たまご屋おやじの近所付き合い その一

正直なところ、農場のある櫛挽地区の老人会世話役がまわってきた時、とっても変な気分がした。誰でも自分を老人であるとは思っていないらしい。あるいはそれを認めたく無いのであろう。世話役を受ければ「おまえは立派な老人である」ことを認めることになる。てな訳だが今では気分をとり直してこの役をいそいそとやっている。

先日、20人の仲間と草津へ二泊三日の湯治旅行に行ってきた。往復のバス代を含めて、お一人様13,000円也の予算であるから通常の半分以下である。さてこれで一体どんな待遇を受けるのか心配していたがこれが杞憂に終わった。ここで始めて老人会むけ旅行ビジネスが繁盛していることを知った。

平日にもかかわらず宿泊したホテルは元気の良い老人たちで溢れかえっていた。専門の送迎バスでピストン輸送するためロビーは常時ごった返している。草津の有名ホテルでも平日は閑古鳥が鳴いているのにどういう訳だ?

自分を含めて老人たちはお金の値打ちを知っている。ご馳走もほどほど、最小限のサービスでも温泉が良くて仲間と世間話しが出来れば最高だ。もっと贅沢な旅行をしたい人たちは勝手に個人で旅している。このあたりの心理を見事に読まれている。世話役はこの少ない予算の中からお土産代をひねり出し、最終日の昼飯を山菜うどんにするか天ぷらうどんを奢れるかで評価が決まる。