たまご屋爺さんの独り言 動物愛護のこと その二

 

 私は二代目のたまご屋としてすでに50年以上過ごしてきた。

今は幸い三代目がこれを引き継いでくれ間もなく創業100年になろうとしている。

その間、有り難いことに私達家族は鶏にご飯を食べさせてもらっている。

 

私の両親は第二次大戦中、鶏の餌が手に入らなくなるなか都市残滓で500羽の鶏を持ちこたえて、私ども7人の子供を育ててくれた。

これもすべて鶏と卵のお陰なのだ。

 

さて 一部の動物愛護団体の人たちが嫌悪する「ケージ養鶏」と薦める「平飼い養鶏」の話をしよう。

 

先代が活躍していた日本の採卵養鶏は戦前と戦後しばらくは100%「平飼い養鶏」であった。

たしかにそれは傍観者には鶏たちは羽を広げ伸び伸びとしているように見えた、ところがその管理には飼育者にとっては過酷な労働を強いた。

 

「平飼い養鶏」にはもう一つ大きな問題があった、鶏病の問題だ。「平飼い養鶏」は餌を食べる所と、糞をする所が同じ地面であるためどうしても糞も食べてしまう。

 

このため消化器の伝染病のため多くの鶏が失われた、特に雛の場合は致命的で毎回50%以上の雛が死亡することも稀ではなかった。

 

ところが「ケージ方式」で餌を食べる所と糞を分離するこで、死亡率は劇的に改善された。

このように両者の飼育方式を比較した結果、現在日本の採卵養鶏は90%以上「ケージ方式」が採用されている。

それが結果的に動物愛護に繋がっているからだ。

 

家畜は愛情をもって飼育すれば必ず応えてくれる。

まやかしの愛情は

 

家畜には通じない、私どもの大事な経験である。

 

続く