たまご屋おやじの独り言 愛媛県お遍路 ビルの中にある本堂

 今回のお遍路で一番札所の霊山寺(りょうぜんじ)から七十番の本山寺(もとやまじ)までお参りすることができた。
思い返してみると、よほど強烈な個性をもったお寺さんでないと、その名前と姿がセットで正確に記憶に残っているのは少ない。もちろん私の記憶力が大きく落ち込んだことによるが、全体の一割も怪しい。
それでも、スタートを切った霊山寺とか、とんでもない山の頂上にあった横峰寺、国宝の山門や三重塔がある石手寺とかはすぐ思い出せる。
あとは同じように山門、本堂、太子堂、納経所などがあるので区別はつけにくい。
ところが61番香園寺(こうおんじ)に着いてびっくり仰天。あたりにお寺らしものはなく、在るのは巨大な茶色の四角のビルのみ、お参りはビルの外にある階段を登って二階の本堂でしてくれと張り紙がしてある。
靴をぬいで本堂に入るとさらに驚く、まるでコンサートホールみたいだ、金ぴかの祭壇を前にして700席の椅子がある。少々疲れていたので、その椅子の一つに座りしばらくじっとしていた。
人それぞれ好みはあろうが、保守的な仏教建築のなかでこの建物を完成させたその勇気には、ほとほと感服する。