たまご屋おやじの近所付き合い  その二 

草津温泉に湯治旅行に行ったメンバーが凄い。85歳の二名を筆頭に一番若いのが私の70歳であるから、参加者20名の平均年令は77-78歳くらいであろう。皆さんとにかく元気が良い。面倒な会計をしたり細かい交渉事をすることは歳をとるにしたがって誰でも億劫になってくる。世話役はいきおい一番若い者がやることになる。岡部町には全体で19字(あざ)あるのだが、老人会組織を維持しているのは17字で、最近世話役のなりてがなくて二ヶ所消滅してしまった。

草津温泉は私の住んでいる櫛挽からバスで2時間半のところだが、訪ねるのは私にとって初めてだ。先輩たちは既に何度となく訪れている。先輩いわく、この温泉は日本三大温泉の一つで豊富なお湯の量と強い酸性湯で有名なそうな。この町の住民はいつもこの温泉にはいるので歯がぼろぼろに成りやすく、歯医者が繁盛してるとか、、、真偽のほどはわからない。

先輩はいろいろなことを教えてくれる。いい温泉の条件は湯船の豪華さにあるのではなく、湧き出した源泉そのものに如何に早く触れるかにあるという。水を加えたりするのはもってのほかで、逆に源泉節約のため循環させると温泉の質ががた落ちになってしまうのだという。草津で本物のお湯に入りたければ地元の人たちが大事に維持管理している共同風呂に行きなさいと知恵をつけてくれた。なんとこの共同風呂は湯畑を中心に十数ヶ所あるという。いずれも地元の人たちの為にあり入浴代は無料だ。

さっそく共同風呂に行ってみた。小さい小屋であるが源泉の硫化水素ガスを抜くために天井が高い建物となっていた。そこには水道もシャワーもなく、脱衣場と湯船が一つになっていた。いい雰囲気である。丁度一緒になったクリカラモンモンの中年男のお湯の入りっぷりに感心し、私も真似をして飛び込んでみたが、とても熱くて我慢ならずすぐ飛び出してしまった。その男は笑っていた。