たまご屋おやじの独り言 「巡礼の思想」

 お彼岸もすぎ涼しい秋風に触れると、まるでそぞろ神に誘われるように旅に出たくなる。
前回、四国お遍路高知県の巻で足を痛め歩けなくなり、ほうほうの体でやっと家にたどり着いたにもかかわらず、辛かったことはもう忘れている。
古い遍路道を歩きを中心にして、電車バスなども利用し、一つの県をほぼ十日間ほどかけているので、今年中に終わるかどうか分らない。
一人でとぼとぼと山坂越えて山寺を訪ね歩き、納経してから質素な遍路宿に泊まる、そしてその繰り返し。いったいそんなことのなにが楽しいのか?身体はくたくたでも何故か心は充分満たされている。
山折哲雄の「巡礼の思想」を読む、そこにこんな言葉があった。
「どの場合よりも、四国の札所で聞く般若心経が心にしみた。それは曇りの空のときも、晴れた日のときにも変わりがなかった」
「般若心経をとなえるお遍路さんたちの姿が色即是空そのものである」