ブータン 輪廻転生

ブータン現地のガイドAssish君は32才独身で礼儀正しく、そして正確に日本語を話す。彼は敬虔な仏教徒で、案内するお寺ごとに仏前で五体投地に近いお参りを欠かさない。
他のグループのガイドも似たり寄ったりと聞く。ブータンは世界で唯一、仏教を国の宗教としている。
隣のインド、ネパールはヒンズー教が主力、さらにバングラデッシュはイスラム教が主。つまり周りの国では歴史的に常に異なる宗教とのせめぎ合いがあった、陸の孤島ブータンではそれがなく、仏教オンリーでやってきたようだ。それも大乗仏教で戒律は厳しい。
話はとぶが、ブータンは牛馬など家畜が多い、道路にはその糞尿が落ちている。当然ハエの発生も多い、旅行者用のレストランでも遠慮なくハエは入ってくる。神経質な日本の旅行者は食事中これを手で打ち殺そうとする、これをブータンの人たちはとても嫌がる。
大乗仏教は輪廻転生を信仰の中心におき、現世で功徳を積み、来世で良い転生を願う。それを願ってもそれは仏さまの決めることで、来世はハエにも牛馬にも生まれ変わるかも知れない。手で打ち殺したハエがもし自分の爺さん婆さんの生まれ変わりであったらどうしようと真剣に考える。
仏教が日常の生活のなかで生きているとは、こういうことなのかも知れない。