たまご屋おやじの独り言 2003年2月

たまご屋おやじの独り言 2003年2月


22/February/03

「こんなモノ食えるか!?」

幾つになっても本屋の棚をひやかして歩くのは楽しい。先日もうろついていると、「こんなモノ食えるか!?」「食べるな危険!」(講談社)とかなりどぎついタイトルの本が眼に入った。こちとらは親に向かって「こんなモノ食えるか!」などと言おうものなら「そんなら食うな!」と、どやされたくちだから、なんとまあひどいタイトルだなあと思いながら2冊とも買って読んでみた。

私はタマゴ屋だから、タマゴ、畜産物関係を拾い読みしてみると、その著者の言わんとすることがだいたい見当がつく。 やはり、今の食品が如何に添加剤、農薬、化学肥料、遺伝子操作原料、、、その他にみちみちていて如何に危険であるかを告発している。

私ども長い年月食料生産の現場にいる者にとって、この手の告発ものは「単純でものの一面しか見ていないなあ」と感ぜざるを得ない。添加剤、農薬、化学肥料、遺伝子操作原料、、等の危険性を警告するのは良いが、それらが諸悪の根源であるとの書きっぷリには同調しかねる。同時にそれらがどれだけ役にたっているかそのプラス面をも書かなければフェアーでない。危険なそれらがすべて無くなれば問題は解決するほどことは簡単ではない。

それらがまったく無かった江戸時代は皆健康であったかと言うといちがいには言えない。それどころかほとんどの日本人は食料生産に時間をとられ、それでも食料は十分でなく栄養失調に悩まされていた。健康に良い悪いの問題以前に食料そのものの不足があったのだ。

今日、実際の生産現場ではそれらのプラス面を生かし、マイナス面を最小にする努力をしているのが現実である。さもなければ今日店にあふれる豊富な食料を支えることは出来ない。

16/February/03

採卵鶏の経済検定試験(平成13年度)神奈川県

神奈川県畜産試験場の岸井誠男先生よりMailを頂きました。それには「平成13年4月え付け鶏の検定成績がまとまりましたのでホームページを更新した」とありました。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/chikusanken/13keizai/Keizai13.htm

早速見てみると赤鶏を含め6鶏種の経済検定のデータがあり、試験はたとえ少羽数であっても、綿密に組まれた試験はその鶏種の特徴をよく表している。岸井先生ご苦労様でした。

15/February/03

タマゴ酒 その2

近くの小学校では学級閉鎖で大騒ぎしているのに、タマゴ酒のお陰か今のところ私どもの方はインフルエンザも素通りしている。 

このまえ「タマゴ酒」の事を書いたら、ネット仲間は有り難いものだ、そのなかの古典落語鰍沢」について、これを語っているのは円生だけではなく、5代目志ん生のものもあると知らせてくれた。これはうっかりしていた。志ん生は私の一番好きな落語家だから、早速近くのCD店を何軒か当たってみたがこれがない。最後に奥の手でA社のネット販売のCDデータベースに当たってみたら運良く見つかった。

同じ「鰍沢」を語らせても、円生と志ん生はまるで違う。タマゴ酒にしびれ薬を仕込み旅人に一服盛るのでも、間違って残り物のそれを亭主が飲んでしまうくだりもまるで感じが違うのである。円生はどうしても話が怪談調になって凄みがあるし、志ん生はべランメー調で笑わせる。同時代を生きた二人はそれぞれ強烈な個性でもって、いまだにファンを惹きつけているのが分る。

タマゴ酒の話はつきない。

9/February/03

たまご酒

ここ埼玉県でも今年はめっぽう雪が多い。凍った雪の上を通り過ぎて来る風の冷たさが身にしみます。こういう晩は私のような下戸であっても暖かいタマゴ酒で身体の中から温めたい。

古来、日本人はタマゴ酒を大事にしてきた。風邪を引きそうだなと思えばそれは風邪薬となり、疲れたなと思えばそれは精力剤となった。今のようにタマゴが豊富でなく、それが貴重品であったころは尚更その効き目は絶大であったに違いない。

現在、薬屋で売っている風邪薬にはわざわざ生タマゴから抽出したリゾチームを加えていると言う。そんなことをしなくても昔の日本人は賢くてタマゴ酒は風邪に効くと、とっくにご承知なのだ。

タマゴ酒といえば、古典落語の「鰍沢」(かじかさわ)を思い出す。江戸時代の末期たしか円朝の作であったと思う。これを亡くなった六代目円生がやっていた。

これは円生ならではの凄みのあるタマゴ酒の話で、雪道に迷った旅人が一晩の宿をかりたあばら家で、もと花魁にタマゴ酒にしびれ薬を入れられ路銀を狙われる、というもので囲炉裏端でのタマゴ酒の作りかたから、それを知らずに飲む仕草にいたるまで真に迫るもので、思わず喉がゴクリと鳴ったものだ。

9/February/03

アメリカたまご販売事情

齋藤 富士雄@愛鶏園です。
今年1月下旬米国アトランタミネアポリスを駆け足旅行してきた若い連中の話を聞くと面白い。今回は徹底してスーパーマーケットのタマゴ売り場を見て歩いたそうだ。ウオルマート、ターゲット、パブリックス、ハイビー、ベイリーズ、ホールフーズ・・・いずれも食品に強いスーパーマーケットである。

そこで気が付いたことは、店によって来る客層があきらかに違うのだと言う。日本では大会社の社長であろうが従業員であろうが同じスーパーマーケットに買い物に行く、つまり「一億総中流社会」であるが、アメリカは違う。

ウオルマートに行く客とパブリックスのそれとは服装からして違うのだと言う。つまり商品の差別化にとどまらず店そのものを徹底的に差別化しているのだ。タマゴの価格設定もびっくりするほど明らかに違う。なるほど足で集めたデータを見ると肯ける。所得階層ごとにターゲットを絞り込み、価格を設定し、店を展開しているに違いない。

同じ1月の時点でLサイズダースあたり50セントから中心値段1ドル50セント、高いものになると2ドル、3ドルを超える。店と場所によってその価格はあきれるほど違う。

さて日本ではたまごの販売はこれからどうなる?どうする?    

9/February/03

今年のアトランタ養鶏展にて

週末(1/23‐1/25)にアメリカ、アトランタにて行われた世界最大のInternational Poultry Exposition に農林大臣のVeneman女史が現れて、家禽及び食肉の安全のため政府は記録的な予算措置をとると宣言した。なんと前年対比20%増である。

家禽及び食肉産業はアメリカにとって重要な輸出品である。特にこのところ家禽関係ではアメリカ国内でトリインフルエンザ(AI)、ニューカッスル(ND)の発生によって輸出が思うようにいってない。輸出国の立場からこれらAI,NDの発生に対して徹底的な検査体制の充実と殺処分によるクリーン作戦をとる事が必要とした。

この農林大臣の話に先立って、「アメリカにおけるAI対策」が議論された。この講師の一人として、かって日本にも来たことのあるイタリアのDr.Capuaが招かれた。「イタリアで2000万羽を殺したAIとの7年間の戦いで学んだことは、当初私は政府の立場からAIワクチンの使用に反対であったが、今ではそれが必要である」とした。

尚、詳細は1/24for www.meatingplace.com 参照のこと。

9/February/03

<日本たまご事情>タマゴとコレステロール

歳をとってくるとたいていお医者さんにコレステロールの多いタマゴの取りすぎに注意しましょうと言われる、たまご屋の私は悔しくてなりません。おそらくタマゴ、コレステロール動脈硬化、心臓病,脳卒中、、という呪文が未だに多くのお医者さんの頭にあるのだと思います。世界で一番タマゴを食べている日本人が、その2/3以下しか食べていないアメリカ, ヨーロッパの人達よりも心臓病が少ないのはどうしてでしょう。

1960年代、かってアメリカは一人年間400ヶのタマゴを食べていました。アメリカに心臓病が多いのはコレステロールの多いタマゴのせいだと攻撃されて、2000年には220ヶに減少してしまいました。しかし心臓病の死亡率は依然として第一位です。

アメリカにおける大規模な疫学調査の結果、日本人がタマゴを335ヶ食べているにもかかわらず、心臓病が少ないのは結局食事のバランスが良いのであってタマゴと心臓病とは関係ないことが分りました。そのため近年アメリカのタマゴ摂取量は236ヶと回復してます。

たまご屋の私が言うと我田引水と思われで説得力がありませんが、幸いなことにタマゴについてダントツ人気のあるWEBサイトがあります。これを作っている高木さんはNTTの技術者で公平な消費者の立場を貫いています。その彼がそのサイトに最近「コレステロール研究所」http://homepage3.nifty.com/takakis2/col.htm
を開設し、ここに初級から上級にいたるまで内外の関連論文を集めてあります。

お医者さんにタマゴとコレステロールを注意されたら、是非一度ここを訪ねて下さい。  

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