たまご屋おやじの独り言 2001年7月

たまご屋おやじの独り言 2001年7月


31/July/01

遺伝子組み替え、是か非か?(2)  

この問題を議論するまえにまず現実の姿を知ることが大事です。

1996−1998年、平均で日本が海外から輸入した穀物量は食用、飼料用含めて年間 、
  トウモロコシ  1605万トン  (USA 90%)
  大豆       485万トン  (USA 80%)
  小麦       579万トン  (USA 55%)
になります。

このうちGMO(遺伝子組み替え)のトウモロコシ(USA産)は30%前後、大豆(USA)にいたっては60%を超えます。

日本の養鶏用配合飼料はブロイラーを含めて年間1000万トン(採卵養鶏用は680万トン)になり、養鶏用配合飼料の 内訳はトウモロコシ60%、大豆粕20%前後になります。

現実にはこれほど大量のGMO穀物が飼料として利用されているのですが、鶏卵生産の現場においてそれによって鶏の異常、生産性の異常は見受けません。もっとも微妙な影響を受けやすい雛の生産についてもGMO飼料投与による異常は見つかっていないのです。

養鶏生産者は鶏に危険な飼料には敏感なものです。

30/July/01

遺伝子組み替え、是か非か?

ちょと涼しくなってほっとしてます。ホットな議論が続いているのはこの話題です。 「賛成」「反対」とも議論はかみあっていません。科学的な論争というより宗教論争に近いものを感じます。お互いにまず「信念」ありきです。

考えをまとめるにあたってネット上にはとても参考になるサイトがあります。
 
1:政府の公式見解
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/

農水省(遺伝子組み替え食品)
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/idensilink.htm

2:賛成派
安部俊之助先生のHP。数少ない賛成派のひとり。科学的な(時には刺激的な)論陣を張っている。

愛媛大学(分子細胞生物研究室)
http://web-mcb.agr.ehime-u.ac.jp/gmo1/default.htm
http://web-mcb.agr.ehime-u.ac.jp/gmo/contents1.html

3:反対派
主張することはおなじ。行動力あり、マスコミ対策活発。

遺伝子組み替え食品いらない
http://www.no-gmo.org/

生活クラブ生協
http://homepage1.nifty.com/seikatsu-club/GMONo/stop!_gmo.htmNon (リニューアル)
http://www.seikatsu-club.jp/index_green01_1.htm

大地を守る会
http://www.daichi.or.jp/pc/idenshikumikae/98101404.html

4:議論の場
いつも喧嘩騒ぎ。議論はかみ合わないがその雰囲気は面白い。

遺伝子組み替え資料室
http://www.asyura.com/bdgm/bigdata.html

さて、あなたはどっち派?

26/July/01

中西準子先生のホームページ

7月24日、日経新聞(夕)の「あすの話題」欄に中西準子先生の「猛暑のミシガン」というのがあった。

とうもろこし燻蒸剤二臭化メチル使用禁止に伴うカビ毒アフラトキシンの大発生事件(1988、アメリカ)のことが書いてあった。興味を持って先生のホームページを検索をしたら素晴らしいのを見つけた。

中西準子の個人ページ
http://www.kan.ynu.ac.jp/~nakanisi/

専門は環境リスクマネージメントであるが、ダイオキシンから狂牛病まで守備範囲は広い。

リスク&ベネフィットと言う切り口で科学的に冷静に問題点を捉えようとしている。いたずらに食品の不安を煽る論調の多い中一読を薦める。

尚、先生は「文芸春秋」6月号に「ダイオキシン扇情的極論を排す」を書いている。

25/July/01

農業白書H12版

有難いことに農業白書フルページを農水省のホームページで見ることが出来る。
http://www.hakusyo.maff.go.jp/books_b/WN01H120/html/index.htm

そこに恐ろしいことが書いてあった、中核をになう専業農家42万戸の半分は65歳以上であること。
定年帰農ならぬ、定年で引退できぬ農業の現実。
http://www.hakusyo.maff.go.jp/books_b/WN01H120/html/tb1.2.1.htm

フランス、イギリスのそれとの比較が出ていた。
http://www.hakusyo.maff.go.jp/books_b/WN01H120/html/fb1.2.7.htm

まさに「農水省、農協、農林族栄えて日本の農業枯れる」か?

24/July/01

伊東正一先生(鳥取大学)のホームページ

伊東正一先生(鳥取大学)のホームページが面白い。
http://worldfood.muses.tottori-u.ac.jp/graph/index.html

「世界の食料統計」として主要穀物、コメ、コムギ、コーン、ダイズ、主要畜産物としてブロイラー、豚肉、牛肉、チーズ、ほかの統計が40年間(1960−2000)にわたってグラフ化されており、判りやすい。

2000年の自給率はブロイラー(65%)、豚肉(57%)、牛肉(35%)となっているが国産がそれだけ減ったのではなく、増えた消費量のほとんどが輸入ものに取られたことがわかる。

23/July/01

豚肉に対するスターリンク給与試験について 農水省

7月19日、遺伝子組み替えコーン、スターリンクについて給与試験の結果がでた。
http://www.maff.go.jp/work/010719-04.pdf

Cry9C蛋白の豚肉への移行はなかったとしている。

これで農水省によるテストはブロイラー、卵、牛乳、豚肉が終了したことになる。

いずれも飼料として取り込まれたCry9C蛋白は畜産物には移行しないことがわかった。 消費者の不安を科学的な事実の積み重ねで取り除くしかない。

17/July/01

岡本嘉六先生のホームページ

大学の先生のホームページが面白い。
それも先生個人の個性をむき出しにしたものが良い。
好き好きがあると思うがお試しあれ。

岡本嘉六先生のホームページ
ちなみに先生は鹿児島大学獣医学科の先生です。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/OKAMOTO.html

13/July/01

香港トリインフルエンザ 7/7

7月7日、香港South Mornig China紙によれば
http://www.promedmail.org/pls/promed/promed.searchhtml.showmail?p_filename=2
0010710.1332&p_year=2001&p_month=07

先週香港の成鳥市場の死亡鶏から採取された糞からトリインフルエンザのウィルスH5が見つかった。
これは政府の検査官によるものである。
90000羽の中国本土より持ち込まれた成鳥から取れた。
1-2週間のうちに遺伝子配列の検査によりタイプが判明する。
今のところ他の鳥は斃死してない。
今年の5月に1,37百万羽殺処分したばかりであり、その補償に31,4百万USドル必要とした。
香港に持ち込まれる中国本土の成鳥にはいつでも強毒株に変異しうるH5タイプのウィルスが常在してると考えたほうが良い。

13/July/01

東京及び海外主要5都市における食料品の小売価格調査結果

7月3日の農水省のHPを見たらニューヨーク、パリ、ロンドン、ハンブルグジュネーブ、東京の2000年11月時点での食品小売価格42品目の明細が出ていた。
http://www.maff.go.jp/work/press010703-1.pdf

卵だけが合格点で他のほとんどの生鮮食品が東京の半値であることが分かる。

日本の消費者は高い農産物価格に怒っているのだ。あれだけ多額の金を農業につぎ込んでも改善されていないことに。

小泉さんではないけれど、農業ほど根本的な構造改革が必要なものはない。

鶏卵業界は「痛み」のともなうそれを繰り返しやってきた。そして現在も尚それを続けている。それが世界に通用するものを作り上げる。それなくして日本で養鶏をやる意味はない。

10/July/01

トリインフルエンザ、イタリアの経験から

Carifornia Poultry Letterを見ていたら「トリインフルエンザ、イタリアの経験から」というのがあった。
http://animalscience.ucdavis.edu/extension/avian/newsletters.htm 

1999年3月にそれは始まった、199ヶ所に広がったそれは当初H7NIタイプであり病原性は弱く斃死率は低いものであった。

斃死率の低いそれはヨーロッパでは規制の対象になっていない。(アメリカではH5,H7タイプいずれも規制の対象)

イタリアではその後、6ヶ月かけてそれは強毒株に変異していった。

これは100%の斃死率をともなうものであった、結果的には1400万羽の家禽類を殺す羽目になった。
国内の養鶏業は壊滅的な打撃をうけた、多くの養鶏業者は倒産し、生き残るために色々なことを試みた。

ひとつは無許可の不活化ワクチンなどである。

いろいろと試行錯誤した結果、結論として斃死率の低い段階でトリインフルエンザを徹底的になくすことが必要であり、その為に今イタリアではN7H3の不活化ワクチンを使用するようになった。

9/July/01

韓国,中国からの鶏肉輸入再開

7月5日のReuterによれば、韓国は中国からの鶏肉輸入再開する。
韓国は6月4日に禁止してから一ヶ月になる。
日本は検査チームが今中国で調査中であり結果をみてOKを出すのであろう。
日本に鶏肉を輸出してくるインテグレーターは衛生管理もしっかりしていると考えられるが、ローカルにトリインフルエンザが常在してると考えたほうがよく、いつでも感染の危険をはらんでいる。
戦後日本のNDが進駐軍のブロイラー残飯から感染したしたことを覚えておきたい。

S.KOREA ALLOWS IMPORTS OF CHINESE POULTRY TO RESUME
July 5, 2001
Reuters
SEOUL - South Korea's Agriculture Ministry was cited as saying on Thursday it would resume importing frozen Chinese poultry, but only if it is free of the bird flu virus, adding, "The ministry decided to lift the preventive ban
on imports and distribution of some of virus-free Chinese poultry from July 5."
China has so far denied that the virus exists.
Poultry from two Chinese farms will be allowed into Korea after they were tested free of the virus after a month-long inspection, it said.

4/July/01

マクドナルドに続きバ−ガ−キングも動物愛護対策

アメリカ第2位のハンバァガーレストランが第1位のマクドナルドについで動物愛護 対策に乗り出した。
このことについて千々岩 壬さんが貴重な情報を提供してくれた、感謝します。

鶏関係は次の通り。
 ・ケージスペース:75平方インチ(484平方センチメートル)/鶏
  給水器:2個/ケージ、コンベア給餌システムで不断給餌(コンティヌアス・アクセス)
  十分に立ち上れるスペース
 ・2002年3月31日以降の飲水・給餌を止める事での強制換羽の禁止
 ・アンモニア濃度25ppm以下(7日間連続での平均値)
 ・デビークについても、同社はデビークの必要としない、アグレッシブでない鶏の作出を望んでいる。 
  もしもデビークが必要なケースはUEPのガイドラインにそって行う。即ち、熟練の専門家によって10日令以前に行われる。
 同社へのサプライヤーは2001年の9月30日までにデビークのプロトコルを同社の承認を得る為に提出する事が求められている。
 ・NCC(National Chicken Council)は自己のガイドラインを同社の要求により改善する事に同意した。
  又、同社は自己の動物福祉諮問委員会(Animal Well-being Advisory Council)とブロイラーのハンドリングについての立ち入り検査の方法について検討する。
 尚、同社は昨年のマクドナルドの動きを受けて、PETA(動物の倫理的取り扱いの為
人々:People for the Ethical Treatment of Animal)からは"Murder King"と名指しで非難され、動物の取り扱いを改善する様に強く要望されていた。