貧しくなれば食糧自給率は上がる?

福島県三春町

貧しくなれば食糧自給率は上がる?

64回目の終戦記念日を迎えた。私を含め少なくとも70歳以上の人たちは、終戦前後の食糧事情を鮮やかに記憶している、これらの人たちにとっては現在のなんでも手に入る豊かな食生活はもったいなくてしょうがないであろう。

同時にこの状態はまるで「砂上の楼閣」のようで、いつ何時崩れ去るものかわからないという恐怖感を常に抱いている世代でもある。

1960年、私は24歳であった、この年日本の食糧自給率はカロリーベースで75%近くであったと思う、それから50年、日本の食生活はかって経験したことがないほど劇的に変化した、我々はそれをまさに人体実験してきた世代でもある。

この間、米を食べる量は半分になり、輸入物の小麦によるパン、麺類、などが増えた、同時に輸入飼料穀物による畜産物、鶏卵、豚肉、牛肉、鶏肉、牛乳などを沢山食べられるようになった、食生活が豊かになったその代わりに自給率は40%前後に低下した。

日本は食糧自給率が世界的にみて危機的に低いと騒ぐならば、さしずめたまご屋をはじめ輸入飼料に頼る日本の畜産はその元凶であろう、ところがその飼料穀物を国産するに必要な農地が日本には無い、飼料穀物を生産できない国は畜産物を食べるな!そうすれば自給率は上がると言っているようだ。

だがそれが国民にとって好ましい状態とは思えない。

現に終戦直後から1950年代までそのような状態であったわけで鶏卵をはじめ畜産物は口に入らず贅沢品であった、そのかわり自給率は100%に近かったであろう。

国が貧しくなり海外から穀物をはじめ食糧を買えなくなれば、いやおう無しに自給率は高くなるもので無理やり上げるものではないと思う。