台湾の話 八田与一

八田与一

台湾をバスで一周していた時のことである、現地の旅行社のガイドが突然ビデオを流し始めた、こちらは旅の疲れでうとうとしていた最中である。
なにやら画面はアニメで東洋一のダムとか日本人の技術者とか言っている、そのうち良く出来たアニメなのでおもわず引き込まれ、終わった時にはおもわず涙ぐんでしまった。
ガイドの話によれば、戦前台湾の日本統治時代若い日本の土木技術者が苦労の末完成させた,当時東洋最大のダムは今でも台湾最大の穀倉地帯を潤し、その人のことは中学の歴史教科書に台湾の恩人として今でも載っていると話した。スケールの大きい明治の日本人をここにも見た思いがする、そのためか台湾を歩いていてどの国よりも人々は親しみを感じる、とにかく親日的なのだ。
その技術者の名前を聞き漏らしたのと、もう少しその経過を知りたくなったので家に帰って調べてみた、名は八田与一と言いとにかく大変な人であることが判った、その完成にいたる経過もドラマ以上である、ダムを完成させて56歳のとき軍人としてフィリッピン沖で戦死された、それを聞いた46歳の奥さんは主人の完成させた烏山頭ダムの放水口に身を投げて夫のあとを追った。
アニメにはこの最後の部分はなかったが調べてゆくうちに再び涙がでた、旅はするものである。