たまご屋爺さんの独り言 人形浄瑠璃
自慢にもならないが、私は本物の人形浄瑠璃を舞台で観るのはこの歳になって始めてである。
先日、88歳のH先輩夫婦と私どもが、東京半蔵門の国立劇場で落ち合った。
なんとこのH先輩は東京のど真ん中にあるこの劇場まで自分で車を運転して杉並区より来られていた。
この先輩夫妻の誘いがなければおそらく、生涯私たちは人形浄瑠璃の舞台をナマで観るチャンスはなかったであろう。
演題は「桂川連理の柵(しがらみ)」で商家の旦那と若い娘が絡む不倫騒動の心中ものであった。
演題の中身はともかくとして、舞台の袖に並ぶ義太夫の皆さんや三味線の皆さんはその世界では大物らしく、また人形を操る人たちとそれをサポートする黒子さんたちの動きはただ事ではない。
いづれも長年の厳しい修練を経たものであろう、それらは初めてこれを観た私にもわかる。
年をとるとこういうものを観る楽しみがあることを知った。