かぐわしき大地

ゴーギャンの「かぐわしき大地」を東京で見ることができた。
OHARA MUSEUM of ART http://www.ohara.or.jp/200606/jp/1_web/1/exh/007.html
いつもは倉敷の大原美術館に行かないと見れないが、運良く竹橋の国立近代美術館に来ていた。
それは「モダン・パラダイス 東西名画の饗宴」と言う両美術館共催の展覧会であった。

その日は土曜日であったので、混むことを恐れ午前中の開館一番をねらった。
すこし張り切りすぎて会場到着は早すぎたので、近くの毎日新聞社の地下でコーヒーをゆっくり飲んだ。
さすがに土曜日の午前中は閑散としていて店の客は一人だけであった。

「かぐわしき大地」は本展覧会でも目玉であるらしく、会場でも最後に近い良い場所にあった。
ゴーギャン描くタヒチ娘の裸体画とその風景には、おおらかではあるが彼が逃げ出してきた重いヨーロッパ文明の影があると云われる。
良く見ればそれには、エデンの園を放逐されたイヴをイメージさせる蛇ならぬ気味の悪いトカゲが書き込まれていた。
そのすぐ隣には萬鉄五郎の「裸体美人」が対比して飾られていたが、これは1912年に作成されたもので当時物議をかもした作品といわれるが、今になれば良くぞこのように明るくのびのびとした裸体美人がその時代に描かれたものと感心させられる。
The National Museum of Modern Art, Tokyo http://www.momat.go.jp/crossing/sakuhin/to095.html

歳をとるごとに同じ絵画を見てもその印象は違うくらいであるから、人それぞれの感じ方は異なるのであろう。
私自身、残された時間を気にする年代になってしまったが、幸い自由になる時間も多い。
世の宝物といわれる本物を一つでも多く観たいものだ。