日本たまご事情 後継者談義

2月27日日曜日にどういうわけか埼玉県上田知事より声がかかり10名ほどの畜産関係者と知事との懇談会があった。知事ともなると土曜・日曜がなく、生き物を飼っている私たち畜産関係者とかわりがないらしい。ご存知、上田知事は前知事を破って新しく知事になられた方で、若く、どちらかと云えば都市票を基盤にしていられる方である。

懇談会の理由を知事は率直に「私は特に畜産、林業に疎いため現場のことを教えて欲しい」というものであった。従来の政治スタイルでいえば、知事と業者団体との懇談会ともなれば、それは陳情の場となってしまう。そして持ちつ持たれつの関係が出来上がり、良いにつけ悪いにつけ強いしがらみが生まれてしまう。

新しい知事はそのようなしがらみが未だなく、まして農村票を当てにしなくても良いので、ともすれば農業関係にみられる甘えの構造には手厳しかった。たまたま畜産関係者の一人が後継者問題で泣き言をいうと、それは畜産以外のあらゆる業種でもあることで、その中で立派に後継者が育っている処がある、共通しているところは仕事を面白くしているところであり、しっかり稼いでいるところである、と知事は真実をズバリ云いあてた。政治のことは良くわからないが、なんの仕事をしていても「答えは現場にあり」で、殺人的なスケジュールのなか暇があれば現場を歩き回る若い知事に好感が持てた。