ぶらりぶらりソウル ソウル魚市場

ソウル市民の台所を賄うカラク魚市場を訪ねた。市場は夜も眠らない。午後7時ごろであったと思うが、魚市場は早朝からの取引を終え明朝に向けての準備が進められていた。市場には生魚専門の場所があり、生簀のなかにはあらゆる魚が生きたまま売られていた。よく判らないが、この市場では卸売りと小売を同時にやっているらしい。

コンクリートの床には水が流れている雑然とした狭い通路をすり抜けて一軒の生魚店にたどりついた。同行してくれたソウル市内に住むヤンさんの家族は、別に魚関係の仕事をしている訳でもないのにここのお得意さんであるという。

ヤンさんは生簀のなかの平目と鯛を指差した。店の親父さんは即座にそれをすくい出し、床のコンクリートに投げ出した。木の棒で魚の頭部をたたいて気絶させ、見る間に刺身にしてしまった。

ではどうぞと言うので案内されたのが生簀の上にある中二階の部屋、とても人が立って歩けないほどの窮屈な部屋だ。10人も座れば一杯になってしまう。魚市場の現場であるから仕方がないがお世辞にも綺麗とは言いがたい。

韓国式刺身の食べ方は、刺身をチシャ、エゴマなどの葉にくるみコチュジャン(赤い唐辛子味噌)をつけて食べる。これがなかなかいける。最後に残った内臓、頭などは煮込んで唐辛子で真っ赤になったスープにしてくれる。私には少々辛すぎるがこれがまた旨い。話がはずんで気がついたら夜の11時になってしまったが、市場は眠らず働き続けていた。韓国の人はまことに逞しい。