ぶらりクロアチア 怪老人

ひょんなことから二週間クロアチア周辺をうろつくことになった、カミさんの仲間たちが企んでいた旅行に一人欠員が出て、急遽私がついて行くことになった。
恥ずかしい話だがクロアチアが世界地図の何処にあるのかさえ分からない、わずかにWサッカー戦で全日本チームが対戦し引き分けた国くらいの知識しかないありさま、たしかあの時のクロアチア選手の体格はでかく強そうであった記憶のみ。

ところがいろいろと聞いてみると、そこはアドリア海をはさんでイタリアの対岸にあり、歴史的にもローマ時代の遺跡がゴロゴロ、訪ねる世界遺産も7ヶ所になり、遺跡のみならず国立公園のトレッキング、サラエボの内戦跡などがあるという、聞いてるうちに今度はこちらが夢中になってしまった。
このパック旅行に参加した者は総勢24名、、年齢的にはやはり時間に余裕のある65歳以上が多く、夫婦は私らを含め5組、他は単身の女性のみ、どういうわけか単身の男性はいなかった、男は一人になると意気地がなくなるとはこういうことか。

旅行メンバーはいくつかのグループと夫婦単位で成り立っていたが、お互いに初対面の挨拶をすましてみると、ここに驚くべき人物がいた、K姉妹である。
姉は88歳、少々太り気味だが背筋はしゃんと伸び、眼がねはいらず、耳は私より聞こえる、ゆっくりだが歩きは達者、妹84歳、細身腰は曲がっているが良く歩く、最新のデジカメをこの旅行のために用意し、ばしばしと撮りまくっていた、二人とも見事な白髪が美しい。

当初、誰もがその年齢を気にして、旅程を無事皆と一緒にこなせるかと内心心配していた、14日間行動をともにした時その杞憂はすっとんでしまった、それどころかメンバーはこの快老人に引っ張られて動いていたような気さえする。
健康的にスーパー老人かと本人に聞けば、それぞれ大病をしているという、誰もが望んでも二人のような元気を保つことは出来ないが、目の前に二人がいると70歳を超えた者も「ああ疲れた」などとぼやいてはいられない、かくして旅は始まった。