ウォーキングの楽しみ

ウォーキングの楽しみ

五月のゴールデンウィークは天気に恵まれた。

今年で3年目になるが「東京国際スリーデーマーチ」に参加することが出来た、確か昨年は雨の中を歩いた記憶がある。新緑の武蔵野は実に美しい、好みにもよるが私は玉川上水や野川にそって歩くコースが好きだ。

玉川上水は今から350年以上まえに江戸の住民に水を供給することと、周辺を灌漑して耕作地をつくるため多摩川から水を取り入れ江戸まで届けた人工の運河である。

武蔵野市周辺ではそれがコンクリートでなく当時の素掘りのままで多摩川の水が今も豊かに流れている、流れに沿った周辺は樹木が繁り都民の大切なオアシスとなっている。玉川上水にしても近くを流れる野川にしても戦後の混乱期には荒れてドブ川にちかくなったそうだが今は見事に立ち直っている。玉川上水には人の立ち入りは出来ないが野川には街の子供たちが川遊びに夢中になっていた。

ウォーキングの楽しみにはいろいろとあるが、そのひとつに思わぬ人との出会いがある。今回とくに印象に残ったのは78歳のお婆さんのことである、そういう自分も立派に爺さんであるが。

昼飯の休憩時公園のベンチで一緒になりこちらから話しかけた、「失礼ですが、おいくつになられますか?」いきなり歳のことを女性に聞くのは相手が高齢の場合失礼ではない、特にウォーキングの場合は。

「あなたはいくつ?」「73歳」とひとつサバをよむ、会話ははずんで彼女はこの「東京国際スリーデーマーチ」に第一回から参加していて今年で15回になるという、当初から仲間で一緒に参加していた10名も毎年一人欠け二人欠け今では私一人になってしまったこと、歩いているからといって必ずしも長生きできるとはかぎらないらしい、やおら彼女はひろげた弁当の跡片付けをし、リュックをかついで一人でさっさと歩き出した。