シルクロード 三 仏像の顔

シルクロード 三 仏像の顔

NHK番組「シルクロード」30回分を約半月で見終えた。連続して見ることによってそのストーリイの流れが途切れず大きな感銘を受けた。なんでもNHKはこの取材に5年の歳月をかけたという、ほぼ30年前の取材とはいえ肝心な自然の風景は大きく変わっていないであろうし、住んでいる人たちもまたその生活様式も基本的には同じであると見てよい。
見終わって一番感じたことは、民族の興亡である。シルクロードの道筋には遺跡だけが残りそれらを作り上げそして支えたであろう部族あるいは民族の末裔が現在すでに存在しない場合がいくらでもある。戦に敗れ殺されるか有力な部族に奴隷として吸収されてしまった例も多い。
テレビは長安をスタートしてから中央アジアそしてイラン、シリア、トルコ、ギリシャ、ローマにいたるまで、それらの民族の現在の生活ぶりを映していく。その国々の人たちの顔がクローズアップされると、東洋の顔が西洋の顔へと連続的に変化していくことに気が付く。長い時間をかけて混血がなされたのであろう。あらためて日本の地政学的位置を考えさせられた。
人間のみならず、シルクロードにある仏教遺跡に見られる仏像も西に行くほど顔つきが東洋型から西洋型に変わっている、その中間のガンダーラの仏像はかって東京で見たことがあるが、修行中のブッダ像であばら骨が浮き出た今まで見たことが無いものすごい仏像であった。日本のふっくらした優しい仏像とは大違いとの印象が今でも残っている。
今頃になってテレビを見る楽しみを見つけたのだが、これでよい歳がとれそうだ。