バルト海クルーズ (7)話す 最終回

バルト海クルーズ (7)話す

今回のクルーズ旅行を終えてつくづく思ったことは、行動の範囲が広いにもかかわらずたっぷり時間があったこと、三度三度の食事には充分過ぎるほどの時間がとれ、それも自分たちで自由に時間を決めることが出来たので余計にゆったりした気持ちになれた。

船での十日間と訪ね歩いた町々の昼食を含めて三度の食事はほとんど三組の老夫婦でとった、さらに船では夕食のあと場所をかえて海の見えるデッキでお茶を飲んだ、あたりはまだ明るい。

思い返してみればその間6人は話し続けていたことになる、よく飽きなかったものだ。毎日毎日訪ねるところが違うのだから話題には事欠かないが、先輩たちの過ごしてきた人生の重みのある話には引きつけられた。

3組の夫婦はそれぞれ別の人生を歩み、共通しているは子供たちが既に巣立ち、元の二人だけに戻ったこと、年相応の病気を一つや二つ抱えていること、などなど。

考えてみるとこれが夫婦二人だけでこのクルーズに参加した場合はどうなるであろう?私の場合たぶん最初の2-3日は珍しいので会話があると思うがやがて元の「だんまり」に戻ってしまうに違いない。

最近とくに私は耳の聴こえが悪くなった、補聴器も使うのだが場所によっては必要のない音まで全部拾ってしまうので使い物にならない、せっかくの会話も聞き逃し、トンチンカンな返答になったこともある、それでもこの旅行で一番楽しかったのは、たっぷりした時間と楽しいおしゃべりにつきる。

クルーズの「独り言」もきりが無いのでここらで下船します。