たまご屋おやじの独り言 風評被害と風評利益?

 最近、新潮文庫「キレイゴトぬきの農業論」久松達央を読んだ。
著者は1970年生まれ、慶応大卒でパリパリの一流会社で営業を勤めていた、どういうわけか1999年農業に転身、久松農園を設立。年間50種の旬の有機野菜を都内の会員および飲食店に直接販売をしている。
私は正直言って、無農薬の有機野菜は安全といって普通のものより高く売りつけるやり方になにか胡散臭いものを感じていた。
久松はこの本で「有機だから安全、美味しい、環境によい」という神話を見事に覆した、そして大事なことは美味しい野菜を追いかけた結果、有機農法になったという。
2011年3月11日の大震災で、彼の農場のある茨城県の野菜農家も、放射能風評被害で野菜が売れなくなった。彼もせっかく築きあげた直販ルートの客からもキャンセルが相次ぎ、一時は廃業まで考えたという。彼が立ち直れたのは、最後まで支援してくれた顧客と、それに応えるべくした彼の強い決意である。
この本で私ははじめて風評利益という言葉にであった、たとえばいまだに農薬の被害を云い立てて有機野菜の優位性を宣伝し高い値段で売ることだそうだ。
とにかく愉快な本である。