サン ジャックへの道

銀座のCINE SWITCHで「サン ジャックへの道」を見た、映画館で映画を見るのは久しぶりである。
日記を繰って見てみると「戦場のピアニスト」「たそがれ清兵衛」をかれこれ4年前深谷シネマで見ているのでそれ以来だ。
よほど見たい映画でなければわざわざ出かけることはしない。

もっと本心をいえば封切り興行がおわり、しばらくたってから地元の深谷シネマでやってくれるのが嬉しいのだが、待っていてもそれが上映されるとは限らない。
最近ではとても見たかった「狩人と犬 最後の旅」をついに見逃した。

「サン ジャックへの道」をわざわざ銀座まで見に行ったのは、別に深い訳があったのではない。
この映画はフランスからスペインの西の果て、聖地サンチアゴ・デ・コンポステーラにいたる古い巡礼の道1500Kmを訳ありの男女9人が歩き通す物語である。
その物語より私は、昔ヨーロッパの巡礼者がたどったであろうその風景が無性に見たくなった、とりあえず映画館の大画面でもと単純な動機である。
風景は圧巻であった、フランスの豊かな農村地帯を横切り、荒涼としたピレネー山脈を超えスペインに入り、最後のサンチアゴで始めて海を見る、そこには日頃見慣れた日本の風景とはまったく異質のそれがあった。

そういえば歩いて風景を見ることを日常すっかり忘れていた、少々手遅れかもしれないが足腰の立つあいだに日本の風景をゆっくり見直してみよう。
さいわい近くには秩父の34ヵ所の霊場がある、ゆっくり歩いて8日間かかるそうだ、どれだけ歩けるか分からないが試してみよう。
「サン ジャックへの道」を見ていたらそんな気になった。