バルト海クルーズ (5)食べる

バルト海クルーズ (5)食べる

サンクトペテルブルグの二日間があまりにも印象が強かったため、ほかの国々のことはあまり覚えていない。今回は話題を変えて船のなかの「食べる」ことについて話そう。

この船STAR PRINCESSは10万トン級客船で最大乗客数は3100名、サービスを含めた乗組員1120名となっている、今回のクルーズでは2605の乗客数であったからそれに見合う乗組員が必要となり、それにしても3000人以上の人がこの船の中にいたことになる、とてもそうは思えなかったが。

これらの乗客が一斉に夕食時メインのダイニングルームに集まる、一回では捌ききれないので早い組PM6:00と遅い組8:00に分かれる、私たちは早い組を選んだ、着席するメンバーも事前に予約できる、毎回違った外国人と同席したのでは私みたいに片言の英語ではせっかくのご馳走も喉を通らない、先輩は気をきかせてくれ3人組み6人だけの席になった、やれ安心。

それから毎晩フルコースの晩餐になった、しかもワインは選べる、日頃自宅では粗食に慣れていてしかも晩酌はやらない者が、いきなり高蛋白高エネルギー、ワイン付きときたら胃袋が狂ってしまうに違いない、本気で心配した。

先輩の皆さん方は実に食がいい、Kさんは日本の二倍以上もあろうかと思われるステーキを連日ぺロリと片付ける、焼き方もベリーレアだ、そしてデザートまできちっと付き合う。

最年長のHさんは退職後、夫妻で何度もイタリアへ語学留学されている、そして夫妻二人でヨーロッパ中車を運転して旅するツワモノである、とても80歳に近い人とは思えない、その上彼はイタリアワインについては専門家はだしなので、食事が賑やかにならざるを得ない、私たちもつられてつい食べ飲んでしまう。

船の乗客はほとんど現役を退いた年配者が多いのだが、言っては悪いがその人たちの半分以上が日本の基準からすれば超メタボ、つまり超肥満体なのである。

私のカミさんも日本では肥っている方だが、船の中では問題にならない、彼女すっかり自信をつけてしまったようだ。

おなじ肥満といっても、それは明らかに病気である。その彼彼女らが晩餐のフルコースを平らげ、さらにてんこもりのアイスクリームを嬉しそうに食べているのを見ると恐ろしくなる、どうにも止まらないのだ。