たまご屋爺さんの独り言 動物愛護のこと 二


たまご屋爺さんの独り言 動物愛護のこと 二

 私には記憶がある、小学校4年生であった終戦時(1945)我が家の鶏舎は平飼い(放し飼い)であった。

戦前、日本中はほぼ100%の鶏は同じく平飼いであったのだ。

終戦後人間が食べるのも困難な時、両親は街の残滓や野の草などをかき集め餌とし300羽ほどの鶏を飼い続け私を含め7人の子供たちを育ててくれた。

戦後の混乱も落ち着き1955年ごろ採卵鶏の飼い方に大きな変化が起きた、平飼い方式から立体方式(バタリー、ケージ)に変わり現在は90%以上がケージ方式で卵は生産されている。

それには大きな理由がある。

鶏たちにとっても、鶏を飼う人たちにとっても、鶏の産んだ卵を食べる人たちにとっても、ケージ方式は平飼い方式(ケージフリー)より優れているからだ。

一例をあげれば、ケージ方式のほうが雛と成鶏の生存率が高く鷄病にかかる率が少ない、卵を衛生的に生産できる、手間が大幅にかからない、、、。

良く動物愛護活動家が指摘するケージ方式は鶏にとって残酷だと気軽におっしゃるが、たまご屋の私に言わせれば糞尿とともに生活を余儀なくされる平飼い方式は日本のように高温多湿なところでは苛酷なのである。

もしケージ方式の環境が鶏に苛酷で残酷であれば、鶏たちはストレスのため卵を産むことをすぐ止めてしまう。

そのことを私たちたまご屋はよく知っている。

そうでなければ戦後、日本中の採卵養鶏家が自主的にケージ方式を選ぶわけがない。