ブラジルからの鶏肉

ブラジルからの鶏肉

私は鶏卵の生産販売に携わってきたのであるが、同じ鶏を飼うにしても今では鶏肉を生産販売する仕事は別の仕事になってしまった。現在では日本国内で鶏卵と鶏肉を同時に生産している事業体はほとんど無い、私がこの仕事にかかわり出した約50年ほど前は鶏肉生産専門の経営体は少なく、採卵養鶏場が鶏卵鶏肉兼用の鶏を飼い、まず採卵し後は鶏肉として販売するのが主力であった。その後、経済的に余裕ができると人間は贅沢なものでもっと柔らかく美味しい鶏肉を欲しくなった、鶏も鶏卵、鶏肉用にそれぞれ専門に品種改良され農場もそれぞれの目的に合うように改良改善された。鶏肉専門の生産農場、処理加工場を経営する事業体は大きく成長し現在にいたっている。
現在日本国内で消費されて鶏肉の30%は海外から輸入されている、2000年にはそれが35%であったので国産鶏肉が頑張って押し戻した。牛肉56%豚肉48%が輸入なのに比べて鶏肉は国産が健闘している。鶏肉の場合は中国、タイなどそれまで日本の主な鶏肉輸出国からの輸入がその国の鳥インフルエンザの発生でストップになった。現在でも熱処理した加工鶏肉だけが両国から輸入されるだけで肝心の生肉は輸入されていない。それに取って代わってなんとブラジルの鶏肉が日本に進出した、驚くことに昨年一年間に日本に輸入された鶏肉33万トンの90%は地球の裏側のブラジルからやってきて、日本の安い外食産業や加工品を支えた。
さらに驚くことはブラジルの鶏肉生産はトップの事業体一社でブラジル全体の鶏肉生産の40%を握る巨大企業の存在である。
いい悪いの問題でなく、食のグローバル化の現実から眼を離すことが出来ない、恥ずかしい話であるが私自身我々の仕事と兄弟関係にある日本の鶏肉事情をつい先日の新聞(日経新聞)で知ったばかりなのである。