百舌鳥が鳴く

夏の暑いうちは早朝散歩をずるけていたが、涼しくなってからまた始めた。
あれよあれよというまにお彼岸も過ぎ、私の住んでいる櫛挽ヶ原も景色が変わってきた。
真っ赤なお彼岸花はどうして正確に季節を知るのであろうか、揃えたように咲きそして枯れる。
ついこのまえまで朝の冷気のなか、あちこちで金木犀の香りが心地よかった。

散歩道は一面の畑と防風林にそってまっすぐにのびている。
早朝のこの時間、働き者の農家の人がもうブロッコリーの収穫に忙しい、挨拶するがこちらはのんびり散歩しているのでちょっと気恥ずかしい。
いずれもプロの農家であるから、おなじブロッコリーでも時期をずらして作付けしてあり、収穫が一時期に片寄らないようにしてある。
隣の畑では一面の大和芋の良く茂った葉が秋を感じ取り緑から黄色に変わりはじめている。

突然、百舌鳥の高鳴きが聞こえた、そのほうを見ると防風林の一段と高い木のてっぺんに居てあたりに睨みをきかしている。
あたりで騒いでいた小鳥たちも一瞬静かになった、鳥たちの世界でもその主役が変わる時期となった。
まごまごしていると間もなく木枯らしが吹くようになる。

M先輩の言葉ではないが「特急列車の上で一人の老人」(武者小路実篤)である、まったく時間の過ぎるのは早い。