たまご屋おやじの独り言 2002年2月

たまご屋おやじの独り言 2002年2月
28/February/02

トレーサビリティ(生産履歴を追跡する仕組み)(2)

鶏卵農場及びGPセンターには各種データが蓄積されている。
ではこの生産履歴をどのように消費者に伝えるかですが、一昔まえなら恐らく途方にくれたに違いない。
いちいちタマゴパックの中にパンフレットを入れる訳にもいかず、入れたとしても多くは読んでもらえまい。
恐らくタマゴの生産履歴に興味をもちその安全性を確認したい人の数は多くないにしても熱心な人に違いなく、簡単な説明では満足しないであろう。

このような場合にうってつけなのはホームページ(HP)です、次の世代の人たちにとってインターネットによる情報収集は必須であろうしあたりまえの世界であろう。
スーパーマーケットあるいは生協で買ったタマゴパックに印刷されているHPアドレスで農場にアクセスし必要な情報をとることができる。
農場のHPにはかなり初歩的なものから専門的なものまで情報を用意しておく。さらに詳しくは電話、E−mailなどで直接対話できるようにしておく。
「たかがタマゴ、されどタマゴ、必要な情報つきのタマゴ」、消費者の食品に対する不安を取り除くには各人がまづ一歩踏み出すことが肝要と考えます。

27/February/02

トレーサビリティ(生産履歴を追跡する仕組み)(1)

食品全般にたいする消費者の不信感がたかまっている。
またそれを煽るようにマスコミは連日騒ぎ立てる。雪印の偽ラベル問題に端を発して他の食品に拡大している。

全体から見ればそのような不正はほんの一部であろうが、このことによって引き起こされる業界全体のイメージダウンははかり知れない。真面目にやっている多くの食品関連業者は歯軋りする思いで事態の成り行きを見守っているに違いない。
信用を落とすことは一瞬のうちだが、それを取り戻すには永い時間と膨大なエネルギーを必要とする。

消費者の食品にたいする不信感を取り除く方法の一つとして、トレーサビリティ(生産履歴を追跡する仕組み)が検討されている。これはまともな食品の生産販売者としては望むところであり、あらゆる方法を駆使して実行してゆきたい。
 
幸い最近のIT技術を利用することによって消費者に直接データを知らせることができるようになった。これを使わぬ手は無い。

以下鶏卵について具体的に考えてみよう。

26/February/02

タマゴによる食中毒(SE)は減らせる

心強い本が出たものだ。

「保健所の片隅から」ーある食品係長の実践録ー 
著者西村雅宏著者はタマゴによる食中毒(SE)真っ盛りの1997―1998年この問題解決に現場で取り組み,見事解決の道筋をつけた人である。 タマゴには5000ヶに1ヶの割合でインエッグのSEがあるという前提でリスク管理を組み立てている。

農場段階での努力もさることながら、ほとんどが調理段階でリスク管理をすることで食中毒は防げるとしている。

その具体的な手法を現場に徹底させるなど理屈でなく実践し、確実に食中毒を減らしたデータを示している。

厚生省のhttp://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/index.htmlによればタマゴによる食中毒の患者数は近年劇的に減少している。

著者の西村さんのような方々の地道な努力が実ったものであろう。 是非とも一読を薦める。    

25/February/02

2/20香港トリインフルエンザ(AI)

2月20日、香港政府スポークスマンによれば今週の金曜日(2/22)までに更に8農場340,000羽の殺処分が行われる。

2月1日の発生以来殺処分された累計羽数は860,000羽となる。

21/February/02

2/17香港トリインフルエンザ(AI)

どうも香港のAIは収まっていないらしい。
2月17日、香港政府スポークスマンによれば、更に5農場にH5タイプのウィルスが確認され192000羽が殺処分される。

既にこれまで政府によって322,000羽が殺処分されているので累計では50万羽を超える。

20/February/02

2/13Maine(USA)トリインフルエンザ(AI)

悪いニュースばかりで気がめいります。

アメリカ メイン州のFoggy Ridge Gamebird Farmでゲーム用のカモ、雉、など2800羽が弱毒株のAIのため州政府により2月12日殺処分された。

メイン州で公式にAIの発生が農場で確認されたのは始めてである。州の養鶏産業への影響が心配されている。

メイン州ペンシルベニア州にしてもいずれもアメリカ北東部に位置している。この地域では伝統的にゲームバードの生鳥市場がある。

なにやら香港の生鳥市場の存在と似かよっている。

12/February/02

2/7香港トリインフルエンザ(AI)

齋藤 富士雄@埼玉です。

2月7日(木)香港政府の発表によればAIはコントロールされつつあり、AIウィルスは1997年と同一ファミリーではあるがタイプは異なるとしている。

食品環境局のLily Yam によれば「2/6、2/7とも農場での新たな死亡鶏の発生はなく、他の農場への拡大もみられないが注意して見守っている」。
今までのところ市場と農場で殺処分された累計は200,000羽になるとしている。

齋藤 富士雄
?愛鶏園

12/February/02

2/5香港トリインフルエンザ(AI)

2月5日香港大学微生物学者Ken Shortridgeによれば今回の香港のAIウィルスの変異について警告をしている。
 
これは1997年6名の死亡者を出したAIウィルスのケースを恐れているからである。

既に先週、2ヶ所の農場と4ヶ所の生鳥市場の鶏169000羽が殺処分され、今週の2月5日(火)24の農場が閉鎖された。

香港で一日に取引される生鳥約100000羽の80%は中国本土から持ち込まれるもので、あとは境界周辺の農場で生産されたものである。

Ken Shortridgeによればこの地域はアヒルの飼育密度が高く、これがAIウィルスの変異に影響を及ぼしているとし、さらに中国独特の生鳥市場の存在が不衛生でAI問題の大きな原因となっていると指摘している。

12/February/02

2/4香港トリインフルエンザ(AI)

2月4日 、香港衛生局はここ数日間生鳥市場で発生している異常死亡鶏の原因をトリインフルエンザと確認した。H5タイプまで判っているがそれ以上のことはわからない。発生農場の100,000羽は2/3(日)殺処分された。

中国のお正月を祝うにために市場には生鳥が殺到していたのあろう。

香港で昨年の5月に発生したAIによって1,37百万羽が殺処分されたことは記憶に新しいし、更に1997年AIによって香港では6名が死亡している。

昨日、地区の家畜保健所の会議があったが、BSEをめぐって国県の指示と現場の実情との食い違いなど問題山積でした。

もしこれに日本でAIが加わったら政府はもうお手上げの状態です。自分の農場は自分で守るしかありません。

12/February/02

「鶏鳴く声にもお国柄」(2)

世界中の「コケコッコウ」を集めている得猪さんのことを前回紹介した。

神田雑学大学の理事ということなので、ホームページを検索して本人のメールアドレスを知り早速連絡をとってみた。

「変わった面白い趣味ですね」と言ったら、本人意外と大真面目でその研究成果の「こけこっ考」なる自費出版(定価600円)の小冊子を送ってくれた。

中味は1:鶏鳴考2:鶏食考3:鶏卵考と分かれていて鶏についての薀蓄が深い。単なる鶏の鳴き声の収集に留まらない。

ちなみにその薀蓄の一部を紹介すると、
万葉集には鶏を詠んだ歌が9首あるそうでその代表作、
「遠妻と手枕交えて寝る夜は鶏が音 な鳴き明けが明けぬとも」柿本人麻呂
(大意)遠い妻と手枕交わして寝た夜は鶏よ鳴かないでおくれ,夜が明けたら明けたでかまうものか、、、、なんとも艶っぽい歌ではないか。

6/February/02

「鶏鳴く声にもお国柄」(1)

世の中には面白い人がいるもんで退屈しない。

あるいは覚えていられるかも知れないが、1月29日の日経新聞文化欄の記事のことである。

「鶏鳴く声にもお国柄」というもので世界の「コケコッコ−」を集めている。これがまた面白い。 なんでも著者、得猪外明氏は鉄鋼会社で海外を歩いていたひとで、いまは引退して「神田雑学大学」理事だそうだ。

ふざけた名前なので、ちなみにその大学をネットで調べてみると、出てきた,出てきた、これがまたユニーク。早速本人に連絡をとることにした。これだからネットは止められない。

興味のある人は「こけこつ考」参照のこと。
http://www.asahi-net.or.jp/~ne4k-tgc/kanda/010119/010119.htm    

5/February/02

ピリッとサイエンス

ネットの世界は不思議な世界だ。人と人とを引き合わせる。

先日、松永和紀と名乗る妙齢の婦人が北九州市から訪ねてきた。環境Gooのコラムで「松永和紀のピリッとサイエンス」を連載中の人である。
http://eco.goo.ne.jp/

事前にコラムを読んでみると優しい顔に似合わず言っていることは辛口である。
 「遺伝子組み替え食品の怪を解く」
 「もう振り回されない!食べ物神話」
などシリーズで問題点を鋭く抉り出している。単なる告発ものとは一線を画しており、よく勉強してるし現場をよく歩いている。「安全」を人質としてあまり意味の無いことを殊更言い立て高く売る商法に疑問を呈している。

さてタマゴについてはつぎのようなやりとりがあった。
Q:10円,30円,50円と店にはいろいろなタマゴが売られているが、本当に値段差の価値があるの?
A:?!(しどろもどろ)
Q:付加価値タマゴというのは所詮、流通と生産者が儲けを多くするために仕掛けたものでしょう?
A:ムム!もごもご、、(そのものずばり)
Q:お客さんによっては高いタマゴは良いと思って買う人がいるのよね。
A:ハア、、(見透かされてる)
Q:結局のところ、新鮮な普通の安いタマゴがお値打ちね。
A:そ、そのとおりです。……

以下続くわけですが、いやあ実に鋭い。

つまり見ている人は見ているのであり、へたな屁理屈は通用しない。
そのかわり、何故日本の採卵養鶏が世界の中でがんばっていることも理解が早い。
さて如何なるコラムとなって現れるか楽しみである。

齋藤 富士雄
?愛鶏園
 

4/February/02

肉骨粉とニワトリ

先日どういうわけかジャーナリストの桜井よし子さんから電話がかかってきた。彼女の守備範囲は広く鋭い切れ味で問題点をえぐりだすことで知られている(恐れられている?)。
どうやら推測するところBSE狂牛病)を追いかけているらしい。 養鶏業界の肉骨粉に対する評価を教えてくれと言うことであった。

物事を正確に相手に伝えることはとても難しい。こちらの言ったことが場合によっては反対の意見に使われることすらある。

「業界は金儲けのためにはなんでもするから」との疑いの眼で見られたらたまったものではない。

そこで個人的な意見ですと断ったうえで、次のように答えた。

1:肉骨粉のニワトリへの使用は、恐れられているBSEとは何ら関係なく、まして人間の安全性にとって問題ない。
2:ニワトリにとって肉骨粉は大事な飼料資源で、動物蛋白とミネラルを同時に供給でき、飼料コストを下げることができます。
 植物蛋白では代用できないアミノ酸を含み、同時に貴重なミネラルを供給できます。
 肉骨粉を使用することで200―500円/トン飼料代を節約可能です。
3:たしか日本の配合飼料全体で年間40万トン少々の肉骨粉が使用されていて、その2/3は採卵鶏、ブロイラーに使用されていると思う。今回の肉骨粉の全面使用禁止は業界に計り知れない打撃をあたえた、一刻も早い使用再開を願う。
4:肉骨粉リサイクルの仕組みは日本にとって必要です。
5:愛鶏園が9年まえから肉骨粉を使用してないのはサルモネラ汚染を恐れるからであって、最近の加熱飼料技術をもってすればこの問題も解決し今後多いに利用していきたい。

てなやりとりが交わされたのですが、さてどう伝わるか?