バルト海クルーズ (4)エミルタージュ美術館

バルト海クルーズ (4)エミルタージュ美術館

エミルタージュ美術館を実際に訪ねてみるとこの美術館はとてつもないものであり、想像していたものをはるかに超えていた。目の前をゆったり流れるネヴァ河からボートに乗ってその全景を見ると、周囲の建物とあわせてまるで別世界にまぎれ込んだ感じがした。ここはかってピョートル大帝をはじめとする代々のロシア皇帝が使用していた冬の宮殿であった、周辺の豪華な建物も貴族や支配階級の人たちの物であったという。
サンクトペテルブルグは300年前、何も無い河口の湿地であった、そこでピョートル大帝が自国防衛のためバルト海に面するこの地に要塞を築いたのが始まりで、かってはロシアの首都となるほどこの地は繁栄した。
地名もサンクトペテルブルグ ペトログラード レニングラード そしてまたサンクトペテルブルグに戻った、その間の政治的激動がうかがえる、しかしこの間の歴史的建造物美しい街並は守り抜かれた、その代表格がエミルタージュ美術館なのである。
この美術館すなわち冬の王宮がいかに贅沢に造られているか、そして収蔵展示されている美術品が超一流のものばかりとなると、一体これらを造り収集するための財源はどうしたのであろうと考えてしまう、レーニンが革命を主導したように帝政ロシアの皇帝が国民の膏血を搾り取ったもので出来上がったものであろうか?それはともかくとして桁違いの建造物と桁違いの美術品がそこにあり、世界中の人たちを惹きつけ、感嘆させ、莫大なお金をサンクトペテルブルグのみならずロシア全体に落とさせていることは間違いない。
血税で造り上げられた宮殿と同じく皇帝の楽しみのため収蔵された美術品が、いま外国から多くの外貨を稼ぎ国民のためになっているのは、歴史の皮肉であろうか。