鳥インフルエンザ(AI) 鶏の死体処理

昨年の今頃は京都府の採卵養鶏場で発生した鳥インフルエンザでテレビ、新聞は大騒ぎしていた。特にその農場で死亡あるいは殺処分された鶏の死体処理の様子が連日テレビで放映された。二十数万羽の鶏を処理するのに隣地の山林にプール大の穴を重機で掘り、トランスバッグに詰められた死体が山のごとく積まれ土中に埋設されていた。思い出すのも辛い光景だが、その作業を慣れない人たちがするため、膨大な労力と時間が必要であった。

京都の発生から一年間、主な養鶏県を中心にAI発生時のシミュレーションが各県で行われた。関東の養鶏密集地帯ではその死体処理のための埋設する土地が無いことが問題になった。焼却するにも他所へ持ち出すことは出来ない。発生農場での防疫措置が終了し、移動制限区域の農場の清浄性検査をしてからさらに一定の期間をおいて移動制限は解除されるが、京都の場合は鶏の死体処理が遅れ、発生農場の半径30キロ以内の鶏卵は結果的に大変なお金をかけて破棄処分となった。

先日、埼玉県の鴻巣先生が鶏の死体処理について、農水省が平成16年12月13日に発表した「鶏の処分方法などに関する防疫技術検討会報告書」の抜粋を送ってくれた。それによると大量の死体を農場内で迅速に堆肥化、熱処理することで病原菌を殺すというもので、予測される臭気の問題を除いて、より現実的な方法であった。

おそらくこれは海外でのブロイラー農場での経験をもとに作成されたものと思われるが、日本のケージ飼いの採卵養鶏でも応用できる。ただしそれには地元の家畜保険衛生所と事前の密な連携プレーが必要である。