たまご屋おやじの独り言 大往生

 昨日、私どもの隣組でお葬式があった。

私はこの櫛挽開拓地に遅れて入植させてもらって以来50年間、この隣組の付き合いを続けている。

入植当時、私たち夫婦は一番の若造であり、先輩である10軒の隣組はみなご夫婦健在であった。

ところが現在、初代入植者で生き残っているかたはわずか4人、やはり女のひとばかり、そのうちの一人の葬式である。

私が入植当時、葬式は隣組にとって大事業であった、近頃主流になっている葬祭場などはなかったので、家での葬儀は大変であった。

役場への連絡から火葬場の手配、会葬者への炊き出しその他、隣組の人たちが全部やり、一軒から二人ずつ出てまる二日間必要であった。

亡くなられたのは95才になられたHさん、最後まで家族が面倒をみて、皆さんが見守るなか自宅でおだやかに亡くなられた。大往生である。

通夜、告別式は葬祭場ですませ、隣組13名はそこでの受付、お返しの引渡しを受け持った。  火葬場へは参加した隣組全員が、お骨を拾って最後のお別れをした。ちょうど親戚なみのお付き合いである。

葬儀に参加した隣組メンバーのなかで、いつのまにやら私が最年長者になっていた。