飲んだ、私にはその味は分からないが皆は値段が安く美味しいともっぱらの評判であった、これほど良い葡萄の採れる国で良いワインが出来ぬわけがない。

豚肉、これはご法度で旅行中どこでも食べられなかった、外国人の旅行者でも例外はないらしい。
今までよその国を旅していて食べ物に不足を言ったことは無いが、好き嫌いは勿論ある、歳をとったせいか旅行の後半で連れて行かれた日本料理店での食事がやけに美味かった。